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子育て竜の迷宮暮らし  作者: デビルピート
4/9

4 名付け

 [??年??月??日]


 目が覚めた。朝日を浴びてる訳ではないが、素晴らしく寝起きが良い。まず、確認しようと思ったことは俺達の将来の頼もしき味方にて、息子、娘たちとも言える存在の安否の確認だ。卵は全部で9個ある。昨日は限界手前まで産んだので、この卵たちが産まれるまでは卵を産むつもりはない。

  情報は貰っているとはいえ、卵の見守り方なんてさすがにもらっていない。これには、しばらく試行錯誤していく必要があるな。


『おはようございます、マスター。外の天気は分かりませんが、良い朝ですね』

「ああ、おはようさん。早めに外の探索もしておきたいところなんだけどな」

『そうですね、卵をみてないといけませんからね。私では卵を守れないので』


 そうなんだよな、とにかく手が足りて無さすぎる。こいつら、孵化してからが本格的に行動できるかな?

 外への脅威に対して無力すぎる行動だが仕方ない。


「そうだ、こいつらの状態を確認してみるか。《低位鑑定》」


 俺は横になりながら、卵に《低位鑑定》を使う。


 [ステータス情報]

 名称:なし

 種族:子竜の卵

 性別:なし

 年齢:なし

 コスト:20

 レベル:1

 経験点:0

 成長点:9/15

 生命力:25/25

 魔力:10/10

 〈状態〉

(孵化まであと6日と16時間)


 ほー、8時間も俺は寝ていたのか。それに成長点も8程増えてる。1時間で成長点が1ずつ増えてるのか。


「ん?というか今ってどのくらいの時間なんだ?コア、時間を教えてくれ」

『はい、今の時間は迷宮(ダンジョン)が再起動してから約24時間、つまり1日位経っていますね。時刻は咆哮の時、マスターにわかりやすく言うと、10:00くらいですね』

「え、もうそんなに時間たっているの?まだ、卵を産んだだけな気がするが」

『いえ、貴方が情報の伝達と肉体の進化が終わった気絶していた時間が残りの16時間の内、10時間くらいなため時間が早く過ぎたと感じていると思われます』


 そうだったのか、俺ってそれほど気絶しているとは思わなかった。これからは、時間を数えておくようコアに頼んだ。《低位鑑定》だけに頼るのは不安定なので。


「しかし、どうするか卵を温める以外にやることが特にないな」

『いえ、マスターやれることはまだまだありますよ。迷宮の拡張、自身の能力の把握することなどとやることはまだまだありますよ』

「そうだったな、いかんな忘れっぽすぎてやるべきことを忘れていた。というか、俺自身を鑑定することもできるのか」

『はい、できます。能力の把握を済ましておくことを推奨致します』


 今まで、やっていなかったしな。《竜卵の産卵(スポーン・ドラゴン)》や《低位鑑定》の存在は知っていたが、他の能力についてはあまり知らないし、やるとしよう。


「《低位鑑定》」


 [ステータス情報]

 名称:なし

 種族:迷宮主(ダンジョンマスター)

 階級:騎士爵

 性別:男

 年齢:20

 職業:なし

 レベル:1

 経験点:10

 生命力:224/224

 魔力:164/192

 〈技能(アクティブスキル)

 竜卵の産卵〈 Ⅰ 〉

 低位鑑定〈 Ⅰ 〉

 息吹(弱)〈 Ⅰ 〉

 魔力操作〈 Ⅰ 〉

 魔力感知〈 Ⅰ 〉

 迷宮管理〈 Ⅰ 〉

 〈特性(パッシブスキル)

 精神汚染〈 Ⅰ 〉

 保温〈 Ⅰ 〉

 生命力自動回復(微)〈 Ⅰ 〉

 魔力自動回復(微)〈 Ⅰ 〉

 物理耐性〈 0 〉

 魔法耐性〈 0 〉

 感覚強化〈 0 〉

 竜語:共通〈 0 〉

 〈称号〉

 〈熱ある蜥蜴〉〈異界人〉


 おおー、さすが迷宮主と言うべきなのか最初からスキルかなり豊富である。それに、産んだ卵を鑑定した時には存在しなかった項目まである。というか、俺男のままやで。


「どれも気になるが。特に気になるのは、階級の騎士爵、技能の《息吹(ブレス)(弱)》や《迷宮管理》に称号だな。称号に至ってはあからさますぎるし」

『そうですね。本当にマスターが異世界から来た生き物だったとは。………今更ですが元の世界に戻りたいとは思わないのですか?』

「うーん、そうだな。元の世界のことはほとんど思い出せないし、姿に至ってはあからさまに化け物なヴィジュアルになった。これで元の世界に戻ったら、多分上手く生きていけない気がする。それに、この世界で迷宮主として、生きていくと決めたからな」


