7 拡張1
ちょっと追記しました。次回も早く出します
[??年??月??日]【迷宮主になって4日目】7:51
じっくりと目を開き、体を伸ばしつつ起き上がった。本当に迷宮主の体は便利だと感じる。昨日の戦闘で、頭のうろこ?が剥がれたにも関わらず、完璧に直っており手で触ってみても全く問題がない。
周りを見ると、くっつく皮を持つネズミの死体が少し色が昨日の時よりも黒く変色していることに気づいた。死体は、嗅いでられない臭いではなく、獣臭かった。
(これどうやって片付けるか··食べるか?)
そして、そのことよりも驚いたのは《竜園の湧出》の効果範囲内の卵が昨日寝るときは産んだ時と変わらない大きさであったにも関わらず、今は自分の腰くらいまでは大きくなってる。さらに、ぼんやりと卵の中身も光りを帯びている。そのおかげで、中で寝ているように佇んでいる子竜の雛がよく見えている。他の卵はまだ特に変化は見られない。
ちなみにコアの話から、子竜は子供の竜ではなく、子竜という竜の種類カテゴリらしい。大きくなっても2m程の大きさになる竜全体を指すため、同じ子竜でも全く特徴や生態に違いがあるとのことだ。
『おはようございます、レックス様。昨日の傷のほとんどは癒えたのでしょう。今回の出来事は、今後の生活の上で非常に大切な学びになると思われます。』
「迷宮作りをほったらかしにしないで、ちゃんと作っていかないといけないってことか」
その前に大きくなった卵の状態をみるとするか。どれくらいで大きくなるかも知りたいからね
「《低位鑑定》」
[ステータス情報]
名称:なし
種族:子竜の卵
性別:なし
年齢:なし
コスト:20
レベル:3
経験点:2
成長点:56/105
生命力:25/25
魔力:10/10
〈状態〉
(孵化まであと2日と1時間)
まだ、それでも、あと2日かかるな何事もなければだけど。
『レックス様、早速ですが迷宮を再度開放して大きくしていきましょう。扉を開けなくても問題は無いですがそちらの方が効率が良いので』
「少し危険だけど、なるべく早めに迷宮を拡張していけば問題は無いだろ」
とりあえず、新しい空間を創って、配下の竜たちにとって活動しやすい空間に調整するとしよう。
《迷宮管理》を発動させて現在の迷宮をどのように広げていくかの模索をコアと意見交換を行いながら始めた。
【拡張工事中】
体からこぼれてくる《息吹》の余剰分を手に集める。《息吹》とは、竜ならば必ずあるエネルギー生産機関を技能として定義したものだ。
竜の肉体を維持するためのものであり、決して別のものに応用するものではない。よくある、口からドラゴンブレス!みたいに出すのはむしろエネルギー効率的には最悪なのだ。
迷宮の魔物がしばらくいないため、自衛の手段を探る上で《息吹》を放出する訓練をしてみたが、むしろ体のうちに留める方が自分としてはやりやすい。
照明として使ったりもしたが、あのやり方だとエネルギー生産力を分割しているからむしろ弱くなるなと思いやめた。てか、照明なくても特に支障ないし、明かりあると迷宮に入ってくる侵入者を手助けしてるようなものだし。
両手に留まるエネルギーが多くなったのを見計らって、目の前の岩っぽい壁を爪で掘る。見た目は岩系の材質だが、掘ると土みたいになる。そして、放置しておくとまた岩みたいになる。そんな不思議な土を、ある程度溜まったらまとめて入り口に持ってって、そこから捨てる。
《迷宮管理》の技能を使ったときは、掘った土とかは何処かにいって置き場所に困ることはなかったんだが、普通に魔力を多く使って動けなくなっちゃ意味ないんで自力で掘ることにした。天井の底上げや補強などは、さすがに《迷宮管理》で行うつもりだが。
そうしているうちに、掘った土が残っちゃうのでどうするかな考えてたところにコアが、
『入り口から捨てるしかないです』
とのことで、掘っていき、溜まったらまとめて入り口持ってって捨てるをひたすら繰り返した。
今だに入り口から入ったら魔王の部屋っていう、侵入者をなめ腐った構造のため、慣れれば、ぱっぱぱっぱと、動けるので割と作業事態は大変でない。
