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「顔をお上げください。」


サーシャの声は優しかったが、メイリンは思いっきり目を閉じて歯を食いしばったまま顔を上げた。

メイリンは震えながら少しずつ目を開く。


「お可哀想に…」


恐る恐る覗いたサーシャの瞳はわかりやすいほどメイリンを哀れんでいた。


「ここまで追い詰めたのは私たちです。謝るのは私たちの方です。」


サーシャは膝を地面に付けて陳謝する。



「そんな…私は…裏切りました。サーシャ様の教えてくださったことを無にして、国を裏切ったのです。」


メイリンもそのまま膝をついてサーシャと目線を合わせた。


「裏切ったのはこの国の人々です。私たちは見限られただけななのです。メイリン様のような赤子同然のお子に私たちは様々なものを押し付け、何度も痛ぶったのです。」


サーシャは静かに涙を流した。

その光景にメイリンは更に慌てる。


「ごめんなさい。…我慢すれば良かったのに…できませんでした。」


何度殺されそうになろうとも、龍王はメイリンの息がある限り存命させるだろう。

ならば甘んじて受けていればいい。

それだけなのに、それだけでいいと分かっているのに、メイリンはそれを抱えきれなかった。


「まだ小さな子どもなのです。我慢などしなくて良かったのです。私は…龍王陛下の番が見つかった知り、心から良かったと思いました。しかし、メイリン様と会って、これほど小さな子どもに背負わせるのかと陛下に不信感を感じていました。メイリン様は人間の社会では成人していらっしゃることは知ってはいますが、龍に当てはめれば赤子同然、子どものように幼いのに特有の肉感もない痩せている姿で…ずっと同情しておりました。私の子と言ってもいいほどの子に大人として教えなければならないなど…そしてメイリン様は陛下と私に急速に大人にさせられたのです。」


メイリンも急に大人になった自分の心と身体に戸惑わなかったと言えば嘘になる。

しかし、嬉しいこともあった。

少しずつ人並みに成長し、龍王の望みに応えれるようになていく身体も、文字を知り書けるようになったこと、人の気持ちを前よりも考えられるようになったこともそのどれもがメイリンには嬉しかった。

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