ホルン
ホルン、それはカタツムリな楽器であり、魂の楽器である。
ホルンって知ってる?
私達はしばしば子供達の前でも演奏します。子供達、特に幼児は集中出来る時間が10分!
軽く一、二曲弾いた後、時間の許す限り楽器の紹介を入れて行くのですが。
ホルンって、知ってる?
わかーんなーい!
ほら、この金ピカでぐるぐるとしてて、カタツムリみたいなのだよ!
私達はホルンを説明する時に、しばしばカタツムリに例えます。
あのぐるぐるっとしたフォルム、最後に開いている朝顔の様なラッパ。
どう見てもカタツムリ。
ホルンという名前は知らなくても、金管でぐるぐるしたカタツムリみたいな!
というと、どなたも分かってくれて、ある楽器からは羨ましがられている楽器です。
(主に木の幹の様なマイナー楽器から…)
吹奏楽ではロータリーホルンが主流だとは思いますが、オーケストラではロータリーホルンの他に、ナチュラルホルンを使う時もあります。
ナチュラルホルンはその名の通り、管がぐるぐるっと巻いてあるだけで音はリップリードだけで作って行きます。
また、金管楽器の中で一番広い音域を持っていて、奏者によって前後しますが4オクターブの音域を自在に操ります。
この広い音域を持つので、金管アンサンブルも出来るし、木管五重奏も出来るのだなぁと羨ましく思っている訳です。
(ちなみにフルートは約3オクターブ、しかも高音域なので使われ方が限定的)
そして、この音域をバランスよく使う為に、オーケストラでは4人でスクラムを組む様に演奏しています。
通称、1番、3番が上吹き。2番、4番を下吹きと言われ、綿密にアンサンブルをしています。
オーケストラのオーディションでも上吹き、下吹きと別れてオーディションをするので、プロは上と下に別れて特化しているとも言えます。
かのローベルト・シューマンは言っています。
〝ホルンは、オーケストラの魂である〟
シューマンがシューベルトの交響曲第9番「グレイト」の第2楽章を聴いた時の感銘からこの言葉が伝わったとされているのですが、
ホルニスト(ホルン奏者)はこの事をいつも誇りに思っています。
ふふふ、オーボエ、トランペットが蝶よ花よと持て囃されているが、真のオーケストラの魂は僕達、ホルンだ!
ホルニスト達はホルンが大好き。
ホルンってどんな楽器なの? と気軽に聞いてごらんなさい。
あなたは間違いなく3時間はうんちくを聞かされ、しかも離して貰えなくなるでしょう。
口を挟む間も与えられず、子供がかーちゃんお腹すいた〜と来ても許されず、終わりまできっちりと説明して下さいます。
(実話です)
いや、いいんですよ? 聞いてるこっちも楽しいのです。でも、スタートの時間を見誤ると大変な事になるので、皆様にはご注進申し上げます。
余談ですが、この楽器、ギネスに世界で一番難しい楽器に認定されているそうです。
そう言えば、練習中も本番中もたまにぷほっとやっている。
しかし何故かラッパよりも気にならない。ラッパと同様に目立つ所も沢山あるのに。
でも、私は気づいてしまいました。
並びが狡いかもしれない。
ラッパ、トロンボーンは横一列に並んでいるので、誰が吹いているか丸わかり。
それに対してホルンは、二列前後に4人座っている。
重要なメロディの場面でも、4人、もしくは2人で吹いていて、誰がぷほっとやったか分からない。
もちろん1人のドソロもあるのですが、あの人達の狡い所は音域です。中低音が主なので、何故かぷほっとやってもラッパの高音域のピヒッよりも気にならず、許せてしまうのです。
ず、ずりぃよ!! 同じ金管なのに!!!
ラッパ、私も同感です。
人畜無害な顔してその実、本当は…
さて、そんなホルニストに選ばれた人達は。
上吹きと下吹きで性格が違います。
上吹きに選ばれた人達。
個性的といえば聞こえがいいですが、変な人が多い。基本、自分が一番と考えています。
ナルシストで自信満々、ぽへっとやっても、僕がやったんじゃないよ、後ろのホルンがやったんだ。と平然として居られる人です。
下吹きに選ばれた人達。
上記の赤ん坊みたいな人達を支えなければいけないので人格者が多い。しかしうんちくを語れてしまう程のマニアックさも併せ持っているので、やはり変な人認定はされています。
何故かガン○ム好きな人が多いのも特徴。これも未だに何故だか分かりません。
あ! ガン○ムを話題にする時も時間を見計らって下さい! 一日中終わらなく喋れる素地を持っている可能性が高いです!!
総じて、一見普通の人に見えて話しかけるとえらい事になる人達。
飲み会時、素知らぬふりして、ちゃっかりフルート女子の隣をゲットしてる場合もあるのでご用心。虎視眈々と、狙われてますよ?
アデュー
ちなみに、ホルン女子は人格者ですからね。
あんな上吹き下吹きを支えているので、人格者にならざるを得ない、という事でもあります。日々のご苦労、お察し申し上げます。




