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ヴィオラ

 

 ヴィオラと聞いて楽器を思い浮かべる方は、クラシックファン。

 パンジーに似た可愛らしい花を思い浮かべる方はガーデニングファン。(こちらはビオラ)


 またしても怒られそうです。でも本当なのです。ビオラ、と一度でもググった人は知っている。

 楽器よりも花の画像が出てくる事を。

 で、あれ?と思う。

 そして本当の名前はヴィオラ、なのです。


 ぐはぁ、、、花に負けた。

 と、思うかなかなぁ、性格的に。

 たぶん思わないと思います。

 だってヴィオラですもの。


 なぜか、というのはまた後程。


 さてまず、一般の方はヴァイオリンとヴィオラの区別、つかないのではないでしょうか。


 実際に並べて比べるとサイズ的にはヴァイオリンより結構大きめなのですが、構え方、奏法がヴァイオリンと一緒なのでピンとこないのです。


 オーケストラでは客席から見て、よっぽど指揮者の右側に並んでいます。

 そして人数がいるのに、オーケストラではヴィオラの音を突出して聞くことは少ないのでは、と思います。


 何故ならば!

 ヴィオラは中低音の花形なのです!

 ……無理矢理、華やかに見せてみました。


 いや、音楽の構造からいって、必要不可欠な楽器なのですよ?

 ほら、小説でもよく言うじゃないですか!

 主役だけでもダメ、悪役だけでも面白くない、脇が素晴らしくなきゃって!


 ……何を言っても持ち上げられない私の語彙力をお許し下さい。


 好きなんだけどな、ヴィオラ。


 では、そんなヴィオラが華やかにしかもヴィオラの音だけ突出している曲をお教えしましょう。


 グリーグ作曲、ペールギュント組曲第1番より、

 4 山の魔王の宮殿にて


 この中でピッツィカートという奏法が多用されるのですが、ピッツィカートでヴィオラだけが突出して弾いている所があるので、必見です。


 ……く、苦しい。すまん。ヴィオラ……

 待ってくださいね、探します、ヴィオラの良さが伝えられる曲を……ごそごそ……


 では探している間に、リクエストのあったピッツィカート奏法についてお話ししますね。

(私自身はピッチカートと呼んでいるのですが、どうも最近はピッツィカートという語源の発音に近い表記が主流のようです。あしからず)



 ピッツィカートとは、弓を使わずに指で弦をはじく奏法です。

 ずっとピッツィカートで弾くときは弓は譜面台に置いて弾きますが、だいたいの楽曲はピッツィカートの後すぐに弓で弾かなくてはならないので、弓を持ちながら右手の人差し指で弦をはじいて弾いています。



 そして、ピッツィカートとは少し違いますが、珍しい奏法としてご紹介したいのが、コルレーニョ。

 イタリア語の語源として〝木で〟という意味にあたり、こちらはなんと、弓の背の木の部分で弦を叩くのですね。

 当然楽器も弓で叩いてしまうので、弦楽器の人は楽器が傷つくから嫌がる奏法です。

 ホルストの火星の冒頭で使われたり、

 ベルリオーズの幻想即興曲でもコルレーニョの指示があります。

 やだな、と思いつつも作曲家の指示に従う弦楽器……すました顔で弾いていますが、くっと涙をのんでいるはず。



 ちなみに聞いてて楽しいピッツィカートの楽曲は、


 ヨハン・シュトラウス2世とヨーゼフ・シュトラウスの2人の兄弟で作曲された、

「ピチカートポルカ」

 遊びで作った曲がニューイヤーコンサートの常連曲になるとは、お二人も思わなかったでしょうね。


 また、L・アンダーソン作曲の二曲もおススメです。

「アンダーソンピッチカート」

「プリンクプルンクプランク」

 特に、プランク〜は、ピンポンパンといった言葉遊びみたいな曲。

 ピッツィカートだけの曲ですので、弓は持っていません。手持ちぶさたのコントラバスがクルッと回って踊ってくれたりするのですよ、とても楽しい曲です。



 さて、お待たせしましたヴィオラさま。

 あなたを輝かせてくれる楽曲の登場です!


 探して探して、オーケストラで演奏される有名な曲の中では、


 チャイコフスキー作曲

 交響曲第6番「悲愴」より第1楽章


 こ、これならば、ヴィオラだと分かるのでは……


 ちなみに響きとしてヴィオラをもっとも美しく書いてくれているのはブラームスだと思います。


 そしてもし、もし、ヴィオラソロリサイタル、なんて文言をみられたらぜひ一目見に行ってあげて下さい。管楽器でいう、ユーフォ並みにレアなコンサートです。


 オーケストラのコンサートでも、

 ヴィオラ協奏曲、なんてプログラムが入っていたら、喜び勇んで私なら飛びつきます。


 何故ならば、レア中のレア、だからです。



 そんな、オーケストラでは必需品、でも何故か目立たないヴィオラに選ばれた人達は、

 幼少期、ヴァイオリンからスタートするも、オーケストラのヴィオラの響きに目覚め、みんなの音楽の支えになりたい、繋ぎになりたい、と思える、二八そばの小麦粉のような方。

 そう、優しく協調性があり、ヴァイオリンにもチェロにも後ろのコントラバスにも耳を傾けていられる人物。


 ずばり、ファゴットの様な、楽団の中でも常識のある人達です!


(持ち上げた、持ち上げましたよ!)



 アデュー!









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