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私、冒険者になる

シリアス脱しました〜シリアスって書くの難しいですね。人の心情とか特に。ここら辺からまたギャグ要素混ぜていきますよ!


・不適切ではないと感じる表現があるかもしれません

・暴言が入っているところがあります

・元ネタのあるネタを使っている場合があります

・作者は元ネタを齧ったことがあるだけのにわかです


以上の項目が大丈夫な方だけどうぞ!

「…冒険者登録を、させていただきたいのですが」



グラディナ家とリエーレ家が襲われてから6時間が経った。未だに、ルフォアは呆然としたままだ。だからといって私まで呆然としている訳にはいかない。生きる為には、金がいる。そう、金を稼がねばならないのだ。けど、10歳の子供に出来る仕事なんか身売りくらい。でも私は違う。


冒険者登録が出来るのは、10歳から。丁度、私の歳だ。けど、10歳で冒険者登録をするなんてよっぽど生活に困窮しているか、英雄譚の中の英雄に憧れる無垢な子供だけだ。

私達は前者。生活に困窮している。なぜなら、私達は身一つで屋敷から逃げ出し、持っている物と言えば、私の剣2つと私達が着ているシルクの服ぐらい。私の剣は冒険者になるために必要なものだから、売るわけにはいかない。

服は売れば危ないものと間違われて犯罪者になってしまうかもしれないし、ルフォアが風邪を引いてしまうかもしれない。ちなみに言うと、私は状態異常耐性があるので、風邪を引く心配は一切ない。


喉が渇いても、飲むものさえ買えない。お腹が空いても、屋台で何かを買うお金もない。こんな状態では、限界が近くなってしまうことくらい子供でも分かる。

そこで私は、最終手段に出た。そう、それこそが冒険者となって日々を生活するお金を稼ぐという方法だ。これは、危険な選択肢だと分かっている。もしかしたら、私が守るべきものが、ルフォアが死んでしまうかもしれない。けれど、ルフォアを置いて行けば、質の良い服に目をつけた下賎な輩に連れ去られてしまうかもしれない。

ならば、ルフォアを連れて行き、私がルフォアを守るというのが今考えられる最善の策。幸い、私にはこの世界の人間など取るに足らない程の能力がある。これを駆使し、ルフォアを守る。それが今の私に出来る唯一のことだった。


けれど確かに、不安もあった。親や身近な人の死を目の前で見て心を閉ざしてしまったルフォアに、魔物とはいえこれ以上の死をその瞳に、脳に、心に刻みつけてしまってもいいものかどうか。迷いに迷った末に、ルフォアを連れていく場合は、寝ている状態か目が見えない状態にして連れていこうと。

ルフォアが心を開き、少しでも自己防衛が出来るようになれば、どこかに置いていくという選択肢を取ることもできるだろう。それまでの間は、何があっても私が、ルフォアを守ってみせる。



「冒険者登録は10歳からとなりますが…」

「ええ、承知しています。私は今年10歳になったばかりですが、きちんと規定を満たしています」

「…畏まりました。冒険者登録をなさるのは貴方様だけでしょうか?」

「はい」

「承りました。文字の読み書きは出来ますか?出来ないようでしたら代わりにお書き致しますが」

「いえ、大丈夫です」



冒険者登録受付と書かれた看板の下にいた受付嬢は、質の良い少し煤けた服を着ている私達を見て、不審な顔をした。何故こんなところに良い所のお坊ちゃんが?とでも考えていそうな顔だ。実際、その通りなのだろう。

けれど、そこは屈強な者達を相手にしてきただけはある。丁寧な物腰は決して崩さず、即座に笑顔を浮かべる。私の後ろに隠していたルフォアへも登録するのかをしっかりと確認する所を見ると、相当慣れているのだろう。流石の一言に尽きる。


受付嬢から渡された紙を眺める。

そこには、記入欄がいくつか設けられており、そこの上にある質問に対する解答を書き込んでいくようだった。そして、注意書きに「これは冒険者カードにも使用する文章ですので、適切な表現でなるべく短くお願い致します」と書かれていた。丁寧なことだ。

1つ目は、名前と年齢について。

ここは迷うところでもないので、サラサラっと書いてしまう。

2つ目は、得意分野について

ここには、魔法職でーす!とかタンカー(重戦士)やってます!的なことを書くらしい。…どうしよう。別にタンカーやってもいいんだけど…でも、ルフォアがいるからなぁ…

…よし、決めた。基本サーベル1本の剣士と書いておこう。こういう荒くれ者が集うところは、重い武器こそ強い!とか思ってる奴多そうだし。こうやって書いとけば絡まれることも少ないだろ。完璧に私の偏見だろうけどな。


こうして少し迷いながらも書いていき、書き終わった紙を受付嬢に渡す。すると、受付嬢はそれらの項目にさっと目を通して不適切な表現が混じっていないか、文字のミスはないかを確認した後、こちらを向き「冒険者カード作成にはしばらく時間がかかりますので、少々お待ちください」と言った。

その言葉に私は迷った。しばらくとはどのくらいの時間なのか。5分〜10分くらいならここで待機してもいいが、20分以上かかるようであればその間は外に出ていたい。ここに居るともしかしたら絡まれてしまうかもしれないし、それに、未だ呆然としているルフォアがこの間に自分を取り戻したら怖くて泣いてしまうかもしれない。面倒事は御免なのだ。


