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 第二部 魔界統一編 お金


「こんな感じよ。分かった?」


 ルシアンはペンを机に置くと、再びソファに深く座り込んだ。


 僕とロザリーはルシアンが紙に書いた物価を読む。駄目だこりゃ。


『大金貨1枚、金貨10枚。金貨1枚、銀貨10枚。銀貨1枚、銅貨10枚。銅貨1枚、銭貨10枚。銭貨1枚、小銭貨10枚』


 まずは、貨幣の交換率が書いてある。これはほぼ僕が来た王国と一緒だ。


『大金貨1枚は大金。金貨1枚は結構大金銀貨1枚はご飯くらい。銅貨1枚飲み物一杯くらい』


 これで、説明書きは終わっている。ざっくりだな。


「それくらいロザリーも知ってるかしら。ルシアン。普通の成人男性の一日の稼ぎはどれくらいかしら?」


 ロザリーは紙から目を離しルシアンに問いかける。


「そんなの分からないわ。あたし成人男性じゃないもん」


「お前、それでも為政者なの? そんなのも知らないで、どうやって国を治めるのかしら?」


「そう言うロザリーは知ってるの?」


「ロザリーの部下はアンデッドしか居ないから、お金を払う必要無かったから知らないかしら」


「ほーらほら、ロザリーも一緒じゃない。アンタもあたしと同じくお馬鹿よお馬鹿!」


 ああ不毛だ。コイツら戦闘以外はもしかして無能なんじゃ?


「まあ、分かったから。ところで、お前達はお金どれくらい持ってるのか?」


 まあ、何かとこの先物入りになるだろうから、一応聞いとかないとな。


「ロザリーは城に帰ればそこそこあるかしら」


「城にはどうやって帰るのかなー?」


 ルシアンが煽る。


「スノークィーンをどうにかしないと氷付けで入れないかしら」


「えー。じゃあ、お金もってないのかしらー、かしらー」


 さらにロザリーの口マネして煽る。


「そうよ、持ってないかしら。けど、異次元収納の中にあるものを売ったら結構な金額になると思う……」


 ロザリーの声は尻すぼみだ。


「で、ルシアンはどれくらいお金もってなるんだ?」


 まあ、お姫様だから、そこそこは持ってるんじゃないか?


「あっ、お金全部城に置いてきたわ。ロザリー、城に影渡りで取りに行ってきて!」


「ロザリーは、海の上では、ただの可憐な女の子でぇーーーーっす!」


「えええーっ。と言う事は?」


「お前もロザリーと同じく素寒貧って事かしら!」


「あのね。この船ね。今回は運賃は無料だけど、この船、国とは独立採算だから、あとは何するにもお金がいるの。ご飯も飲み物も、お金払わないといけないの」


 あ、ルシアン、少し幼児退行してやがる。お金が無くて不安なのか?


「しょうが無いな。お前らこれでも食っとけ」


 僕はルシアンとロザリーに食用茸を1本ずつ出してやる。そして、ミニ放水茸を1本ずつテーブルに置いてやる。


「え、食用茸は分かるけど、このてっぺんが割れた小さなキノコはなんなの?」


 ルシアンがミニ放水茸を手に訝しんでる。もう忘れたのか? ルシアンはコイツにやられたはずなのに?


「貸してみろ。こうやって両手で握って上の穴を吸うようにすると水が出てくる」


 僕はルシアンからミニ放水茸を受け取ると、そのてっぺんの穴を口にして水を飲む。


「喉が渇いたら、こうやって飲め」


 ルシアンとロザリーは呆然として僕を見ている。


「も、もしかしてアシュー様ってその気が……人には見せられない水の飲み方かしら」


「あたしの胸をチラチラ見てたから違うと思うわ。多分、分からないだけよ」


 なんかルシアンとロザリーは顔を寄せ合ってゴニョゴニョ言っている。何の事言ってるか分からないけど、聞こえてるっつーの。


「ほらよ」


 僕はミニ放水茸をルシアンに放る。


「じゃお前たち仲良くしろよ。ちょっと出るからな」


「えっ、アシューどこに行くの?」


 無一文のお姫様が僕に問いかけてくる。


「食道に行くんだが?」


「ロザリーも一緒に行きたい!」


「お前たち金持ってないから、何も食えないだろ。俺の食事を見とくだけでもいいのか?」


「ええーっ。ロザリーのマスターでしょ? ご飯くらい奢りなさいよ」


「ソレお前らの飯と飲み物」


 僕はキノコを指差す。


「アンタにはフェミニズムってものは無いの?」

 

「物価も分からないくせに、難しい言葉しってるな。お前らよく考えろ。昨日、散々戦ったくせに俺にたかるな。それに、キノコは美味しいだろ。ちゃんと飯は食わせてやるから贅沢言うな。ま、俺は今から贅沢してくるがな。じゃあな」


 なんかロザリーとルシアンがキーキー言ってるが、部屋に残して、通路に待機してたメイドに船長室に案内を頼む。さすがに金貨5枚じゃ僕しか美味しいものは食べられ無いだろう。アイツらのために何か金策しないとな。


 船長に会って、食料になるキノコを売りたいって相談すると、この船の御用達の商人を紹介して貰った。応接室で話をして肉キノコと食用茸の結構な数を買ってもらい、大金貨2枚受け取った。商人的にはもっとお金を出したい所だけど、キノコは生ものだから、ここの食堂に珍品として卸すのと、港について少し鮮度が落ちたものの売値とかを考えるとこれが払える限界だそうだ。まあ、キノコは無尽蔵に召喚できるから、ぼったくられてたとしても痛くも痒くも無いが。




 


 このお話は他サイトノベルピアさんで先行配信しております。下にリンクを張ってますので、ぜひお越し下さい。


https://novelpia.jp/novel/2658



挿絵(By みてみん)


 この表紙絵が目印ですっ!


 読んでいただきありがとうございます。


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