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 第二部 魔国統一編 続一騎打ち


「さーて、どうやって殺そうかしらねー。けど、安心して、殺した後も体を縫って繋いでアンデッド兵士としてしっかり使ってあげるから」


 ロザリンドはニタリと笑う。鎌を手放し両手を広げる。その手の全ての指の爪がその身の丈ほど伸びる。


「けど、ルシアン、貴女はダメね。ずっと思ってたけど、その頭が悪そうな大きな胸が気に食わないのよ。けど、迷うわよね。グズグズに切り刻むか、ゾンビにして裸で戦わせるか? それとも剥製にして金持ちに売るか? あ、ゾンビにして売るも良いかもね。動く方が高く売れるかもしれないし。そうね。ルシアンさん、お口だけ動くようにしてあげるから好きなの選んでくれるかしら?」


 まあ、なんか御託を並べてるが、奴は楽しそうなんで、もうしばらく囀らせてやるか。奴が大好きな持ち上げてから落とすってやつだ。


「くっ! 殺せ!」


 おお、ルシアンの口から「クッコロ」が飛び出した。なかなか空気読めるやつだな。


「当然殺すわよ。だから、殺したあとの貴女の利用方法について聞いてるのよぉ。その頭の中入ってますか? 胸に全部もってかれたんじゃないのかしら?」


 ロザリンドはルシアンの頭の角を拳でノックする。


 なんか、ソロソロこの絡みにも飽きてきたな。見てて楽しいもんじゃない。この茶番、終わらせるか。


「ぶっ! くたばれゲスヤロー!」


 ルシアンがロザリンドに唾を吐きかける。下品だなぁ。ルシアンってお姫様じゃないのか? それにしても女の子が人に唾吐きかけるの初めて見た。


 ブシュッ!


 ロザリンドの右手の爪がルシアンの腹部を貫く。魔族でもこれは致命傷なんじゃないか?


「あーあ、ついぶっ刺しちゃったかしら。何するのかしら、この下品な乳牛。どうやらロザリーを怒らせたいようね。んー、どうやったら、ルシアンさんが喜ぶかしら?」


 ロザリンドは小首を傾げ、顎に左手を当てる。その爪邪魔者だろ。自分を傷つけたら笑えたのに。


「そうねぇ、貴女って部下思いだって聞いたから、一人一人貴女の部下の首を刎ねてってあげる事にしたわ。貴女には勿体ないけど、ロザリーの爪あげるわ。爪抜いたらいっぱい血が出ちゃうからね。ゆっくり、ゆっくり死んでってもらわないと」


 パキッ。


 ロザリーは器用に左手で右手の爪を折る。


「あ、あたしは何でもするから、部下は助けて」


 ルシアンがか細い声を上げる。


「分かったわ。部下思いのいいお姫様ね。じゃあ、よく見てなさい。貴女の部下が死んでいく様を」


 ロザリンドはゆっくりと歩いて一人の騎士の前に立つ。


 カッ!


 辺りを眩いばかりの光が包み込む。僕が召喚したスーパー光茸が僕を中心に六角形の頂点を描きそそり立つ。


「くっ!」


 体が自由になり倒れかけたルシアンを支えてやる。


「体が動くぞ!」


「なんだアレは?」


「光るキノコ?」


「でっかい。超でっかいキノコだ!」


 なんか騎士達が騒ぎだす。僕はルシアンに刺さった爪を引き抜きながら回復茸の菌糸をルシアンに打ち込む。やべ、ルシアンのお腹すべすべだ。ちょっとドキドキしちまった。


「感謝する。お前、回復魔法も使えるのか……」


「まあ、成り行きだ」


 僕は手を離すがなんとかルシアンは一人で立っている。ちょっとすべすべが名残惜しい。


「なんだ? お前は? さっきのキノコ人間! なんで、なんで生きてる?」


 ロザリンドがギャアギャア囀っている。五月蠅いな。


「生きてるから、生きてる。あれくらいで死んでたまるか」


「あれくらいって、首を……」


「ピーピー五月蠅いな。お前が大好きな影は無くなったぞ。次はどんな手品を見せてくれるんだ?」


 6方向からの光は、地面の影を全て消し去っている。


「夜になったら無敵とかなんかほざいて無かったか?」


「くっ、ちょこざいな。ロザリーは影が無くてもお前よりは強いかしら。次は首だけじゃなく全身刻んであげるわ」


「望む所だ。さっきの恨み晴らしてやる。おい、お前ら、これからは俺とコイツの一騎打ちだ。邪魔にならない所に下がりやがれ」


「分かったわ。ここは譲ってあげるわ。お前達、下がりなさい」


 ルシアンの言葉で、騎士達はジリジリと下がっていく。激しくいかせて貰う予定だから、正直騎士達は足手まといだ。


「フフフッ。貴方ってお馬鹿さんね。みんなで戦ったらロザリーを倒せたかもしれないのに」


 ロザリンドの爪が縮み、地面の鎌を拾う。こいつこそお馬鹿だろ。爪で戦ってたら少しは勝機があったかもしれないのに。


 僕もせっかくだから、まあ必要は無いんだが武装する。相手が武装したらこちらも武装するのが礼儀ってもんだろう。何かといいのないかな? 心に浮かぶのは、今にふさわしいキノコ。軸が長いキノコの型のキノコの槍と、丸い傘に軸が腕に固定されたバックラー型のキノコ。

 僕はロザリンドに向かって構える。


「なんかその武器むかつくわね。なんて品が無い形してるのかしら」


 ロザリンドは鎌を手に僕に迫る。


 キノコバックラーで鎌を防ぐ。すこし刃が刺さったがなんとか押さえきった。僕とロザリンドは押し合う。押し返して槍で突く。



 ザンッ!



 何者かの影がロザリンドの後ろに飛び込んで来たと思った瞬間には、ロザリンドは真ん中から両断されていた! 誰だ!


「なんとか討ち取ったわ」


 凄絶な笑みを浮かべるルシアン。おいおい、唾は吐くわ、競り合ってる後ろから斬りつけるわ、こいつ最低だろ。姫様なのに!


 




 このお話は他サイトノベルピアさんで先行配信しております。下にリンクを張ってますので、ぜひお越し下さい。


https://novelpia.jp/novel/2658



挿絵(By みてみん)


 この表紙絵が目印ですっ!


 読んでいただきありがとうございます。


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