密貿易
「近年、脳と腸の相関関係は進化の過程での分岐と言われてますけど、時空の変化を感じ易いのも関係があるんでしょうか。」
リチャードは質問の際に希を見て芽紅美に視線を移す。先に視線を向けられた希が答える。
「環状生物の神経球から進化したのが脳だと言われているわ。効率良く捕食したり動いたりする情報処理ね。恐竜の脳は思考より嗅覚が発達してるから動作は脚を動かす神経節の管轄。それで本題に入るわ。内臓が時空の歪みを感じ易いのは生物が環状生物だった頃の名残かもしれない。。仮説以前の話で着眼程度、地球が誕生した頃から時空の歪みは存在したと仮定するの。メグも何か言ったら。」
リチャードを向いて喋っていた希は芽紅美に視線を向ける。
「童話みたいよね。お腹と手足が喧嘩するお話。でもこのお話に脳は登場しない。つまり脳は黒幕。」
芽紅美は有名な童話を引っ張り出した。
「また突拍子もない比喩を、簡単に言いなさい。」
希は芽紅美に言った。
「人間の脳が生物の中では特殊って訳、それだけ。恐竜のプラモデルや最近の美少女プラモで内部を考えると解り易いかな。脳は本社、神経節は支社。手は特務機関。」
芽紅美が喋り終えると希は
「あまり変わってないわ。」
と笑った。
「じゃあ、CEOが腸から脳に代わって、貿易対象国を異次元から現実に代えたってのはどう。」
芽紅美は魔法とは無関係な比喩にした。
「それ、最高。」
「生々しい日常。」
リチャードは大笑いで言い、ダイアナも笑いながら言った。エリザベスだけが無言なのでダイアナは
「リズも何か喋ったら。」
と付け足した。
「面白いです。でもさっきからお腹の具合が少し変なんです。」
エリザベスは具合悪そうに喋った。
「もしかして腸が勝手に波打つ感じじゃない。」
希が言うとエリザベスは
「そうなんです。そんな感じ。」
と安心したように答えた。
「私がメグと初対面の時、そうだった。あなたはどうなの、メグ。」
希が芽紅美に尋ねると
「私、三人に近付いていくとお腹が温まったよ。だからノンのワンピをパアッてやったの。」
芽紅美は答えた。
「メグさんて頭もお腹も天才だ。」
リチャードは驚いている。
「どうやら脳に無許可で腸が密貿易を始めてるみたいね。」
芽紅美は言った。




