.6.人間の村.(1)
目の前にいる男は、麻のような荒い穀物の繊維を編んで作ったらしい貫頭衣を来ていた。僕達が着ている服の、出来の悪いコピーのような感じだ。
無精髭でブロンドのザンバラ髪の男は、ずいぶん年配――に見えるけど、おそらく二十歳前くらいだろう。
ニンゲンの村の長だという彼は、深々と頭を下げた。そして、頭を上げてから、言った。
「ウィエン様には、いつもお世話になっておりますじゃ」
ウィエンの方を見ると、彼女は、にこにこと笑顔を浮かべていた。
「紹介するね。彼はユウ、他の世界から来た、『神族』だよ」
「ははあっ!」
いきなり、男の人は、地面に身を投げ出して、ひれ伏した。
「え、あ、その?」
いきなりの男の態度に、僕は驚いた。
***
〈ブズゥーク〉が着陸したのは、小さな農村というか集落といった感じの場所だった。
草原の中に、まるで縄文時代の竪穴式住居よりちょっとマシといった程度の掘っ立て小屋のような家が、十軒ほど建っているだけだ。いくつかの家からは、煙が細く立ち上っている。
ウィエンに導かれて、僕は、その集落の方へと足を踏み入れた。
「ここが、ニンゲンの村だよ!」
ウィエンは、胸を張って言った。彼女の声には、少し、誇らしさが滲んでいた。
集落の人々は、目の粗い繊維の貫頭衣を着ていた。
彼らは、僕たちの姿に気づくと、驚いたように目を見開いた。けれど、ウィエンが軽く手を振ると、安心したように、微笑みを返してくれた。
ウィエンは、その中で一番大きな小屋まで迷わず進んで行った。まるで、東北にある古代の遺跡の博物館にあった建物みたいだ、と思った。
「この家に、挨拶に行くね」
歩いて、ドアをノックしたところ、出てきたのが、今平伏しているニンゲンの村の長という男だった。
***
僕は、ひれ伏した村の長に、声をかけた。
「えーと、顔を上げて下さい!」
「ははっ」
「そんなに、驚かなくていいよ! ユウは、ウィエンの親友なんだから!」
「あ、はい」
いきなり、親友になってしまったようだけど、全然、嫌でないのに気づいて、むしろ、もっと彼氏とかでも……と思った自分に、ちょっと驚いた。
村の長は、おそるおそるといった感じで頭を上げた。
「はあ。ウィエン様、今日は、どんなご用で?」
「ユウがね、みんなに、挨拶したいって!」
「それは、ようござんした」
村の長は、少し背を起こしたまま、話を続けた。
「じゃ、いこう!」
※これでストック切れました。明日以降、毎日投稿はできないかもしれませんが、ぼちぼち更新する予定です。以前作ったプロットはあるのですが、設定を書いた紙が見つからない……途中で整合性がとれなくなっていたらご指摘下さい。




