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メイリンのやつれた頬に龍王は気づき、いつもはキリリとしていた眉を八の字にして戸惑っていた。
傷は治ってきているが、メイリンの食欲は殆ど戻っていない。
それを寝ているばかりだからといい訳するが、メイリンの体重は着実に減ってきていた。
「すまない、メイリン。」
龍王は傷に響かないように優しくメイリンを抱きしめる。
メイリンにとっては唯一不安を感じない時だ。
抱擁をねだる子どものようにメイリンは龍王にしがみついた。
怖い。
けれどそれを言えば龍王は一掃してしまうだろう。
この城の中でメイリンを受け入れているのは龍王ただ一人しかいない。
少なくともメイリンはそう思っている。龍王の側近であるカンレイさえメイリンを仕方なく受け入れているが、疎ましく思っているような態度は時折見て取れた。
サーシャも番としての振る舞いをよく褒めてくれるが、心の中でどう思っているかはわからない。
その二人はまだマシな方で、侍女でさえ仕事はしてもメイリンを無視するような態度だ。
この城の中で一体どれだけ龍人がメイリンを疎ましく思っているのだろうか。
その中でどれだけの龍がメイリンに対して害意を持っているのだろうか。
考えるだけでメイリンの心は重く潰れそうになる。
それだけの龍を一掃したとなれば龍王とて、立場は危うくなるだろう。
そして龍王の築き上げてきたものさえ壊してしまう。
メイリンは何度も息を飲むように、感情を飲み込む。
飲み込んで、飲み込んで、何もなくなってしまうくらいに。




