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子育て竜の迷宮暮らし  作者: デビルピート
8/9

8 拡張2

虫ダメな方は閲覧を推奨しません

 [??年??月??日]【迷宮主になって4日目】14:25




 全く腹が減る様子がないから、夜更かしする感じでやってしまったが、体は起きるたび力は漲るし、ステータス上も生命力も魔力も満タンになる。疲れを取るだけでもそれなりに時間を取るというのに、飯も食わずどうやって、体を維持しているんだ。光合成でもできるようになったのか


『それは、迷宮主が魔力食のためです』


 なんだそれは。魔力って栄養になるのか。いや、腹が減らないとしても、肉体的にそれは問題ないのか?そもそも、魔力なんていう摩訶不思議エネルギーを食べたことなんてないのだが。


『今も食べていますよ』

『食べるというと誤解を招きますね。迷宮主としての存在を維持するために必要なエネルギーを、生きてるだけで吸収できます。呼吸みたいなものです』


 魔物とは、魔の生き物。動物とは違い、身体の維持に魔力が必要になるわけだ。迷宮主も広義の意味では魔物の一種のため、同じように魔力を吸収してるらしい。


「魔力以外に、なにか食った方がいいんじゃないのか。例えば、今仕留めたネズミとか、たべたくねぇけど」

『もちろん、食べれます。ある程度は、経験として蓄えることもできます』

『ただ、迷宮内にいる限りは食べる必要はありません』


 どうやら、この迷宮自体が魔物にとって非常に快適な環境らしく生きるだけなら、困ることはない。侵入者とかを考えたとき、武力を持っていないと冒険者的な連中に強盗殺人されてしまう訳だが。


『食べ物などに関する【施設】系統の技能もありますので、そういった技能を解放していくのもいいですね』

『それに、竜の迷宮主の【施設】には最下級の【迷宮の魔物】を生み出せます』

「それは、本当か?!」


 だとしたら、その技能を解放しようそうしよう。単純に数が足りなくてまともに迷宮の拡張も出来なかったから、とにかく数が欲しい。

 ということで、早速《低位鑑定》を使ってステータスを開いた。


 [ステータス情報]

 名称:レックス

 種族:迷宮主(ダンジョンマスター)

 階級:騎士爵

 性別:男

 年齢:20

 職業:なし

 レベル:1

 経験点:6

 生命力:224/224

 魔力:192/192

 〈技能(アクティブスキル)

 竜卵の産卵〈 Ⅳ 〉

 竜園の湧出〈 Ⅰ 〉

 低位鑑定〈 Ⅰ 〉

 息吹(弱)〈 Ⅰ 〉

 魔力操作〈 Ⅰ 〉

 魔力感知〈 Ⅰ 〉

 迷宮管理〈 Ⅰ 〉

 〈特性(パッシブスキル)

 精神汚染〈 Ⅰ 〉

 保温〈 Ⅰ 〉

 生命力自動回復(微)〈 Ⅰ 〉

 魔力自動回復(微)〈 Ⅰ 〉

 物理耐性〈 0 〉

 魔法耐性〈 0 〉

 感覚強化〈 0 〉

 竜語:共通〈 0 〉

 〈称号〉

 〈熱ある蜥蜴〉〈異邦人〉


「施設系統なら《竜園の湧出》に振れば出てくるかな」

『基本技能の《竜卵の産卵》を除けば、【施設】系統なら【施設】系統の派生技能が、【支配】系統なら【支配】系統の派生技能が解放されます』


 経験点自体に余裕がないから、なるべく早い段階で必要な技能がほしいからな。《竜園の湧出》に一点ずつ振っていくか。ステータス上の竜園の湧出の技能レベル意識すると、数字の上に矢印が出てくる。振ったら元に戻すことは出来ないので下に矢印はない。

 振っていくと、経験点が減っていく。経験点が残り二つなったところでようやく新しい技能がステータス上で確認出来るようになった。

 どちらにしろこれ以上は振っても、新しい技能を獲得出来るわけではないないので大変助かった。


 [ステータス情報]

 名称:レックス

 種族:迷宮主(ダンジョンマスター)

 階級:騎士爵

 性別:男

 年齢:20

 職業:なし

 レベル:1

 経験点:1

 生命力:224/224

 魔力:192/192

 〈技能(アクティブスキル)

 竜卵の産卵〈 Ⅳ 〉

 竜園の湧出〈 Ⅴ 〉

 竜境の千変〈 Ⅰ 〉 new!

