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 第二部 魔国統一編 頭脳


「ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ」


 貴賓室のソファで本など手に寛いでる僕に、しつこくロザリーが絡む。しかとだ。ちなみにルシアンはお腹いっぱいで運動して眠くなったのか、ソファで横になってる。寝息がするから寝てるのだろう。凶悪な胸がひしゃげて凄い事になってる。こぼれ出ないのか?


「ねぇねぇねぇねぇねぇねぇ、乳牛の乳なんか見ないでロザリーを見て」


「何だよ五月蠅いな」


「ねぇお前様。カジノ行かない?」


「だから行かないって言ってるじゃないか」


 ロザリーがしつこくカジノに行きたがる。何がそんなに彼女をカジノに駆り立てるのだろうか?


「で、なんでそんなに行きたいんだよ?」


「それは、カジノがそこにあるからかしら」


 何訳わからん事言ってるんだ?


「ん、分かった。それなら一人で行ってこい」


「ロザリー、海の上じゃ異次元収納も使えないのよ。なんか売ろうにも何も出せないのよ」


「それ、さっきも聞いたぞ」


「だからぁ、一人でカジノに行ってもお金ないから何も出来ないのかしら」


「そうだな、別に僕もカジノに興味が無い訳じゃないけど、今日はなんか疲れたし、ギャンブルは頭使うって聞いてるから元気な時に行きたいな」


「わかったかしら。じゃお金ちょうだい」


「やだ」


 多分コイツはカジノで秒殺で素寒貧になるだろう。金をドブに捨てるようなものだ。


「じゃ、後で返すからお金貸して」


「やだ!」


「お前様のけーち。しょうがないかしら。そうね、ところでお前様、お前様の一人称、『おれ』と『ぼく』の時があるけどなんでかしら?」


 急になんだ、いきなり話題を変えて?


「そうか? それは気づかなかったな。別に意識してないな。気分だよ気分」


「気分? 気分にも意味はあるものかしら。ロザリーが思うに、多分お前様は自分を良く見せようと思ってる時は『おれ』、素のままの自分の時は『ぼく』って言ってるみたいに思えるかしら」


 そう言えばそういう気もする。


「それがどうしたんだ?」


「そうね。ギャンブルは心理戦。ロザリーがしっかりとした観察眼を持ってるって事を知ってて貰いたかったの。例えばロザリーとルシアンの二人のうち、お前様が今の時点で異性としてより興味を持ってるのはルシアンでしょ?」


「なんでそう思う?」


「ここ五分で、お前様がルシアンを見たのが25回。ロザリーを見たのが12回。ただし、ロザリーが話しかけてこっちを見たのは除く。お前様も知ってると思うけど、人は考えてるもの、興味があるものを見るかしら。時間を区切って見たものをカウントするだけで好意ですらも数値化して証明出来る。まあ、もっとも本当に興味があるものは反動で全く見なくなるんだけど、それはそれで違和感を感じさせる事になるかしら。それとお前様がルシアンの

方が好ましいと思ってるのはしゃくだけど、トータル能力でルシアンを上回って行ってお前様をロザリーの方に振り向かせてみせるかしら」


 うわ、なんかドン引きだ。コイツ可愛い顔してえげつない頭してやがる。


「ロザリーはね。古今東西いろんな書物を読み漁って人の心について勉強してるのよ。20年前くらいには、人間の世界に召喚されて宮廷魔道士をしてた事もあるのかしら」


 それは凄い。国の最高魔道士だったのか。で、それがどうしたんだ?


「という訳で、お前様。ロザリーに投資しないかしら。この観察眼と明晰な頭脳があればその投資した金額を5倍、いや10倍にして返せるかしら」


 そうか、要は、自分は頭がいいからギャンブルでは負けないから金を貸せという事か。でもギャンブルは運否天賦。頭が良いだけで勝てるもんじゃない。

 なかなか面白い話だったし、斬新な切り口だったから、話の代金としてお小遣いあげてもいいかな?

 いや、ロザリーがギャンブルにハマらないように、しっかりとここでお灸を据えとくべきだろう。


 ペチン!


 僕はテーブルに大金貨を指で叩きつける。派手な音が立ったが、ルシアンは相変わらずグーグーだ。


「それは、大金貨?」


「そうだ。大金貨だ。これを10倍にする自信があるなら、その『投資』ってやつ受けてやる」


 まあ、小銭を10倍にする事は難しくないかもしれないが、大金を10倍にするのは至難の技だろう。


「負けて返せなかったら、その分借金な。その時は大金貨10枚返してもらう。ま、と言っても働いて体で返してもらうから安心しろ」


「体で返す? もしかしてお前様、ロザリーの体が目当て!」


「んな訳あるか! 色々仕事して返してもらう」


「夜の仕事?」


「ちゃんとした仕事だ!」


「ごめんなさい。言ってみたかっただけだから。じゃ、大金貨10枚返せばいいのかしら」


 ロザリーは事も無げに大金貨を取る。え、マジか? 芋引くと思ったのに。さすが魔王。


「楽しみに待ってるかしら!」


 花のような笑顔を撒き散らしながら、ロザリーは部屋から出て行った。





 バタン!


 勢い良くドアが開く。 


「アシュー様か、ルシアンついて来て。ロザリー子供じゃないのに、子供は賭け事しちゃダメだって、カジノに入れないのよ!」


 まあ、当然だな。コイツ口だけで本当は頭良くないんじゃ? 

 それにしても、ルシアンは相変わらずグーグー寝てる。


 このお話は他サイトノベルピアさんで先行配信しております。下にリンクを張ってますので、ぜひお越し下さい。


https://novelpia.jp/novel/2658



挿絵(By みてみん)


 この表紙絵が目印ですっ!


 読んでいただきありがとうございます。


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