また、溜まったので岩状態になった土を抱えて入り口まで持って行く。岩状態になった土は、軽く自分の体重よりは重いだろうなって見た目をしているのだが、《息吹》を体に留める感じにすれば人形を持つ感じで運べる。肉体が強化されるというよりはエネルギーの鎧が肉体をアシストする感じだ。
入り口は開きっぱなしにしてある。入り口は明らかにおかしい。ここだけ、豪華な王族の謁見室の扉みたいになっており迷宮が自然の産物ではないだろと思わされる。開いた扉の向こうは黒と白と灰色が入り交じった混沌模様であり、健康に悪そうな色合いをしている。一度、さっと外を見てきたのだがその先も洞窟だっので探索は後回しにして、まずは迷宮を拡張しているわけだ。
そして、持ってきた岩土を思いっきり開いてる扉の向こう側に向かって投げつける。岩土が完全に向こう側に行った瞬間煙のように分解され消えていく。コア曰く、生き物かどうかで判断しているらしく、生き物以外は扉の中で消滅するらしい。いや、怖ぇわ。そんなところに俺は、何の実験もなしで自分で試したのか。
残りの岩土も同じように入り口にぶん投げて撤去し終えたので、迷宮の拡張作業に戻る。今は次の部屋に繋げる廊下を掘りながら、卵with昇竜石を見守っている。入り口直ぐの部屋に置いとくとまたネズミが来る可能性も考えて、廊下の途中に移してある。
廊下を十分に伸ばし終えたら、最初の部屋と同じくらいの空間を腕が届く範囲で掘ってその後に《迷宮管理》で天井の底上げと補強などをするつもりだ。
そのために、掘りまくる。道とかは余り整備せず、廊下になりつつある洞穴を掘り進んでいく。ある程度、掘り進んでいくたびに、コアに助言をもらいながら《迷宮管理》で道を固定していく。
固定作業は、《迷宮管理》の整備で行われる。俺のステータス情報でも確認できる技能の筈だが、作業を全部コアに肩代わりしてもらってるため、自分がやってるという感覚がない。
『迷宮も大きくなりましたら、この作業をやっていただきたいです』
「自分の技能なのに、自分じゃ何も出来ないはかなり問題だしな」
廊下の壁が淡く光り、消えた。これで通路の固定化は終了だ。何をやってるのかサッパリ分からないが、固定化された壁を掘ろうとするとかなり抵抗力があり突き刺さるのでやっとなほどになる。時間をかけて少しずつ削っていっても気づいたら元に戻るなど、確かに効果はあるなと感じた。
続いて固定化がかけられていない奥の方を掘るべく、進んでいくと迷宮内に侵入者が現れるのを感じた。
「あー、またさっきのネズミかな」
『反応は似た感じです』
「さっさと仕留めるか」
何が侵入してきたか確認するため、廊下の奥から最初の部屋まで移動する。廊下の床は、整備をしていないからひどく走りづらい。はっきり言って迷宮主になる前なら足を簡単にとられていただろうなという感じだ。
そのまま突き進んでいくと、部屋の中にネズミっぽい生き物が見えた。先手必勝とばかり自分の中の《息吹》を稼働させた。
俺の場合は外に放出するより、体内で循環させる方が得意なのだが、放出することを何も捨てた訳じゃない。遠距離攻撃は、それだけで武器になるからな。
溜めた《息吹》を外に放出させる、体から出てきたエネルギーを前に向かって飛ばす。勝手に前に飛んでるのではなく、飛ばしたエネルギーの中から前方に進むようエネルギーを消費してる感じだ。火の息ではなく、火の玉である。
勢いよく息吹玉が飛んでいく、その後ろを走りながら突っ込む。しっかり注意すれば避けることが出来る程度の速さだが、避けてネズミが体勢を崩したところをあと一歩まで近づき、体内で循環させた《息吹》を爪のように伸ばして一閃。
ネズミが放物線を描きながら、吹っ飛んでいく。昨日は、あんな苦労したんだがな。即死したっぽいネズミに近寄ってみる。爪で引っ搔いた断面が普通にグロイ。
(やっぱり、この前のネズミと同じ種のやつだな)
念のためと《低位鑑定》で自分のLvを確認してみたが、さすがにまだ上がっていない。竜らしく成長遅いのかな。
とりあえず、廊下を掘り進めるために戻りながら、ふとあることが頭の中に浮かんだ。
(俺、迷宮主になってから何も食ってねぇ)
生態系の下の方にいる、スカベンジャー的な魔物出したい。
ダンジョンで魔物たべながら、攻略していく話が好き