結局私は、ギルド内で待つことにした。

絡まれてもルフォアにさえ害がなければいいのだし、近付いた奴絶対殺すマンの雰囲気を醸し出しておけばいいだろう。



〜〜〜



「お待たせ致しました。こちらが冒険者カードになります。内容に間違いがないようでしたらこれで冒険者登録は完了となります」

「はい、間違いないです」

「畏まりました。では、軽く説明をさせて頂きます。そちらの冒険者カードは身分証にもなりますので、紛失等なさりませんようお願い致します。また、何か問題を起こされた場合などは冒険者カード剥奪となる場合もございますので、ご了承くださいませ。詳しいことはこちらのギルド案内に載っておりますので、お暇な折に御一読ください。それでは、よい冒険を」



私は今、受付嬢の本気の滑舌を見た。これだけの説明を1度も噛むことなく言ってのけたのだ。それも、結構な早口で。凄いんだな、受付嬢って。何だか見直した。そんなことを思いながら受け取った冒険者カードには、名前、得意分野、冒険者ランクが記されていた。

冒険者ランク。ゲームなどでもよくある制度だ。未来ある新人が無闇に死なないようにするためのもの。このランクによって受けられるクエストの難易度やパーティーメンバーを募集したりする。ゲームの冒険者にはランク=強さと考える者も確かにいて、新人キラーが居たものだ。

まあ、そんなくだらないことをするのはそうしないと生きていけない程弱いヤツか性格のねじ曲がったやつだけだ。何故なら、そんなことをするよりもクエストを受けて魔物を倒し、報酬を受け取る方が効率がいいからだ。ここにそんなことをするバカが居ないことを祈るばかりである。


私の今のランクはF。新人冒険者に与えられる仮のランクのようなものだ。冒険者界隈ではDランクからが本番。それまでは、簡単な薬草集めやお使いクエストが多い。それらを7〜10回こなせば、自然とランクは上がる。

そして、Eランクでは、街の何でも屋のような立場になる。煙突の掃除から大した攻撃手段を持たない兎や鼠の魔物を狩ったり。様々なことをする。それらをこなせば、ようやくまともな魔物を狩るクエストを受けられるDランクになる。


しかし、今の私にそんなことをしている暇はないのである。一刻も早くこの服の汚れを落とし、今日の食事と宿を確保しなくてはならない。そろそろルフォアの体調が心配なのだ。今までこんな状態に晒されたことがなかった体が、驚いて対応する際に急激に熱を出すことだって有り得る。もたもたしていられない。

私は冒険者登録受付と書かれた場所からギルド内の換金所に向かう。向かう先があクエスト受付でないのは、Fランククエストで稼げる量などたかが知れているから。それではルフォアの周りの環境を万全にすることが出来ない。それでは意味がないのだ。だから、当分はクエストではなくフリーで近くの森に行き、そこで狩った魔物を換金所でお金に変えるという戦法でいく。

ある程度の余裕が出てくれば、きちんとクエストを受けてDランク程度には上げてもいいだろう。



「すみません、お聞きしたいことがあるのですが」

「なんだ、小僧。ここはお前みてぇなガキが来る所じゃねぇぞ」

「申し訳ありません。けれど、これでも一応冒険者なのです。なりたてではありますが」

「…そうかよ。それで、ききたいことってのは?」

「ええ、この街付近の森などで1番高く売れる魔物を教えていただけませんか?」

「この街付近でね…何故そんなことを聞きたがるってのは愚問か。この街の東にある大森林の中央付近にいるブラッドバットだな。その名の通り、血のように赤い色をしたコウモリだ。」

「なるほど、ブラッドバットですか」

「ああ、あいつの牙や翼は頑丈なので有名だ。加工するのにもひと工夫いるが、素材としちゃそこそこってところだ。牙と翼が無傷なら、定価に色付けしてやる」

「そうですか、分かりました。ところで、ブラッドバット1匹でどれ位の金額になるんでしょうか」

「そうだな…状態にもよるが、さっき言ったように牙と翼が無傷なら150ペルは払ってやる」

「150ペル…お教えいただいてありがとうございました。良い素材を持ってこさせていただきます」

「けっ…まあ、死なない程度に頑張りやがれ」

「はい、そうさせていただきます」



通貨の統一はされていない。ただし、人族で主に形成される街ではペルと呼ばれる通貨が主に使われる。1ペルが日本でいうところの100円程度の価値。つまり、さっきの換金所にいた強面のツンデレお爺さんが提示した150ペルは日本円に換算すると15000円。そこそこだ。

まあ、街に近いこともあって、冒険者によって定期的に間引かれているから高ランクの魔物が存在しないのだろう。ちなみに、Fランクのクエストで受け取れる報酬は10〜30ペル。ただのお小遣いだ。

何の不自由なく暮らしている子供がお小遣い稼ぎにやるなら満足出来るかもしれないが、冒険者で暮らしていこうと考えているものには全くもって足りていない。


さて、冒険者になってから初の狩りだ。

次は(私の)お待ちかね戦闘シーン!いやー楽しみです。何の予定も入らなければ明日も更新します!


〜おまけ〜

コンコン


「鈴子ぉ〜?偶には下に顔見せなさぁ〜い」


ガチャッ


「あれ、居ないわねぇ…まあ、あの子のことだし、しばらくしたら帰ってくるでしょ」


ギィ…バタンっ!


〜〜〜

女神様の予想通り、ニートは居なくなっても心配されませんでした。主人公、ドンマイ!

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