 それに、コアを独りにするのも寂しいからな。卵たちもまだ生まれてすらいないのだ。これを放ったままになんて俺にはできないな。そもそも、戻れるとは思ってない。


『変な質問に答えてくれてありがとうございます。私は、迷宮主の意向に従うことしかできません。もし、黙っていろと言われたら命令が解除されない限り喋ることはないでしょう。そうなったとしても機能上は問題ないのでどうとでもないですが』

「おいおい、どうしたんだよコア。俺達は言わば運命共同体だろ。助け合い、手を取り合うのは普通だろ。気にするな、それに俺には元の世界に戻るとかよりもっと重要な話がある」

『そうでしたか?貴方の迷宮主になった過程的から考えますと、今の話題が1番大事だと感じましたが』


「いや、それじゃなくて俺には名前が無いことだ」


 そう、コアにはマスター、マスター呼ばれてて違和感を感じなかったが、俺には名前がないのだ。この世界に来る前の名前はもはや覚えてないし。


『名前ですか、マスターに名称をつけるなら竜の迷宮主に相応しい名前をつけねばなりませんね。名前の候補としては、昔の竜の王様からとるのはいかがでしょうか?』

「ふーん、そんな奴もいたのか。てか、詳しいな竜について」

『まぁ、私の昔の元マスターなので、縁起的によくないかもしれないですが』

「それってお亡くなりになっているってことか。でも、いいんじゃないの参考程度には」


 何せ、竜の王様とまで呼ばれたドラゴンだ。さぞ、良い名前にだろう。


『はい、名前をコブラと言いました。かの龍は毒を用いて、侵略者を一人残らず溶かしていくほどの力を持った竜でした』


 いや、何それ強すぎだろ、何で死んだんだ?名前も偶然か分からんが強い毒を持った蛇の名前だしな。

 てか、ちょっと元の世界の記憶を思い出してきたな。いや、思い出してきたというよりは必要に応じて知識を引き出している様な感じだ。


「そいつの名前もいいが。もっと良い名前が他にもあるぞ」


『それは、楽しみですね』

 相変わらず、起伏の少ない声だが、何となくわくわくしている気配を感じる。


「コブラってのは俺の世界じゃ、非常に強い毒をもった蛇だった。それじゃ、竜ではないから、それよりももっと竜に近い昔の生き物に恐竜ってのがいたんだがその恐竜の王者とも言われたティラノサウルスのあだ名であるT-REXから取って、レックスって名乗るか」

『いいのではないですか、名前が似ていることは驚きましたがどちらにしろ強い存在から貰った名前は迷宮主としてぴったりと思います』


 名前も決まったことだし、技能を実際に使ってみるか。息吹(弱)は屋内だし、後回しにして《迷宮管理》ってのも使ってみるか。





 ◆◆◆





「おし、まずは《迷宮管理》から使ってみるか。これって、寝そべったままやっても効果は特に変わらない?」


 そう、今は卵を体で囲うように横になっているため、使えるのは頭部だけなのだ。


『《迷宮管理》は迷宮(ダンジョン)に作用する技能ですので、どのような体勢でも問題ないですよ』


 寝そべった状態のまま、技能《迷宮管理》を発動した。使うと、目の前にパソコンのような画面が空中から浮かび上がり、文字が書かれていた。



 [迷宮管理画面]

 ●拡張

 ●整備

 ●入り口[状態:開]

 ●状態確認

 〈設備〉

 ・小部屋(1)

 ・迷宮核〔竜〕(1)


 ほーん、情報によると拡張で大きな空間を創り、整備で部屋割りをしたり、細かいところや部屋の環境を変えたりすることができるらしい。入り口は、先程開いた黒い扉の開くか閉めておくかを決める項目だ。設備はそのまま、現在の迷宮の内訳なんだろうな。


『レックス様、迷宮の拡張を行うならば状態確認をしながらだとやりやすいですよ』


 状態確認を行うと、目の前に立体的な色の着いた像が浮かび上がる。それは、真ん中に黄色い迷宮核が浮かんでいる黒い立方体だった。


「これで全体を把握しながら拡張をするのか、どのように拡張していくか。竜だけしか迷宮の魔物(ダンジョンモンスター)はいないから、彼らが過ごしやすく、戦いやすいように広い空間を幾つか作ってみるか」

『個体によっては、地面に潜ったり、空を飛び回ったり、水中を泳ぐ個体もいるので各竜に対応できるように作っておくと、後の調整が楽になりますよ』


 なるほどな、竜だけで様々な環境にも適応はできるのか。産んだ時は、大丈夫か心配だったがこれなら竜が生まれさえすれば生きることはできるだろうな。あー、早く卵が孵化しないか楽しみだ。俺は、迷宮を拡張したり、整備しながらその日の残り時間を22:00に寝るまで過ごした。

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