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本当は今日、龍の春一番の翌日は成人した独身の男女が集まり、ダンスを踊るお祭りが催される予定だった。
それはもちろん、嫁探し、婿探しのためである。
メイリンにとっては婿探しなどどうでもいいことだが、あの集団のことがお祭りが憂鬱だった理由だ。
あの集団はメイリンが小学校に通っている時から、貧乏人であることが気に入らないのか、もしくはストレス解消や遊びかわからないが、メイリンをいじめていた。
メイリンも初めは気にしていなかったが、段々と過激になり、遂にはメイリンは小学校に通えなくなってしまったのだ。
ローヤンはその時からメイリンを庇ってくれたし、小学校に通えなくなった時もわざわざメイリンの家に寄って学校で習ったことをメイリンに教えてくれた。
今メイリンが羊をきちんと数えられるのも、ローヤンのおかげだ。
見た目も素朴でお金持ちの家系ではないけれど、ローヤンの優しい強さに心惹かれる女の子もいたと思う。ローヤンならお祭りもきっと楽しめた。
だけれどもメイリンがローヤンを連れて帰ってしまったのは、本当はローヤンを他の人に譲りたくない気持ちもあったのかもしれない。
メイリンは恋と言うものは分からなかったが、ローヤンと結婚すれば穏やかで幸せな家庭を築いていけると知っていたから。
私ってずるいかな…
メイリンは星に照らされたローヤンの顔をチラリと見た。
そして、手を繋いで星を見た幼い頃には戻れないことを知る。
できれば、いじめを庇ってくれたこと、勉強を教えてくれたこと、一緒にいてくれたこと、その分を側で返していきたい。
それじゃあダメだろうか。