 低位鑑定〈 Ⅰ 〉

 息吹(弱)〈 Ⅰ 〉

 魔力操作〈 Ⅰ 〉

 魔力感知〈 Ⅰ 〉

 迷宮管理〈 Ⅰ 〉

 〈特性(パッシブスキル)

 精神汚染〈 Ⅰ 〉

 保温〈 Ⅰ 〉

 生命力自動回復(微)〈 Ⅰ 〉

 魔力自動回復(微)〈 Ⅰ 〉

 物理耐性〈 0 〉

 魔法耐性〈 0 〉

 感覚強化〈 0 〉

 竜語:共通〈 0 〉

 〈称号〉

 〈熱ある蜥蜴〉〈異邦人〉












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 [??年??月??日]【迷宮主になって4日目】15:58






 鈍く橙色に光る石ころから波が出ている。その波が進んでいくと、途中で止まり波打ち際を作る。波が引き、満ちる。その繰り返しがより大きな波を生み出していき、波打ち際が大部屋の壁まで寄せていく。壁まで行くと、そのまま壁を登り、天井の全てを満たすと、一つの空間の変化が終わる。

 そのまま、廊下へ波が進んで行くが部屋ほどの勢いはなく、ひとまずここで終了ということだろう。


 《竜境の千変》が入り口部屋の空間を満たした。発動自体はどこでも出来るのだが、維持が難しい。つまり、ずっと自身で発動を続けなければならい。

 そこで、コアの助言により《息吹(弱)》でと迷宮主の力を使い、起点にできる石を作り、それに技能を発動した。その後は効果維持は任せておけるわけだ。代わりに、卵にどんな影響が出るか分からないため、、卵は全部を廊下に移した。

 この技能で生まれた、迷宮の魔物がこっちの言うことを聞くかどうかすら分からないから念のため卵たちは廊下奥までもっていっとく。卵を食べられたらどうしようもないからな。


 奥の部屋を掘りながら、岩土を持ってく度に魔物が出現していないか確認していく。

 そう、出現するらしいのだ。ポップモンスターとでも言うのか。創造をする竜たちとは違い、何もせずとも生まれてくる魔物。消耗を前提とした使い方も出来るなと漠然と感じた。流石に自分で産んだ、卵達に迷宮を守るために死ねという命令はしたくない。

 ただ、この型の魔物ならそこまで気にせず命令出来るわけだ。そもそも、命令を理解できるほど高等な知能持ってるとも思わないが。


 数往復すると、硬いが同時に柔軟さも兼ね備えた何かを踏みつけ足の裏がゾワゾワした。足をあげてみると何やら体を甲殻で覆った虫がウゴウゴしていた。


 数匹、似たような虫が蠢いている。少しずつ間隔を開けながらじっとしている。


「普通に、いるな。これ、迷宮の魔物なのか」

『はい、最下級の下ともいえる魔物です。環境からみて、鱗虫だと思います』

「環境が違うと出てくる魔物も違うのか」

『竜という属性によるものですね。竜はどのような環境にも適応しその地で頂点に立つ生き物です。その形質を【迷宮の魔物】も受け継いでいるわけです』


 環境に適応した形作る生き物。竜自体でも強靱で、更に環境にも対応するのか。思った以上にハイブリッド生物だな。まだ、卵だけど。

 つまり、卵状態のこいつらも今は周りの環境に適応しようとしているのか。そう考えると昇竜石で生長速度増加せずに時間をかけた方がその分、強く育つのかな。卵に昇竜石を使うのは上手くないかもな。最初に昇竜石を使った、2つの卵はそのまま続行していくが。


 思考中の間も虫は、何もせずジッとしていた。

 この鱗虫の見た目は何というかカッこいいな。基本はダンゴムシの形状だが、ところどころにスパイクが着いており、触っただけで怪我しそうだ。脚部も節だっており、それなりに体高もあるので、低い段差を登れないということもない。といっても、膝下くらいだが。


