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制魔権

「龍や(ドラゴン)が実在すると思いますか。」

 エリザベスは(のぞみ)に尋ねた。リチャードとダイアナはこの質問に驚きを隠せないでいる。

「魔界には居ても不思議じゃない。でもビクトリア(あなたのねえさん)を喰い殺したのが龍や竜だと決めつけるのはどうかしら。」

「私もそんな気がするんです。中世以降英国(イギリス)で魔界の入口が開いた記録はないですし。」

「その話は一旦()めにしましょう。」

 エリザベスが話を続けようとするのを希は遮った。リチャードとダイアナはほっとして顔を見合わせる。二人の表情を見た希が再び喋り始めた。

「それじゃ龍と竜が魔界に居ると仮定しましょう。時空に歪みや断層があるのを可視化したら地球の表面みたいになるのかな。断層を這うのが龍、歪みを滑空するのが竜ね。体型からの仮説よ。歪みは風、断層は地表の凹凸みたいなもの。だから龍が昇天降臨する場所は限定されてる。竜は翼で歪みを捉えて自由に飛び回る。デカい身体でロールや背面飛行、急降下に宙返りまでやってのける。」

「凄い仮説。」

 ダイアナは目を丸くしている。

「その仮説の根拠は何ですか。」

 リチャードが希に尋ねた。

「青龍・鳳凰・白虎に玄武が何の例えなのかよ。東南西北の方角が関係してるかどうかは分からない。現実味があるのは長江も黄河も東に流れる、太陽は南が最高位、白虎は中国の西に絹の道(シルクロード)、玄武が北の大地かしら。だけど龍が水、鳳凰は火、白虎が風、玄武は地なら魔法のエレメントが揃うわよ。昔の中国には時空断層があったのか、今もあって国家が隠蔽してるのか。」

 希は古代中国を引き合いに出した。

「確かに古代中国の方が英国より魔法学は進んでいたのかもしれませんね。MI5.5だってあるし、中国に妖幻殿があっても不思議じゃない。」

 エリザベスがそう言うとリチャードは

「やはりそうか。日本統治を名目にアメリカと中国・ロシアは西太平洋の制海権争いで、英国と中国は制魔権争奪だ。」

と言う。ダイアナは

「私は龍の通り道の断層と竜が歪みを翼で感じて滑空するのを調べたたい。」

と言う。すると芽虹美が

(ノン)、歪みと断層の探し方を説明しなきゃ。一番大事でしょ。(あなた)の露出狂と深い関係があるじゃない。」

と笑いながら喋った。留学生の三人はまたしても驚きの表情になった。リチャードは希の顔に視線を向けたままだ。

「芽虹美、あなたも同類じゃない。」

 希は笑いながら芽虹美を睨みつける。

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