ガイジン
スランプの時に書いたものになります。
現在、地球の国々は一つになった。
正確には国境という概念が消え、人種の区別が地球人に統一されたということだ。
そして科学の進歩により、私達は宇宙の開拓すらもするようになっていた。
私は父に婚約者の候補として、別の星に住む異星人を連れてきていた。
彼女は優しい性格なうえ、頭も良く、料理の腕も良い私としては最高の候補だった。
何より私達はお互いにお互いを愛しあっていた。
しかし、両親は言った。
「だめだよ、その子はガイジンだから。」役所の人もそう言った。
国という概念が消えたら次は星、環境は変わるのになぜ人の心は変わらないのだろう?
なぜ彼女じゃいけないのだろう?
種が違うからか?
子が生まれないからか?
文化が違うからか?
あぁ、彼女に代わりはいないのに…
結局、彼女は故郷の星へ帰っていった。
涙というものが彼女には備わっていないらしい。
変わらぬ表情のまま手を振って星へ帰る彼女を、私はクシャクシャの顔で見送った。