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 16話 燃え盛る王城での邂逅


「どうしてだ、どうしてお前がここに居る?」


 俺はアッシュに問いかける。燃えさかる王城に乗り込んで来た帝国最強の黒騎士が俺の前でその兜をとる。そこに現れたのは懐かしい顔、以前よりも精悍な顔になった俺の幼馴染みにして親友だったアッシュだ。


「お前こそ何で生きてる? 俺の邪魔をするなら死んで貰う」


 アッシュは兜を被ると剣を抜き正眼に構えた。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 王都に来た俺は親父と上の兄貴にきっついお仕置きをかましてやった。血を分けた家族に暗殺者を差し向けるようなクズ共だが、あいつらを殺したら自分も同類なので、なんとか踏み止まった。


「すまん、アシュー、本当は私達も辛かったんだ。王が国王が私達に貴族の権威を失墜させるような、ゴミスキル持ちは処分しろとおっしゃったんだ」


 兄貴は地面を額を擦り付けながら俺に言い訳をした。王から命令されても、突っぱねるか俺を匿うか追放するなりすればよかったはずなのに。我が身可愛さに暗殺者を雇ったのはこいつらだ。


 とりあえず、国王に話を聞くため王城に向かったら、城からは火の手が上がっていた。近くにいる奴に話を聞くと、帝国最強の黒騎士が少数の配下と共に乗り込んで来たらしい。

 アルバトロス領に攻め込みつつ国王を弑して最小の犠牲で王国を併合しようという算段だろう。本命はこっちだったと言うわけだ。まあ、国王の生死など興味ないが、俺を殺す命令をしたかの真偽は確かめたい。そう思い、国王の下に向かい黒騎士に遭遇した。ちなみにフレイヤも追っかけて来ているが俺のスピードには付いて来られなかった。まぁ、デスベリーが付いているので問題ない。そして、今、黒騎士アッシュと対峙している。


「なんで、暗殺者ギルドに依頼した?」


 筋肉茸と鎧茸を身に纏い、剣茸を召喚して構える。


「俺はお前がずっと邪魔だったんだ!」


 アッシュの様子見の一撃を剣茸で弾く。


「邪魔? 何の事だ?」


 俺も牽制の一撃を放ち、アッシュに弾かれる。


「俺は全てに置いてお前に劣っていた。剣、魔法、学業、生まれ……」


 アッシュは上段に構え、切り込んで来る。俺はそれを剣で受け押し返そうとするが、剣圧が強くつばぜり合いになる。


「それがどうした、お前はいつも喜んでくれたじゃないか?」


 俺は力を込めて剣を押す。アッシュはじりじり後退する。


「昔はな、けど、お前はフレイヤの心も奪った!」


 アッシュの力が強くなり、俺は押し返される。不利を悟り一瞬力を入れたのちに飛びすさる。


「フレイヤ? お前フレイヤの事が……」


 俺はアッシュに問いかける。


「アシュー! 何してるの?」


 フレイヤだ。なんてタイミングが悪いんだ。


「帝国の黒騎士。こいつはアッシュだ」


 フレイヤを一瞥して、アッシュの動きに集中する。


「え、アッシュ、アッシュなのなんで?」


 フレイヤの声にアッシュはゆっくりと頷いた。


 

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