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 第二部 魔国統一編 船旅


「おお、でっかいな……」


 僕は川とかに浮かべる小っちゃい船なら見た事があるが、こんなでっかい船を見るのは初めてだ。ここ桟橋には幾つもの船があるが、その中で一際大っきい。木造で船のだいたい真ん中には大きな三本のマストが並んでいて、帆がたたまれている。なんか大きな乗り物を見るとワクワクする。男の性だな。これが、こんな大きな船が海を進むと思うと感慨深いものがある。


「この船はアルカディアの国営貿易船でこの港にある船の中では一番大っきい」


 ルシアンが胸を反らす。そうだな、見たところ一番この港で大っきいな。ルシアンの胸。


「で、いつ出発するのかしら?」


 桟橋は海に突き出していて、今僕たちの下は海だけど、見た所ロザリーに変化は無い。海苦手って言ってたよな?


「もうそろそろ出発するそうよ。だから早く乗り込んで」


 僕たちはルシアンを先頭に船に乗り込む。船長と名乗る人が挨拶に来て、ルシアンが少し話したあと、僕たちは船縁に立って出発を待つ。ゴツイ水夫が荷をつんだりしてるけど、僕たちには手伝える事は無いのでぼーっと見てる。

 程なく船は帆を張って進み始める。帆に風の魔法をぶつけて進んでいるそうで、思ったよりも早い。

 船酔いを心配してたんだけど、思ったより揺れは激しくなく、これは大丈夫そうだ。ルシアンもロザリーも問題無さそうだ。

 それにしても、顔に当たる潮風が気持ちいい。海に白い跡を残しながら、船はどんどん進んでいく。僕たちは始めての船に感動してしばらく何も言うことも無く、ただただ海や船を見続けた。



「なんか、少し寒くない?」


 ルシアンが身をすくめている。当然だよな。超薄着だから。


「当然かしら。海の上で裸同然の格好して、もしかして泳ぎたいのかしら。いつでもロザリーが海に叩き込んであげるかしら」

 

 また、ロザリーが挑発する。もう慣れて来たが、本当は2人は仲が良いんじゃないかと思う。


「ロザリー、アンタ海の上で弱体化してるんじゃないの?」


「そうよ。ロザリーは今とっても弱いかしら。そこらの町娘と何ら変わらないかしら」


「それなら、今すぐアンタを海に放り込んでやろうかしら」


「やれるなら、やってみればいいわ。こう見えてもロザリーは泳ぎは得意なのよ。魔大陸からアルカディアまで泳いで渡ったんだから」


 まじか。泳ぎ得意ってレベルじゃないだろ。と言う事はロザリーは前回魔大陸に行ってから、帰りは泳いで帰って来たのか?船旅で1週間くらいかかる距離を。どれくらい泳いだのだろうか? ヴァンパイア恐るべし。


「まあまあ、せっかくの船旅だ。泳ぐのは魔大陸についてからということ事で、今は仲良くしろよ。とりあえず、船の中も見てみないか?」


「そうね」


「そうかしら」


 2人も船内を見たいらしく、素直に不毛な戦いを止めた。

 ルシアンがそばにいた水夫に一言二言何か言うと、しばらくして船長さんがやって来た。こういうのを見ると、ルシアンって偉いんだなって思う。

 船長さんに案内されて船内を見て回る。操舵室、食堂、ロビー、カフェ、カジノ、船長室など見て回り、最後に貴賓室に案内される。アルカディアの質実剛健な気質を反映してか、装飾は少なめだ。けど、鹿の頭はある。なんで、金持ちって鹿の頭を飾りたがるのだろうか? 個人的には、正直、これが生きていたかと思うと気持ち良くはない。

 それと、大型の船には初めて乗るから、さっき知った事だけど、船長室や貴賓室は、船頭を上にして右にある。僕たちが船に乗り込んだのは左舷にあり、基本的にどの船もそうなってるそうだ。

 僕たちを貴賓室に案内してくれた船長さんはすぐに居なくなり、僕たちはソファでくつろぐ。部屋には呼び鈴があり、これを鳴らしたら、しばらくすると、メイドさんが御用聞きに来てくれるそうだ。至れり尽くせりだ。壁には丸い空かない窓があり、外を眺める事も出来る。


「ところで、魔大陸までには、何日かかるのかしら?」


 ロザリーはソファにちょこんと座っている。


「んー、順調でだいたい6日くらいって言ってたわ」


 む、なんと、あと6日もここで過ごさないといけないのか。結構船は速いと思ったけど、普通の船と一日しか日数変わらないのか。


「退屈かしら。お前様、なんか暇つぶし無いかしら?」


「おいおい、まだ出発してから、少ししか経って無いだろ。お前、前に船乗った時は1週間箱に入ってたんだろ。その時は何してたんだよ?」


「ずっと寝てたかしら」


「じゃ、またずっと寝てればいいじゃない?」


 ルシアンは辛辣だ。ずっと寝てるのは少し可哀想だ。


「えー、寝てるの退屈。カジノ行きましょ。カジノ」


「だったら、最初っからそう言えよ。だが、今日は駄目だ。まずは、俺はこの世界の事を知らなすぎるから、まずは、貨幣価値とかを学んでからだ」


「分かったかしら。ロザリーもそこんとこあんまり分からないから、ルシアンよろしく」


「はいはい、分かったわ。けど、自慢じゃないけど、あたしもあんまり常識知らないから期待しないでね」


 まあ、一応お姫様だもんな。船長さんでも呼んだ方がいいかも。


 このお話は他サイトノベルピアさんで先行配信しております。下にリンクを張ってますので、ぜひお越し下さい。


https://novelpia.jp/novel/2658



挿絵(By みてみん)


 この表紙絵が目印ですっ!


 読んでいただきありがとうございます。


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