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 第二部 魔国統一編 船上カジノ


「あのー、スミマセン。ルシアン様助けていただけないでしょうか」


「船長どうしたのかしら?」


 ノックの後、複雑な表情で船長が入ってきた。しきりにおでこを撫でている。何か困った事でもあるのだろうか? まあ、けど、アルカディアの問題だと思うから僕は口出ししない事にする。


「あのー、お連れ様の事ですが」


 ん、お連れ様? ロザリーの事か? ロザリーは僕もルシアンもカジノに行き渋ったので、諦めてメイドを口八丁でくどき落として保護者になってもらってカジノに行った。

 もしかして、いかさまか何かしてカジノの運営を困らせてるんだろうか?


「ロザリーがどうかしたのかしら?」


 よそ行きの声でルシアンが尋ねる。


「お連れ様、ロザリー様ですね。そのロザリー様がルーレットで一点張りを2回連続当てて、もうひと勝負したいと言われてるんですよ」


 え、一点張りで2回? 確かルーレットって、回ってる数字が書いてある円盤にボールを入れて何の数字が出るか当てるゲームだよな。一点張りは36ある数字のうちの1つに賭けるやつで、当たると36倍に掛け金がなるはずだ。それが2回? 36かける36は、36かける6は216、216かける6は1296。え、1296倍!? 奴はクソ度胸だから多分大金貨1枚賭けたに違いない。


「えっ、という事は、アイツ今幾ら勝ってるの? 大金貨10枚くらい?」


 あ、ダメだコイツ。分かって無いな。そもそもルーレットのルールを知ってるのかも怪しい。


「いえ、ルシアン様、大金貨1296枚です……」


「ええええええーーっ!」


 ルシアンが派手に叫ぶ。そりゃそうだ。


 けど、という事は僕の予想通りルーレットに一点張りで大金貨1枚賭けたって事か? 狂ってやがる。どんないかさましやがったんだ。


「行くぞ、ルシアン!」


 僕とルシアンはカジノへと急ぐ。



「アンタたち、いつまでまてばいいのかしら」


 ロザリーの金切り声が聞こえる。

 カジノには幾つかのゲームがあるが、その中の1つを全ての人が囲んでいる。そうだな、そんな大勝負が行われてたら僕でも気になってしまう。

 ロザリーはルーレットの椅子にドカンと足を投げ出して座ってる。けど、僕には分かる。彼女は激昂してるわけじゃなくこれは演技。ようは煽りだ。


「ですからお客様、これ程の高額になりますと、私共では決めかねるんですよ」


 それをなだめているスーツの女性。多分ルーレットのディーラーだろう。

 それにしても困ったもんだ。ロザリーはどこにいても問題を起こすな。さて、どうしたものか?


「おいおい、ロザリーどうした? 何やってんだ?」


 ロザリーは僕に気づいて手を挙げる。


「あっ、アシュー様。聞いて下さいよ。コイツら、ただロザリーが2回ルーレットで勝っただけで、金額が大っきいとか言って責任者が来るまで待って下さいとか言うのよ。なんなのかしらこのカジノ。ケチって言うか、肝っ玉が小さいって言うか。やーねー。経営者の顔を見たいかしら」


 うわ、憎たらしい。見た目が麗しい幼女なだけに、こういう煽り方されるとイラッとする事だろう。


「何言ってるのよ。36分の1を2回も当てるなんて、どんないかさましたの?」


 ルシアンはここに来るまでにルーレットのルールを船長に教えて貰っていた。


「ルシアン、何言ってるのかしら。たまたまよ、たまたま。ロザリーって日頃の行いがいいから、多分ルーレットの女神様に愛されてるのかしら」


 日頃の行いで考えると、コイツは秒殺されてもおかしくないと思う。


「そう、さすがロザリーね。ついてるのね凄いわ。なんて言う訳無いかしら。で、台はしらべたの?」


 ルシアンはディーラーに問いかける。


「はい。何もされて無いです。問題無いです」


「魔法は?」


 ルシアンは辺りを見渡す。一人の男性が会釈して口を開く。


「はい。台に使われてる形跡は無いです」


 そうか、客に紛れていかさまのチェックしてる奴がいるのか。まあ、魔法使われたらこういうゲームっていかさまし放題だもんな。


「だからぁ、ロザリーはいかさまなんかする訳ないじゃない」


 ん、ロザリーは? なんか引っかかるな。それじゃカジノ側がいかさましてるみたいじゃないか。


「ルシアン様」


 船長がルシアンを呼ぶ。


「ロザリー、少しだけ時間をちょうだい」


「分かったわ早くするのかしら」


 船長にルシアンはついて部屋の隅に行く。僕もついて行く。


「ルシアン様どう致しましょう。今ならまだカジノ側は払える金額です。業腹ではありますが」


「けど、そんなに払ったら、今回の航海自体が赤字になるんじゃないの」


「はい、それはそうですが」


「あんな奴にそんな大金払ってやる道理はないわ。ルーレットのあのディーラー、ある程度好きな目出せるんでしょ?」


「いえいえ、彼女は百発百中で好きな所に球を入れる事が出来ます。ですからおかしいんですよ。それを2回連続当てるなんて、心を読んだりしない限り無理です」


 なんと、いかさましてるのはカジノ側なのか。大人ってきたねーな。けど、どうやってロザリーはその裏をかいたんだろうか?


 



 このお話は他サイトノベルピアさんで先行配信しております。下にリンクを張ってますので、ぜひお越し下さい。


https://novelpia.jp/novel/2658



挿絵(By みてみん)


 この表紙絵が目印ですっ!


 読んでいただきありがとうございます。


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