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「殿下、それでは番い様がまた気を失ってしまいそうになっていますよ。」


メイリンは確かに気を失いかけていた。龍王の殺意は直接向けられないでもメイリンの呼吸を止めるほどだ。


「すまない…大丈夫だろうか、我が番いよ。」


先程釣り上げていた眉を八の字に下げ、心配そうに龍王がメイリンの顔を覗き込んでいる。


「…大丈夫です。それよりも、この状態をどうにかしてほしいです。」


メイリンは殺意を緩めてもらったお陰で少し咳き込んだが呼吸も落ち着いてきた。

しかしながら、どさくさに紛れて抱きしめられているこの状況もある意味危険だ。

あまりの動悸の激しさに目眩を覚える。

当の龍王はメイリンの言ったことを無視して、カンレイから守るように更にギュッと抱きしめた。


「一声お掛けしなかったことは番い様に、謝罪します。しかし、番い様は幼体であるため何かあってはいけないと思い、馳せ参じました。」


メイリンの頭の上で龍王とカンレイの視線が火花を散らす。


「番いは幼体ではない。成人している。」


殺気はないが、龍王の眼光は鋭くカンレイを睨みつけている。


「幼体では無くとも、成長途中ではあります。このまま番いになれば番い様の身体に負担がかかり過ぎます。そして、人間界のしかも同居中の家族にはまず挨拶をするのが礼儀だと辞典に書いてあります。これでは成人直後のか弱き女子を拐かしたことと同じです。」


龍王の強大な力に屈することなく、カンレイは反論する。


「王たる私を侮辱するのか?」


龍王は番いに当たらぬよう、ピンポイントでカンレイに殺気を当てた。流石のカンレイも息を飲む。


「侮辱ではございません。番い様のため、ひいては国王殿下のためでございます。」


しばしの沈黙が続く。


「…もう…ダメ…」


最初に音を上げたのは龍王の腕の中のメイリンだった。

メイリンは再び意識を手放した。

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