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子育て竜の迷宮暮らし  作者: デビルピート
3/9

3 産卵

[??年??月??日]


 扉を開けた後、外に行くのは後回しにして中にこもってあることをすることにした。それに懸念事項もある。


 それは、迷宮主(ダンジョンマスター)になった時点で、俺がしなければならないことはもう決まってしまっていることだ。何せ、こっちに攻撃の意思はなくても、あちら側は殺る気待ち満々でくるのだから。もし、自分が迷宮主じゃなくて、普通に生きている知恵ある種族たちとしたら、魔力という摩訶不思議パワーから、魔力の制限は有限ではあるがいくらでも危険生物を生み出してくるのだ。そりゃ、さっさと排除したくもなるか。


「別に、俺は全く見たことも無い、聞いたことも無い人のために命をやれるほど寛大でもないし、やるか迷宮の管理」


 まぁ、この情報に意図的に渡されてる感はあるが事実でもあるのだろう。だが少し良いお知らせもあり、この世界はあまりにも多くの外的要因が多いため、文明もそこまで高度なものでもないらしい。数万並の軍隊が、突然ここに来てリンチにされることはないのは安心できた。


『行動指針を決めることは、迷宮を管理していく為にも非常に重要なことです。まずは、迷宮に配置する【迷宮の魔物(ダンジョンモンスター)】の創造を推奨致します。やり方は情報の伝達の際にも伝わっていると思うので、まずはやってみましょう』


 ………うん、やり方はわかるのだがこれをやらなくちゃいけないのか。他の迷宮主は、一体どのような方法で迷宮の魔物を生み出しているのか、つくづく迷宮主が忌避される理由が分かった。


「とりあえず、産みだすか」


 そう、()()()()。卵を。各迷宮主は、迷宮核や迷宮主の元の種族に関連している魔物を生み出すのだが、自分はそもそもこの世界の生きものでは無いっぽいので(薄々感じてはいたが)迷宮核の特性のみが反映されたらしい。


 その結果、迷宮核が持っている属性によって私は純粋で太古からの力の象徴とも言われているらしい【(ドラゴン)】を生み出し、支配する迷宮主となったのだ。最初、この情報を知った時小躍りして、喜びを声に出したくなったよ。


「だけど、こんな方法で呼ぶ必要があるとは思わなかったよ。最初から竜を生みだすものかと思っていたし」


 肛門からではなく、卵を産むようの器官から産卵をするのだが。そう産卵用の器官だ。なんと、産卵(召喚って言いたいが)をしようと思うまで気づかなかったのだが、体つきがかなり変わっていた。基本は肌色なのだが、よく見ると鱗になっており陰部、関節などを除いては鱗になっていた。さらに腰と背中の間辺りから、尻尾が生えており、その先っぽが件の産卵器官であるらしい。


「俺って男の筈だったんだがなー。先に産卵を体験するとは、そんな奴は俺ぐらいだろうな…」


 迷宮主にとって性差はあまり関係ないことを認識しつつ、嘆いてもしょうがないので〈技能(アクティブスキル)〉《竜卵の産卵(スポーン・ドラゴン)》を行うことにした。


『行う際は、卵が割れないように気をつけてくださいね』

「分かった、気をつけるよ。それじゃ《竜卵の産卵(スポーン・ドラゴン)》」


 尻尾の先端を地面に近づけ、魔力を尻尾周辺に集める。初めての作業だったが、呼吸をするかの如く当たり前の様に行えた。これが頭痛のおかげと思うと、微妙な気持ちになった。


 尻尾の先端が、ぐばぁと開くと付け根から何かが出てくるのを感触でも気づいたし、目で見ても分かった。元の尻尾の太さは付け根の部分は直径30cmでだんだんと細くなっていく形状だったのだが、今や一回りは大きくなっているように見える。


「おい、これ大丈夫なのか?痛くはないから、大丈夫なんだろうけどさ」

『マスター、問題はありません。マスターの肉体はその作業ができるように進化していますので』

「やっぱり改造されてたのかよ、俺の肉体。見れば分かることだが、言われると傷つくな」


 普通、卵を産まない生きものが卵を産もうとしたら精神錯乱して、おかしくなりそうだが、何故か何も悲しくとも感じない。むしろ、卵を産むことに喜びを感じる自分が居た。自分が心身共に迷宮主(ダンジョンマスター)になったことを再認識したのは、よかったのかもしれない。元には戻れないのだから。


「おっ、そろそろ出てきそうだな。…出てきた瞬間割れないよな?」

『迷宮主専用技能の《低位鑑定》をお使いになられてはいかがでしょうか。その迷宮の魔物の持つ能力が分かりますよ』

「そういえば、そんなのもあったなぁ。把握することが多すぎて、まだ使ってもなかったわ」


 適当に話していると、卵を産む直前になった。体から魔力ではない生命力のようなものを与えると、産み終わった。ちょっと疲れたなーというくらいか疲労しておらず、思っていたほどは疲れなかった。


「早速、鑑定してみるか。ええと」


 卵はくすんだ白色をしており、中から黄色いあかり点っているように見える。竜の卵らしいものに鑑定をかけることにした。


「《低位鑑定》」


 目の前に、水色で透明な画面のような物が浮かび上がりこの卵に関する鑑定内容がいくつも表示されている。


 [ステータス情報]

 名称:なし

 種族:小竜の卵

 性別:なし

 年齢:なし

 コスト:20

 レベル:1

 経験点:0

 成長点:1/15

 生命力:25/25

 魔力:10/10

 〈状態〉

(孵化まであと1週間)


「長っ!?こんなに長いの?生まれるまで」


『本来なら、種族特有の魔物も生み出せるので問題はない筈なのですが。何故かマスターの生体情報は見つからなかったため竜以外の創造が出来ないんですよね』

「エッ、やばくないそれ」

『竜だけに特化しているので野生の竜よりかは圧倒的に孵化は早いですよ』

「これって、1個だけじゃなくて複数産んだ方がいいだろ」

『そっちの方が効率もいいですしね』


 それから、魔力が切れる直前まで卵を産み、そしてたまごが割れないように卵を体と尻尾で覆いその日は疲れをとるためにも寝ることにした。

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