チェロ
チェロ、と聞いて棒状の砂糖をまぶした美味しい小麦粉のお菓子を想像した方。ハグ!
それはチュロスです。
え? 字数も違うし文字もチとロしか合ってないって? いやいや書いてみましょう。
チェロチュロスチェロチュロス
ほーら目がくるくるしてきた。
あ、チェロの方がエンドピンをこちらに向けて迫って来ているのでこれぐらいにします。はい。
さて、チェロです。
実は弦楽器で弦バスと並んで好きな楽器です。音色がエロ……げふんげふん。
音色が艶やかなのですね。
耳に心地よいというか。
音域は男性の声の幅でいう所のテノールからバスにあたる音がでます。
オーケストラの中では指揮者の向こうの中間によくいる人達。音楽的にはヴァイオリンを支える場合もあるし、ソロ部分として楽曲の中でも別の動きをしている事もあるし、幅広く使われる楽器です。
楽器の構造として特徴的なのは、やはりエンドピンでしょうかね。
楽器を支える為に下の方に付いている少し太い伸び縮みするピンなのですが、先端が鋭利にとがっていてですね、演奏中は舞台にブスッと刺して弾きます。
舞台の板の振動も利用して音を響かせているのですね。
また、演奏している姿も特徴的ですね。
右手は弓を操るボーイング、左手は弦を押さえるポジショニング。ネックは必ず顔の左側になる様に配置して、楽器本体は両脚の間に挟む方もいれば、膝あたりで支えている方もいます。
あの弾いている姿も素敵なのはちょっとずるいですね。絵になります。
そうそう、チェロの回にコンチェルトのご紹介をするのでした。
なぜチェロの回か、というと、ヴァイオリンの次にチェロのコンチェルトは多く演奏され、また素晴らしい曲が多いからですね。
……う、うん、ヴィオラ、ヴィオラも素敵なコンチェルトあるよねっ
テレマン作曲、ヴィオラ協奏曲 ト長調
とかおススメよね!
(ふいー)
さて、コンチェルトをご存じない方の為に少しだけ説明をしますね。
コンチェルト(協奏曲)とは、ソリストとオーケストラ(又はピアノ)が一緒に演奏する曲です。
楽曲の形態として特徴的なのは、カデンツァがある事です。
では、カデンツァとは。
独奏です。どソロです。これを弾く時はオーケストラの助けもありません。
観客、オーケストラのメンバーもソリストの音色、技量に魅了される、またソリスト奏者にとっては緊張する場面ですが、僕、私の音を聞いて! と自由に伸びやかに歌う事が出来る場面でもあります。
また、だいたいのソリストは既存の楽譜に付属している、昔の名手が作ったものを弾きますが、ベテランになっていくと、自分でカデンツァを作ってそれを披露したりもします。
超絶技巧を聞かせるものもありますし、オーケストラプレイヤーが作ったカデンツァは雰囲気を壊さず、ソリストの技巧も魅せつつバランスが取れているので、私は自分で演奏するならば個人的に後者が好きです。
ただ、曲によっては、このカデンツァがもう楽曲の中の一部であるぐらい有名なものもあるので、その場合には素直に、そのカデンツァを弾きます。
なぜなら観客のイメージとしてもうそこにあるので、そこを崩しても良いと思われるカデンツァでなければ冒険はしません。
挑戦的なプログラムも、伝統的なプログラムも、どちらも大切だな、と思います。
あ、チェロコンといえば一つ困った時がありました。いえ、チェロコンだから、という訳ではなく、たまたまだったのですが。
あるアマチュアのオーケストラにエキストラで入った時の事です。
ドヴォルザーク作曲、チェロ協奏曲
指揮は頑固そうなじーちゃん指揮者。
ソリストは若手の女性。
指揮者のテンポとソリストの歌い方が大幅に違ったのです。
本来ならば、そこら辺ちゃんとソリストと指揮者で擦り合わせなければいけないのですが、ソリストは指揮者には伝えずに自分の歌い方は変えない。
指揮者は私がソリストに合わせて吹いているので、指揮者のテンポに合わせなきゃダメだと言ってくる。
や、あなたのテンポに合わせたらソリストとアンサンブル出来ないんですよ……
と、一度分かってもらう為に指揮者のテンポに合わせてもやって違いを見せるのですが、指揮者はソリストと合わないのに、指揮者のテンポで合わせて演奏したら文句を言わないのですね。
ダメだこりゃ、と思ってですね。
楽団員と協議の結果、ソリストに合わせる事で一致して、その場面だけは指揮者は見ないでソリストの弓に合わせて演奏しました。
ドヴォルザークのチェロコンのフルートは特にソリストとの重要なからみが多くて、その時にひとの話を聞く耳持たない指揮者だと非常に苦労します。
ちなみに、前を向いているチェリストとどう合わせるか、というと、チェリストの腕の動きと身体の動きに合わせて予測で入ります。
弦楽器は音を出す為に必ず予備動作をするので、それに合わせて予測して合わせるのですが、その時に呼吸をしてくれるソリストか呼吸をしないソリストかでも合わせ方が違います。
弦楽器に限らず、管楽器以外のソリストさんにお願いしたいのは、音を出す前は呼吸をしてくれーーー!
という事。
突然身体の振りだけで始められても、ビッタシ合わせられないんじゃーーーー!!
こちらは息を吸わないと音が出ないんじゃーーーー!!
ぜいぜい。
結構ね、オーケストラプレイヤー、戦っています。
さて、そんなオケプレイヤーでもありソリストとも活躍できるチェロに選ばれた人は。
(あー、無理矢理戻したって石投げないでー)
こほん。
あの美的な奏法に耐えうる容姿の方が多いです。美男美女。多し。
また、ソリスティックに歌う事も求められ、アンサンブルとしての合わせも求められる楽器なので、合わせるけれども物申す人達ですね。きちんと自分というのを持っています。
僕たち、私たちの音で酔いしれなさい、とメロメロにしてくれつつも、楽団の為に地味な刻みもいとわない職人の顔も持つ。
バランスの取れた人達です。
……モテます。
アデュー
ドヴォルザークの表記ですが、ドボルジャーク、ドヴォルジャークと多岐に分かって表記されています。
ひとえにチェコ語の発音が難しいゆえの弊害ですね。
世の中で一番発音が難しいそうです。
どちらにしても、「新世界より」を作曲した素晴らしい作曲家であることは間違いありませんね。
今回は私が馴染んでいる呼び方で表記させて頂きました。
ご了承下さい。




