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再び目を覚ますと、龍王はメイリンの頭を優しく撫でた。龍王の細い指がメイリンの髪を梳いていく。

少し恥ずかしいが、心地良くも感じる。

これなら大丈夫だとメイリンは思った。


「すまなかった。」


絶世の美人から困り顔で言われれば、許しかない。

しかし、できるならもうやめて欲しいとは思う。

こんな事をされてはメイリン自身の心臓がもたない。


「私が番いなど、きっと何かの間違いです。第一に、女の子同士ですし。」


そのメイリンの言葉に龍王とカンレイが固まった。

二人は不思議な顔をして固まっついるが、それでも充分美しい。

メイリンはそんな二人を見つめて、首を傾げた。


「…誰が…女だと…」


龍王が唸る。


「お二人とも違ったのですか?」


メイリンが龍王とカンレイの顔を交互に見るが、龍王は俯き、カンレイは更に口を開けて固まっていた。


「私のどこが女だ!今すぐ証明してやる!!」

「殿下、御乱心はやめてください!!」


立ち上がって何かをしようとしている龍王をカンレイが羽交い締めにして止めようとしている。


「違ったのですか?」

「違う!」

「違います!」


メイリンの問いに二人が一斉に答えた。


「すみません…今まで見た人の中で一番美しい方だったので勘違いしてしまいました。…でも…それなら…もっと私が番いなんて違うと思います。」


メイリンが下を向く。

メイリンは自分を知っていた。

貧乏な羊飼いの子ども。

毎日手伝いをしていたから肌は浅黒く、手は酷く荒れている。

お金持ちの子どもが見れば汚らわしいと言うのが分かるくらい、あの子たちとメイリンは違っていた。

しかも、栄養が足りていないのか成長も遅く、小さく貧相な身体をしている。

カンレイが幼体だと勘違いしたこともメイリンは自分自身充分理解していた。


「それはない。今まで勘違いしたことなどない。生きてきて五千年、そんなことは一度もなかった。それが証明だ。」


龍王がきっぱりとそう言い切った。

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