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「羊を見に行って良いですか?」
今まで自分が面倒を見ていた羊が気になり、メイリンが龍王にお願いする。
「ああ、構わぬが。」
「ありがとうございます。」
メイリンはさっきよりも落ち着いたカイリを下ろした。
どこかに行こうとするメイリンにカイリは少し愚図ったが、すぐ帰るからと言うと落ち着いたようだ。
「龍王様、少し歩きますが大丈夫でしょうか。」
「大丈夫だ。」
龍王はそう言ってメイリンを抱えようとしたが、メイリンはそれを恥ずかしそうに拒んだ。
「流石に家族の前では…私は歩けますので、今日はこれで。」
メイリンは龍王の腕に自分の腕を絡ませた。
「大丈夫ですか?」
メイリンが龍王の顔を覗き込む。
「…悪くない。」
龍王が顔を緩ませて笑うのを確認してメイリンは歩き始めた。
「あちらが町の方角になります。それとは逆の方角、山脈の方が羊を放しているところです。」
メイリンが何もない草原の中を案内する。
思えば、メイリンは龍王に自分がどんな生活を送っていたのか知って欲しかったのかもしれない。
長く生活をしていくからこそ、メイリンの根源を知っていてほしい。
それはわがままかも知れないけれど。
メイリンが居た時は蕾だった黄色い花たちはもう枯れて、代わりに白い花が草原一帯を彩っていた。
春ももう半ば。
少しずつ季節が変わろうとしているところをメイリンは今になって気づいた。
「ハクレン様、ハクレン様と出会い1カ月もの時間が経っていたのですね。」
「1カ月も、か。」
「はい。1カ月も、です。季節は1カ月ないし、数日で
変わってしまいます。龍華国の季節の移ろいも見てみたいものです。」
龍王には見飽きたものかも知れないが、メイリンにとってははじめての経験になる。
メイリンもまた龍王のことを知りたいのだ。
龍王が暮らす国のこと、龍王の治める国のことも含めて。
「では、城に戻った時は外を散歩するとしよう。」
「はい、楽しみにしています。」
少しずつ揃う二人の足並みにメイリンは達成感と幸福感を感じるよになっていた。




