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私は死んでしまったのではないだろうか。


メイリンはそう思っていた。

薄っすらと開けた目には白しか映っていない。

それは真実では無いと外野の声が知らせる。


「起きたか?我が番いよ。」


メイリンが声のする方を見ると、開きかけていた瞼を完全に見開いた。

声の主は文字通り、目の覚めるような美人だった。

白く真っ直ぐな髪は日が当たると虹色に光り輝き、瞳は雲一つない青空を凝縮したような色に蜘蛛の巣についた雫の様な輝きを放っている。

変な例えだが、宝石を見たことがなかったメイリンにはそんな風に見えた。


「…あなたは?」


メイリンは自分を迎えに来た使徒、もしくは天女だと思った。

やはり私は死んでしまったのだと。


「そなたの番いであり、この国の王、龍王である。名は…」

「龍王!」


龍王と言った美人の言葉を遮り、メイリンはその言葉を叫んだ。


「ああ、私が龍王だ。外を見てみろ。」


大きな窓の外では色とりどりの龍たちが自由に空を飛んでいる。

こんなに沢山の龍をメイリンは初めて見たし、メイリンの周りでもこんなに多くの龍を見たことは無いだろう。


「龍の国…」

「そうだ。龍の国、龍華王国だ。」


この人が龍王…


メイリンはなんだか納得した。

この隣にいる美人の髪の色は龍王の白だ。

そしてこんな絶世の美人が人間であるはずがない。人々の理想を詰め込んだような容姿は老若男女問わず虜にし、溜息をつかずにはいられない。

外見にはあまり興味のないメイリンもこの時点で何度か息を呑み、溜息をついた。


「龍王さ、ま…」

「なんだ、我が番いよ。」


我が番いって…そのことを問いただす前に、勢いよくドアが開かれた。


「殿下!番い様が目を覚まされたと…」


青い髪をしたこれまた真っ直ぐな髪を持つ美人が部屋に入ってきた。

それを龍王が眉間に皺を寄せてあからさまに怒りの意を込めて睨みつけている。


「カンレイ、我が番いを見ることを許したわけではないぞ。」


低い唸り声のような声色でカンレイと呼ばれた青い髪の美人を龍王が威嚇する。

一触即発とはまさにこのことだろうか、絶世の美人からむせ返るほどの殺意が溢れ出していた。

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