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神様との約束

作者: 望月 まーゆ

「神様が1つだけ願いを叶えてくれました」


昔、助けてもらったあの人にもう一度、逢いたい。


神さまは願い事を叶えてくれる代わりに、約束をしました。


自分の正体を決して明かさないこと。

人間とくちづけしないこと。


約束を破ると神さまの魔法は解けてしまう。





それは、 寒い日の夜・・・私は車に引かれました。


寒空の下、何時間も誰にも気付かれずに倒れていました。


暗闇の中で私は泣いた。

何度も何度も何度も何度も何度もーー叫んだ。

ーーけれど誰も助けてくれない。


喉が枯れて、もう声が出ない。


自分でも冷たくなっていくのが分かる。


( もう・・・私、 死ぬんだ・・・)


意識が無くなりかけた時、 突然暖かな感触が伝わってきました。


ーー 今でも覚えてる ーー


彼が巻いていたマフラーを私に巻いてくれたこと。


抱き締めて暖めてくれたこと。


病院まで連れて行ってくれたこと。




神様のおかげで、彼と会うことを許されました。


私はあの日の記憶と、彼の顔を頼りに必死で彼の居場所を捜しました。


ーー そして、 遂に彼を見つけた。


彼は喫茶店の店員さんでした。


私は毎日、彼の居る喫茶店に通いました。



彼に会うことができ楽しい日々が続いた。


あるの日、彼からの突然のデートのお誘い。

そして、私達はお付き合いを始めました。

私にとっては夢のような日々でした。


いつか逢いたいと思っていたあの人にお礼を言いたかった。


今まで一度足りとも忘れたことはなかった。


そんな彼と毎日一緒に居られる。


大好きな彼との毎日、ずっとこんな日が続けばいいな。



楽しい日々が続いて、私達はお互いが一緒にいるのが当たり前になったある日、


突然、彼からプロポーズされました。


涙が溢れたーー嬉し過ぎて。


私、幸せになっていいのかな。


彼と、ずっと一緒にいていいのかな。


抱き締められた。


嬉しい。あの時もこんな風に抱きしめてくれたよね。


今も覚えてる。この暖かい感触。


キスを迫ままれた。


ダメ!! 思わず突き離してしまった。


彼はびっくりしてる。


彼は自分の何がいけなかったかと聞いてくる。


違うの、 違うの。 そうじゃないの。


彼は話を聞いてくれない。


どうして? ねえ、 話を聞いてよ。


彼は、 指輪を私に投げつけて部屋を飛び出して行きました。


私が、 幸せを欲張ってしまったからなのかな。


彼に会えたことが何よりの幸せだったのに。


それ以上を望んでしまったからなのかな。


あっ・・・


ダメだよ。 まだ・・・行かないで・・・


私は、 走ったーー彼を追いかけて


私、 まだ伝えてないよ。



彼はまだ道の向こう側を歩いてる。


大好きな彼・・・まだ怒ってる?


彼の名前呼んでるけど、 気づいてくれない。


もう一度呼んでみる。


振り返ってくれたーー気付いてくれた。


私は、 慌てて走りながら道を横切る。


彼はもの凄く大きな声で叫んだ。


何て、 叫んだの?









私、 また車に引かれちゃった・・・




薄っすらだけどーー覚えてる。


彼が、泣いてたこと。


私を抱き締めてくれたこと。



そんなに自分を責めないで、私の不注意だから。


私、彼に言ったの。






ーー キスしてーー







最初で、最後のキスは彼の優しさがいっぱいだった。



神様の魔法が解けてしまう前に彼に伝えたかった言葉。



ーー 助けてくれて ありがとうーー




彼は、 泣いてました・・・





子猫の私を抱き抱えていつまでもいつまでも





おわり。

ご愛読ありがとうございました。


ご意見・ご感想何でもお待ちしております。


まだまだ勉強中です。


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