67
メイリンは窓辺で庭を見ていた。
毒の影響で首から下が動かない状態だったが、今は上半身なら自由に動くようになった。
「メイリン、寒くないか?」
龍王はメイリンを膝に乗せて、甘くとろけるような面持ちで椅子に座っていた。
メイリンが何かあるごとに龍王は仕事を休み、メイリンに付き添う。
それがまた周囲のメイリンと龍王の評価を下げていると、メイリンは知っていた。
知っていたが、ここ、後宮に正確に伝わることはない。
龍王は心を痛めながらも見て見ぬふりをしているか、それともメイリンの心を思いやっているのか…多分その両方だろう。
その優しさと自分と同じく少し愚かしい感覚があることにメイリンは安堵する。
振り返ったメイリンは返事を忘れて龍王を見つめていると、龍王はそのまま口付けを落とす。
メイリンは龍王との接吻が好きだ。
不安が無くなる様な気がするから。
それが悪いことだと知っていても、自分がこれ以上どうすればいいのかわからなかった。
逃げ込んだ居場所さえ、侵食され奪われる。
二人して一心不乱にのめり込んだ接吻はちゅっと音を立てて、互いの唇が離れた。
「メイリンは悪い子だ。こちらが困るくらいに素直で可愛すぎる。」
私には貴方しかいません。
事実だと言えども、まるで悪女の様な言葉をメイリンは飲み込む。
「会えない時間があればこそ、短い時間は素直で居たいのです。」
悪に染まれないメイリンの出した言葉は如何にも模範的な言葉だった。
今の言葉はサーシャは褒めてくれるだろうか。
サーシャは大事を取るため、ひと月はメイリンの住む後宮にはやって来ない。
後宮は今やメイリンと龍王の二人っきりになってしまった。




