龍と竜
「リズ、魔界の話をしても大丈夫。」
エリザベスはマジカル8の映像を真顔で見ている。ダイアナが心配そうに話しかけた。
「無理しなくていいよ。」
リチャードも言った。
「大丈夫よ。こうなったら知ってること全部話すわ。この後、ネット上で魔界の話が都市伝説や超現象で検索したら出て来そうだし。」
エリザベスが知ってる事はさほど多くない。隠さずに話すことにした。
「姉が亡くなった日、魔界に行ったのは5人。姉とボブ、そしてMI5.5の捜査官。それにボブのアシストが二人。でも私には姉とボブが魔界に行ったとは思えないの。その日の予定は訓練の記録会としか聞いてなかったから。」
「そうなのか。事故じゃなくて事件っぽいね。」
リチャードが納得した表情でエリザベスに言った。
「それで姉だけが遺体で戻ってきたの。私は見なかったけど父と母は龍に内臓を喰われてしまったと言ってたわ。」
「えっ龍って人間を食べるの。じゃあ竜も人を食べるのかな。人を食べる魔獣って何かもっと邪悪な生物みたいな気がするんだけど。」
「魔法省を何度尋ねても調査中だってことになってるの。私が知っているのは攻撃されたのが姉とボブ。姉は龍に咥えられた時、ボブに〈逃げて〉って言って、ボブは一旦体勢を立て直そうと退却しようとして背中を鉤爪で襲われたみたい。でも違うと思う。ボブなら絶対に命をかけてでも姉を守ってくれたはず。」
「ボブには何も聞かなかったの。」
ダイアナが尋ねた。
「〈今は無理だ。〉って。そして〈もう少し時間が経って俺が生きていたら必ず話す。〉って。」




