表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

59/74

 第二部 魔国統一編 食事


「これで、三人分、質、量ともに満足いくものを三人分、飲み物つきで、貴賓室に届けてくれ。お釣りはとっとけ。金貨1枚分くらいはいいぞ」


 僕は大金貨1枚をメイドに渡して、ゆっくりと散策しながら、貴賓室へと戻る。大盤振る舞いだが、またキノコを売れば金になるだろう。売れるキノコを他にも探してみよう。

 ん、売れるキノコ。そう言えば高級キノコと言えばトリュフ、ポルチーニ茸があるが、召喚できるのか? キノコ界と心をシンクロする。あ、ある。しかもしこたま。明日、商人に売ろう。


「お前ら、大人しくしてたか?」


 僕は扉を開けて貴賓室に入る。おお、仲良いじゃないか。二人ともソファに座ってミニ放水茸を口にしている。なんか縦笛吹いてるみたいだな。お間抜けな絵ずらだな。


「ちょっと、入ってくるならノックくらいしなさいよ」


 ルシアンが僕を非難がましく見る。二人とも慌ててミニ放水茸を口から放す。ん、何慌ててんだ?


「そうよ、お前様、レディには人には見せたくない姿もあるのかしら」


 ロザリーは顔を赤くしてる。どうしたんだ?


「何言ってるんだ? ただ水飲んでるだけだろ」


「それより、まだお腹空いてるから、もっとキノコ出してよ。アンタは美味しいもの食べて来たんでしょうけどね」


 ルシアンは不機嫌だ。何拗ねてんだよ。


「ん、俺はまだ飯食ってないぞ。やっぱりみんなで飯食った方が美味いだろうからな」


「えっ、お前様も、一緒にキノコ食べるのかしら?」


「おいおい、お前らどんなにキノコ好きなんだよ。今日は俺たちが出会って初めて3人で食べる食事だ。なんだかんだで、お前らは俺の仲間になった。今日はその祝いだ。もうすぐ来るはずだ」


 コンコンッ。


 ノックだ。来たな。


「ああ、入れ」


 メイドがワゴンを押してはいってくる。その顔は満面の笑顔だ。さっきお釣りは取っとけって言ってやった奴だ。


「お待たせしました。アシュー様。シェフに奮発してもらいました」


「え、何、めっちゃ良い匂いがする」


 ルシアンは立ち上がる。こいつ食べ物に目が無いな。成長期だからか?


「もしかして、ロザリーたちの分もあるのかしら?」


 ロザリーは大きな目をまん丸に開いている。


「当たり前だろ。ほらほら、食う準備しろ」


「ええええーっ!」


「本当かしら?」


 二人とも満面の笑みを浮かべる。ちょっと照れくさいな。


 ルシアンとロザリーが席を立つと、メイドは慣れた手つきで、テーブルにナイフとフォークとスプーンを並べる。ナイフとフォークは3セットづつ。オードブルとミート、フィッシュが。

 そしてシャンパングラスを置いて、それにポンッと栓を抜いたシャンパンみたいなものを注ぎ始める。


「すまんが、俺は未成年だ」


「存じております。ノンアルコールのスパークリングワインです」


 ん、やっぱ僕って若くみえるのか。まあ、まだ14才だもんな。そして、僕らはめいめい席に着く。


「うわ、なんかパーティーみたい。何年ぶりかしら」


 そうか、ルシアンの国は貧乏そうだもんな。


「ロザリーもこういうの、十何年ぶりかしら」


 十何年、こいつボッチなのか? まあ、性格悪そうだしな。それにしてもロザリーの目はめっちゃキラキラだ。まあ、嬉しそうで何よりだ。


「じゃ、俺が音頭とるぞ。俺たちの未来に乾杯!」


「「乾杯!」」


 僕らはチンとグラスをぶつけ、ノンアルコールスパークリングワインを口にする。甘みは無いのに滑らかで甘く感じる。フルーティーで口の中に香りが広がる。ノンアルコールだけど、こんなワイン初めて飲んだ。


「うわ、美味しい」


 お酒は入ってないはずなのにルシアンはほんのり赤くなってる。


「飲みやすい」


 ロザリーも少し赤い。コイツ、ヴァンパイアだよな?


 そして、スープ、オードブル、パン、メインは肉と魚のダブル。一皿づつ提供されるのを僕たちは歓談しながら楽しんだ。

 どうも外の廊下で最終調理してるみたいで、熱いものは熱く、冷たいものは冷たい。正直驚く程美味しい。

 僕のいた伯爵領も裕福では無かったから、こんな食事は数年前の上の兄さんの仕官祝い以来だな。

 そして、フルーツ盛りをつまみながらコーヒータイム。


「アシュー、ご馳走様でした」


「ご馳走様でした」


「いえいえ、どう致しまして」


 ルシアンもロザリーも大満足だ。そして、僕も大満足だ。やっぱり、元々のご飯が美味しかったのもあるが、美少女、美幼女と食べるご飯は格別に美味しく感じる。二人ともテーブルマナーは完璧だ。エレガントでしかも綺麗に何1つ残さず食べている。僕は個人的に食べた後の食器が汚かったり、嫌いなものを残すのは嫌いだ。どんなに綺麗な女性でもそれだけで幻滅する。その点、二人とも良い感じだ。食べ物は、僕らの口に入るまでに沢山の人が手間暇かけている。それを大事にしない奴は人間のクズだと思う。

 ここしばらく、僕の主食はキノコだったので、キノコも良いが、やっぱ手間暇かかった料理は美味しいな。心が豊かになる。


「なあ、この後、どっか船の広い所で軽く体動かさないか?」


「いいわよ」


「いいかしら」


 僕がこの二人を眷族にする事で手に入れたスキルを試してみたい。正直各々に聞かないと使い方が分からないからな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