二 銃と饅頭
5時間終了後、墨汁祭りをやっていた人全員が廊下に立たされ、放課後居残りを命じられたのだった。中には女の子までいたのだ。少しビックリ。
しかし、何故か書写の先生に「お前もやっていたでしょ!!」と言われた。
勿論否定したら、あっさり俺の言う事を受け入れた。
というか俺はお前に何回もやり直しさせられていたのに、どこに「万歳!!」とか「やった!」とかできる時間があったんだよ!?
俺の心の文句も勿論、先生には伝わらなかった
そんな事もありながら、6時間目が始まる。
6時間目、技術。俺の得意な科目だ。しかも、今日はパソコンである。
パソコンは好きであったが、高校生のパソコンの授業は低レベルすぎた。
先生の授業が始まる。
今頃、テキスト使ってのホームページ作りか。つまらん。ダサい。
俺はそんな事を呟きながらも、ちゃんと進めていった。
先生の説明を聞かずに俺はただカタカタ、音をたてていた。
先生が「テキストとは何か」の説明を終えるころには、本格的俺流ホームページは完成していた。
俺がUSBに入れてきたフラッシュファイルや動画、画像を奮発して使い、また装飾にも力を入れた。
しかし、これはただのホームページではない。店の広告ホームページなのである。
動画も周辺機器の使い方などを詳しく説明してあり、画像は勿論、店の品など奮発して使っている。
こんなホームページを先生に見せた。
俺は先生の驚きっぷりを見たかった。
何か忘れてたような・・・・・・・・・・・・
あっ!!肝心な所忘れてた!!
先生に「お前働いているのか?」って疑われたらどうしょう?
なんでこんな事早く思い出さなかったのか!?
不覚!!
すると・・・・・・・。全く予想がつかなかった出来事が起きた。
「これ、本当にあなたが今、作ったんですか?」
何このセリフ?まさかの疑い?
「今の高校生がこんなの作れるわけがないじゃないの!!」
え?ここに作れる高校生がいるんですけど。 あなたの目の前に。
「もう一回やり直し!!次はあなたがやってる所をずっと監視しているわ!」
俺はそのテキストを削除し、新しいテキストファイルを作り、五分ぐらいで終わらせたのだった。
製作中は先生の視線がまるで刺さってくるかのように感じた。
勿論、広告用ではなく、適当に作ったサイトだ。
それでも、先生はこんなことがあってはいいのかというばかりに目を丸くしていた。
やっと長く感じられていた6時間目が終わり、帰宅した。
俺の家は歩いて15分程のところにある。
一応アパートだ。近いし、安いし、ちょうどいい。
見かけはボロだが、部屋は見間違えるほど綺麗で広い。
庭には、鈴木 チエさんがいた。
「こんにちは、勇君」
いつも笑顔で迎えてくれるこのコーポの主だ。
「こんにちは、じゃっ」
急いで挨拶し、自分の部屋の前まで全力疾走した。
俺はその鈴木コーポの103に住んでいるのだ。
俺は苦戦して家のカギをこじ開け、中に入る。
このシーンとしている部屋。
俺は数年前に家族を全員失ったのだ。その中でも父は行方不明だった。
しかし、この静かさはしばらく聴けなくなるのだった。
俺はすぐにベッドに倒れ掛かった。
「疲れた~~~。」
女みたいだ。
俺はしばらくして、ベッドから飛び降りると、カップラーメンに湯をいれ、ゲームを始める。
この部屋は広いのだが、5.1chスピーカーや大量の本棚といったもののせいでおもいっきり狭く感じられるのだ。
俺はあるゲームを始める。それはアクションガンシューティングといい、出てくるゾンビなど、射殺し、たまには逃げる大人気ゲームだ。
今日の午後はいろいろとストレスがたまる事が多かったので、今はゾンビをたくさん倒して、ストレスを発散しているのだ。
ヘッドショットを連続で出し、いい調子のところでおなじみのチェーンソーを持った敵が現れた。
俺はまず周りのゾンビを蹴散らす。
俺の近くにチェーンソーさんがすごい速さで来る。
しかし、俺は冷静に頭を撃って蹴ってやった。
しかし、こいつは周りの敵と違いHPがずっと高いのでこれだけじゃ勿論倒せ~ないよ~。
(今のは失礼。)
俺は倒れたチェーンソーの頭にさらに数発撃ち込む。
すると、いきなりゾンビの援軍が来た。
えー!そんなの知らねーよ。
よく考えたらこれハードじゃん。
援軍の数は10匹。でも、チェーンソーがいれば、別の話だ。
俺は安全な方法を考えた。
思いついた方法とは民家の窓から割って入り、そこからこっちに来ようと窓をまたごうとする敵だけ狙う作戦だ。
俺はスキを見計らって民家の窓に入ろうとする。
「パリーン!!」
なんとリアルな音だろう。これはこの世のゲームで一番リアルな窓ガラスの割れ方をするんだなと関心した。それにさすが5.1chのスピーカーだなと思った。
でもいつの間にこんな音量を上げたのだろう?
俺は音量を下げるため、画面を見ながら、左手だけでコントローラーを操作し、右手で机の置いてあるあたりに手を伸ばし、手探りで探す。
「あれっ?なんだ?」
俺はいきなり巨大な饅頭らしきものをつかんだ。
それは宙に浮いてるらしい。
「俺、饅頭をこっちに持ってきたっけ?」
俺はちゃんと、昨日、高橋屋の巨大饅頭をコンビニで買ったのだ。
しかし、それは買った後、冷蔵庫に冷やしたんじゃなかったけ?
まあ、寝ぼけているのだろう。
俺はお饅頭を食べようとした。
しかし、その饅頭はいくら引っ張っても離れないのだ。
何だよ、このお饅頭!お前はそんなに食われたくないのか!
俺はチェーンソーに追われていた。というより、ハメて遊んでいた。
俺はもうどうでもよくなり、その饅頭を離した。
しかし、お饅頭は浮いてるようだった。
何かおかしいぞ。
ていうかなんでお饅頭が浮いてたんだ?
おかしいって始めに気づけよ、俺。
俺は恐ろしいものを連想させた。
もしかして・・・・・・・・・・。
俺は恐る、恐る、右を向くそこには・・・・・・・・・。
そこにはあるはずの机が粉砕されてあり、リモコンも形が曲がってあり、ガラスも散乱してあった。しかも、その上には・・・・・・・。
なんと、ピンク色のさらさらの長髪を持った女の子がいたのだった