 ちなみに、ステータスはこんな感じ。


 [ステータス情報]

 名称:

 種族:鱗虫

 階級:眷属

 性別:男

 年齢:0

 職業:なし

 レベル:1

 経験点:2

 生命力:42/42

 魔力:11/11

 〈技能(アクティブスキル)

 毒生成〈 Ⅰ 〉

 栄養返還〈 Ⅰ 〉

 〈特性(パッシブスキル)

 竜の体:劣〈 Ⅰ 〉

 竜力察知〈 Ⅰ 〉

 





 《低位鑑定》における情報では、あまりたいしたことないな。比較対象が俺くらいしかいないのもあるが、それでも迷宮の戦力として数えるには弱すぎるな。最低限の警戒と足止めくらいならできそうだが。

 鱗虫はこちらに気付いたのか、触角が盛んに動き始めた。その動きは、大事なものを降ろすようにゆったりとしている。

 迷宮の戦力としては頼りないが、仲間が少しでもいるというのは嬉しい気持ちになる。


「触っても逃げないかな」

『本能的に、レックスを群れのリーダーと見なしています。やり過ぎなければ大丈夫ですよ』


 手を近づけて撫でてみる。質感は堅い。甲殻は幾つも重なるように出来ている。撫でていると、嫌なのか体を揺するように手から逃げていった。ただ、こちらのことを害がないと思っているのか、仲間だと思っているのか分からないが、敵とは思われていないらしい。少し離れた所でまた、ジッとしている。


「でも、こいつら迷宮拡張には使えないな」

『そうですね。存在昇華(しんか)すれば少しは、言うことも聞くくらいの頭はできるのですが』


 なんぞそれ、しんかってあれかレベルを上げると見た目が変わる奴。


『魔物は、通常の生き物とは違い、その基盤を魔力においています。一定上の力を得るとその力に相応しい姿ヘと変化するのです。《低位鑑定》のレベルを最大まで鍛えれば、ステータス上で確認できるようになりますよ』

「迷宮主の配下を強く育てあげる力のことだな。だとすると、何とかレベルを上げたいけど、侵入者も然程来るわけでもないし、戦力が出来たら外に出てみるしかないか?」

『それなら、その鱗虫を食べては?』


 いきなり、とんでもないことを言い始めたコアに突っ込む。

「いや、仲間を倒してもレベルは……上がらなくはないのか。鱗虫も生きてるしな」


 確かに間違ってはいないと思わされた。以前の自分ならば、どうしていただろうか。嫌悪感で否定していただろうか、それとも生きていくには仕方ないと諦観するのか。


 ただ、もし今後、袋鼠とは比較にならない侵入者が来たときに、今の自分で、自分を、卵達を、迷宮を守ることが出来るだろうと考えたときに難しいと思った。

 コアの声が頭に響く。


『【迷宮】が吸い上げた力を多様な形で発揮するのが、【施設】です。《竜境の千変》はエネルギーの可視化・物質化します』


【迷宮の魔物】は、エネルギーを目に見えるものとして【迷宮主】に提供する。エネルギーをどう使うかは、【迷宮主】次第。そのまま、ほうっておくか、活用するか。

 ならば、俺は迷宮のために活用しよう。しないといけないだろ、どうなるか分からないが準備をしておかなくてはあらゆる事態に対処が出来なくなってしまう。


 鱗虫はおれが何を考えているのかを知らずに、ジッとしている。こいつらも生きている。ポップモンスターなんてとんでもない。言い回しでこれから起こることは変わらないのだ。


『エネルギーを回収するなら、食べた方がいいですよ。その身にあるものを全て自分でいただく訳ですから』


 鱗虫を背中部分から両手で摑んだ。以前なら、虫特有の頭部を見て食べるなんてとんでもない!と感じただろうが。今では、普通の食べ物に見える。

 《精神汚染》の特性が発揮しているのか。


 一口、頭からいった。

 そして、一言。


「美味すぎる!」


『よかったです』

次は、レベル上げについてかな

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