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子育て竜の迷宮暮らし  作者: デビルピート
2/9

2 理解

[??年??月??日]



  目が覚めた。最初に起きた時もこんな感じだった気がする。しかし、先程とは違うことがいくつもある。体も気絶する前よりも軽いし、体の痛みも頭痛も無くなっている。とりあえず状況確認のため立ち上がった。


「周りがよく見える、先程まで黒い空間と思っていた場所は地面に絨毯が敷かれただけのただの部屋だったのか」


 部屋が明るくなった訳ではなく、目がこの状況に慣れているのだ。光源はとくにあるようにはみえないのだが。部屋の中は下は絨毯が敷かれていて、目の前にやけに大きな扉が見える。


「だけど、1番の変化はこれだよな」


 目の前にふよふよと浮いている直径50cmはありそうなほのかに黄色に光っている丸い物体。下の方を見ると、ちょうどその形に合う窪みが出来ていた。


「意味がわからん。この丸い物体はなんだろうか」


『はい、マスター。貴方が丸い物体と称する物は迷宮を効率的に管理、支配するために用いられる迷宮核(ダンジョンコア)でございます』

「うおっ、また頭に声が響いてきたな。……もしかして、さっき気絶する前に俺に話しかけてきた声の主かな?」

『はい、マスター。先程は、迷宮主(ダンジョンマスター)になれる貴方が来たため迷宮の再起動作業を行いました』

「普通、そういうのって先に許可をとるものじゃないの?もう、契約的な物は結ばれたっぽいけど」


 先程の酷い頭痛は、迷宮主になるための基本能力と情報を見込みある個体にぶち込むためのものだったことは、今となっては分かるが。


(いや、しかし迷宮主になることへの嫌悪感が全くといっていいほどないな。さっきの頭痛は認識能力も弄っているのか、それとも元々自分がこういうことに興味をもっていたのか)


 考えれば考えるほど深みに嵌っていく気がしたので、深く考えることを放棄した。正しい現状把握の為にも、目の前の迷宮核に情報を聞くことにしよう。


「おい、お前……えっとなんて呼べばいい?」

『はい、マスター。私のことは仮にコアとでも呼んでくだされば』

「オッケー、コア。それとだが、いちいち律儀にマスターと呼ばなくてもいいぞ。ここには、俺ら以外に誰もいないからな」


 正直に言うと、何でこいつが喋っているのかとか自我っぽいものもってそうだなともっと他にも聞きたいことはあるのだが、今は自分の状態を優先したかった。


『了解です。それでは、提案ではありますが今すぐにでも迷宮の拡張及び整備を推奨致します。周囲の地形については、過去の物となりますが、地形の都合上大きな変化はないと思われます』


 それは分かる。先程酷い頭痛によってぶち込まれた情報の中にあることから、かなり上位に位置している優先事項ということは。


 更に、この扉の先一帯は、具体的に言うと山である。大陸でも最高峰の大きさなんてことはないが、ここらの地域に住んでいる知恵ある種族たちにとって、サイの頭のような形をした【ダイダニア大陸】の角部分の【ズンデーン地方】と呼ばれるここではそれなりに有名な山ではあるらしい。名を【コブ山】とよばれているらしい。単純にこぶのように平坦な所に出来ているコブのように見えためらしい。これらは、昔の情報との付け加えもあるため名称や地形が変わっている可能性もあるとのこと。


 俺らの迷宮はその山の中腹にある洞穴の奥に進むと来れるらしい。来れるらしいというのは、入り口付近は歪んでいるらしく【空間魔法】と呼ばれる〈技能(アクティブスキル)〉が使われているとのことだ。また、謎が増えた訳だが、空間魔法についてコアに聞いたら。


『現在、マスターはその情報に接触するための権限を有していないため、情報の取得は制限されています』


 と、杓子定規な受け答えをされてしまい教えてくれなかった。しかし、他の情報については確実に正しい情報と何度も言うのでとりあえずは信じることにした。


「とりあえず、扉を開いて魔力を中に通して換気……換魔力か?をするか。というか、この景色に飽きてきた」

『はい、それがよろしいかと。それと迷宮内の拡張も忘れずに行いましょう』


 本当に、それをしないといけないな。何せ、ぶち込まれた情報の中には迷宮主(ダンジョンマスター)は知恵ある種族たちにとっては優先的に討伐対象となっているから。

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