十六 ツンデレは幼馴染
彼女の名は天野原 唯。
風紀委員でツン。俺の幼馴染みである。
「何をやってるの!?」
唯は思いっきり叫んだ。
すると、俺以外の全員は席に戻った。
すると、唯は俺の手を引っ張り、廊下に連れ出した。
「勇君、大丈夫?怪我してない?」
読者の皆様にはお分かりいただけただろうか?唯は俺に対してのみデレ属性になるんだ。
「大丈夫だ。心配かけてごめんな。」
唯は俺を抱き、胸で泣き始めた。
「い、い、勇君っ、無事で、で、よ、よかっ、た。」
俺は泣かれて動くことができなかった。
数分後
「キーンコーンカーンコーン」
鐘がなる。
「じゃあ、クラスに戻るね。じゃあ、放課後ね。」
唯は走ってクラスに戻っていった。
俺もクラスの席に戻った。
そして、再び読書に戻った。
数分後
石橋先生がエリスを連れてきた。
エリスは制服に着替えていた。
エリスは俺から無理やり目を合わせないようにしてる風に見えた。
「じゃあ、自己紹介を」
先生が仕切って言う。
エリスは指をもじもじからませながら言った。
「わ、私の名前はエリス・シルペリアです・・・・・。ふつつか者ですが、よろしくおねがいします。」
すると、
「よろしくおねがいします!!」
なんと俺以外のクラスの男全員が言った!!
先生はあたりを見回しながら、
「じゃあ、エリスちゃんの席はどこにしようかしら?エリスちゃんは自分が座りたい場所とかある?」
先生が言うと、男どもは隣にくっついている女が座っている席に向かって指さしている。
お前らひどいな。
エリスは少し迷って意外な場所に指さした。
そこは俺の隣だった。
男どもは全員顔が死にかけていた。
「勇君の隣の席?そこがいいのね。勇君も一人くらい友達がいたほうがいいものよね。」
一人ぐらいいるよっ!!いや、一人以上いるから!!一桁だけど。
エリスはみんなに手を振られながら、席についた。
エリスは小さい声で話し掛けてきた。
「ご主人様、男の子の視線がちょっと・・・・・。」
エリスが少し、怖がっていた。
俺はあたりを見回した。
「・・・・・・。」
言葉を失った。
このクラスの男全員は俺のほうを向きながら、今すぐお前を呪ってやると言いそうなぐらい睨んでいた。
俺も怖くなったので前に視線を戻した。
「朝の会は終わり。今日は掃除なしの日課だから50分休憩だ。授業の始めには席に着いているように。次は美術。じゃあ、休み時間!!」
先生が言い終わると、生徒達は立ちあがり、男子は女子と話し始めた。こんな人数が同時に何を話しているんだろう。
「勇君!!大ニュース!!」
後ろを見ると唯がいた。かなりの息切れのようだ。
「どうしたんだ。そんなに慌てて。」
「じ、実はさっきから、男女でみんな話しててね。」
このクラスもそうだったな。
「何の話かと思ってこっそり聞いたら、別れようという話でね。」
もしかして・・・・・。
「全員、別れの話をしてるということか?」
俺が聞くと唯は首を振った。
「分からないわ。聞いた数人はそういう話だったけど。まだ、何故こんな規模で一斉に別れるかの理由も分かってないしね。」
「ていうか、人の話を盗み聞きすんなよ。」
俺が飽きれ顔で言う。
「だって私は風紀委員の会長ですから。」
唯は大きいか小さいかだと大きいほうに分類されるであろう胸を張って、上品に笑っていた。
俺は唯が普通じゃない事に気づく。
「どうしたんだ、お前。普通じゃないよ。」
俺は自分の額を唯の額に触れさせた。
「勇君恥ずかしいよ・・・・・。」
俺は真面目にやってるつもりなのに、唯は顔全体を赤く染めていた。
「やっぱ、唯。お前、すごく熱いな。一緒に保険室行くか?」
「それは勇君が、私に・・・・・。」
「それとも昔みたいにお姫様だっこがいいのか?」
俺は昔の事を思い出し、提案した。
「そうじゃなくて、実は、私・・・・・。」
唯が顔をさっきよりも真っ赤にしてついに言った。
「さっきふられたんです・・・・・。」
「えーーーー!!」
俺は?ブロックからマ〇夫さんが出てきたぐらい、かなりびっくりした。
唯は確か付き合いたい人ランキングで二位の太地君だったはずだ。
唯は綺麗でツンだけどすごく優しいと評判があり、常に学年二位の成績で、(ちなみに一位は俺)リア充の人達が決めた「付き合いたい人ランキング」でも一位の筈だった。
さらに「唯ちゃんファンクラブ」ってのも結成されていたはずだ。
そんな人がふられるとは絶対何かあるらしい。
「実はふられた後、それを聞いていた、ランキング三位の男の子に告白されたけど、断ったの。何でだか分かる?」
「ふられたショックが大きくて、その気になれなかったとか?」
唯は俺の問いに対してチッチと指をふった。
「何故なら、勇君に告白するためっ!!」
「えっ!!」
俺は反射的に一瞬飛び上がった。
「勇君、一生守るって言ってくれたよね!!」
「・・・・・・・。」
「唯は俺のお嫁だって言ってくれたよね!!」
「・・・・・・・。」
「唯は俺のシンデレラって言ってくれたよね!!」
「・・・・・・・。」
「唯は俺のにくたいどれ・・・・・。」
「言ってないっ!!」
何だよ。この一勝三敗的状況は・・・・・。
小学六年生の俺よ。あとで後悔する事を言わないでくれ・・・・・。
「あーあ、幼いころに勇君と体の関係作っておけば良かった。」
結構です。
「勇君、私をもっと可愛がってっ!!」
唯は俺の膝の上に乗っかってきた。
「やめろ、やめてくれっ」
俺は必死に抵抗を続けるが膝に乗られた状態で唯にかなうはずがない。
「勇君、変な所触んないでっ!!」
「お前が無理やり押し付けてんだろっ!!」
「勇君、もうやめて・・・・・。私、もう・・・・・。」
「お前がさっさとやめろっ!!あと誤解招きそうな事を言うなっ!!」
唯の変態攻撃をガードしつつ、たまに破れつつ、あたりを見回した。
あれっ?あれって・・・・・太地君?