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 ドラゴン(茸王の日常)

 最近、このお話を見てくれて評価してくれる方がいらっしゃるので、書いてみました。


「フッ。所詮けだもの。俺の前では塵芥ちりあくたに等しい」


 俺は今、ドラゴンと対峙している。


 俺の声に、それまで寝息を立てていたドラゴンがその首をもたげる。俺とドラゴンはしばし睨み合う。動物だな。その目に賢さを感じない。多分犬以下の知能しか無さそうだ。


「アシュー頑張ってーっ。ご飯楽しみにしてるわー!」


 フレイヤが遠くで手を振っている。よくよく考えると、アイツは俺にとって何なんだろうか? 戦闘で役立つ事も無く、何か仕事をする訳でも無く、かと言って恋人と言う訳では無い。そして、俺の稼いだ金で飯ばっか食っている。再会した時より一回りは太ってるように見える。寄生虫。その言葉しか思い浮かばない。



 ここは天蓋の洞窟と呼ばれる所の最深部。大きく開けて、上はぽっかりと空いている。そばの街でここにドラゴンが住み着いているとの話を聞き、贅沢なものを食い過ぎて資金が心許なくなってきた俺達は、討伐してひと稼ぎする事にした。まあ、ドラゴンを討伐したら、その素材は一財産くらいになるらしいけどな。



 このまま物理攻撃でも倒せるとは思うが、そうすると鱗などの素材はかなり使い物にならなくなるだろう。なんせ俺の得意な攻撃は素手での打撃だからな。


 まずは、地面に高熱茸を召喚する。地面から大きな1本の茸が生える。


「凄いだろ。俺のこの、そそり立った熱い茸!」


 ドラゴンは警戒して俺を遠目に見ている。

 俺は高熱茸の上に串に刺した茸をかざす。そして、高熱茸から付かず離れず絶妙な加減で焼いていく。洞窟内には茸の焼ける香ばしい臭いが漂う。

 そして、焼き上がった瞬間、俺は茸にむしゃぶりつく。一口噛み千切る。


「美味い! 美味いぞー!」


 ついつい言葉が口からほとばしる。


「えー、その茸、あたしも食べたーい!」


 後ろからフレイヤの声がするが無視だ。


「ほら、欲しいか? 欲しいのか?」


 俺は茸をさらに炙り、美味そうな匂いがする煙をドラゴンの方に流す。ドラゴンは鼻をヒクヒクする。


「ほら、俺の茸が欲しいのか?」


 俺は手にした茸串をゆっくり振る。それに合わせてドラゴンの目が動く。


「そうか、そんなに俺の茸が欲しいのか」


 ドラゴンは俺をジッと見つめている。


「そうか、それなら俺の茸をくれてやる!」


 俺は俺の食べさしの茸串を思いっきりドラゴンに向けて放る。


 パクッ!


 音を立てて、ドラゴンはそれを口に含む。そして咀嚼して呑み込む。


 しばし、静寂が辺りを支配する。


 ドラゴンの目がクルッと上を向く。


 ズズーン!


 そして、ドラゴンは大きな音を立て横に倒れる。


「俺の茸で昇天したか……」


 ドラゴンは2・3度痙攣すると動かなくなった。


「アシュー、何したの?」


「地獄茸だ。とても美味いが、俺以外の者は殆どすぐに死ぬ。俺が口にしたのを見て安全だと思ったのだろう。所詮畜生だな」


「ゲッ、なにそれ。あたしは食べなくて良かった……ところで、その地獄茸を食べた生き物のお肉って食べられるの?」


「まず、食えんだろうな。多分すぐ死ぬ」


「えー、なによそれ! あたしはドラゴンのお肉楽しみにしてたのにー!」


「俺は食えるから問題ない。試しに食べてみるか?」


「ぐぅぅぅぅーっ」


 それからドラゴンを解体して素材は異次元収納に入れ、肉を焼いて食べた。とても美味かったんだが、隣でフレイヤがまるで親の敵を見るような目で俺を見ていた。しょうが無いから肉茸を食わせてやったが機嫌は直らなかった。面倒くさい奴だ。



 読んでいただきありがとうございます。


 みやびからのお願いです。「面白かった」などと思っていただけたら、広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、ブックマークの登録をお願いします。


 とっても執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。

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