十七 猫VS風紀委員
確かに太地君だった。
太地君は半分をこちらに見せ、半分を柱で隠していた。
その太地君の目線はこちらだった。
もしかして、太地君。まだ、唯の事が・・・・・。
何か別れないといけない理由が・・・・・。
しかし、俺には好都合だった。
早く、唯を連れ戻してもらわないとこっちが迷惑だ。
唯は戦闘をやめ、俺にべったりくっついている。
これが風紀委員の会長であっていいのかよ。
どうせなら二股でエリスも連れていってくれ。
そうしないと、エロゲ製作に何年かかるか想像もつかん。
そうして、ついに太地君はこっちに向かって走り出した。
やっと来たか!太地君、ゴキブリのように駆け、盗人のように唯をさらってくれ!!
あと、2m、1m、50cm、0cm、-1mって、えーー!!
太地君はまるで他人を気にしないように普通に通りすぎてった。
唯目当てじゃないっ!?
俺は後ろをふりかえり、あたりを見回す。しかし、太地君は見当たらない。
って、えー!!なんと太地君は俺のすぐ後ろにいた。
太地くんはエリスに喋りかけている。あの耳が気になったのか?すまないが、おもしろそうだから盗聴しよう。
「あのー。すいません・・・・・。」
「ひゃい?あっ・・・・・・・・・・・・・はいっ。何ですか?」
「実はあなたの耳・・・・・。」
さて、どんな質問をするか楽しみだ。
「あなたの耳に惚れました!!」
・・・・・?
「えっ・・・・・・。ちょっと。それって告白ですか?」
エリスが慌てて対応する。
「はい。俺と付き合ってください。」
エリスは戸惑いを見せている。
「い、今は決断できないんです・・・・・。」
エリスはおろおろと断った。
「一応ラブレターという形で残しておきます。」
太地君はポケットから取りだしたラブレターをエリスに渡した。
「いい返事待ってます。」
すると、太地君は走って自分の教室の方に帰っていった。
唯は俺の膝で硬直していた。
どうやら一部始終を見ていたようだ。
「太地君・・・・・・。」
唯は切なげに言うと視線はエリスにいった。
「ねえ、そこのあなた。今、何をしてたのかしら?」
風紀委員の方の話し方だ。
お前、今その一部始終を見てたじゃねえか!!
「そう言われても告白ですが、それが何か?」
「あいつは私の元彼なのよ!!」
「元彼って何ですか?」
エリスは本当に知らないらしい。
「もともと付き合ってた人の事を言うんですのよ!!それくらい分かっておきなさい!!」
唯はメッチャ怒ってる。
「それで用件は何ですか?」
エリスは首を傾げる。
「貴方は私の大切なものを奪った。だから、私も貴方の大切なものを奪う。それだけ」
唯は言い終わると、いつも俺に対して使う、デレの方の話し方を使ってきた。
「勇君、貴方は今日から私の物だよ。大切にしてあげるからね。」
すると、エリスからもすごい殺気が飛んでくる。というか邪気だ。
「私のご主人様を・・・・・・・・ッ!!許サナイッ!!」
俺は反射的にエリスから離れた。
唯も俺と同じ方に逃げた。
エリスは自分自身の背中に手をかけた。何する気だ。
シャキーン。
なんとエリスは背に剣を仕込ませてあったのだ。
エリスは剣を唯の方向(俺の方向でもある)に向けると、
「ご主人様、お掃除いたします。景色が赤く染まったり、イヤホン顔負けの大迫力の音声が聞こえますが、ご了承ください。」
くだせるか!!ボケ!!
唯も数歩歩いて俺から離れ、ポケットからサバイバルナイフを取り出す。
ってサバイバルナイフってなんで凶器持ち歩いてんだよ!!
ていうかどこから仕入れたっ!?
「ふんっ。ご主人様って呼んでるんですか。でも、今日が最後みたいですね、呼べるのは!!」
そう言い終わると何故かもう戦闘に入っていた。
普通に生徒たちに見られてるって応援してる場合じゃないぞ!!今やってるのは格闘大会じゃなくて殺しあいですよ!!
さっさと先生方も来てください!!