十二 愛 (六)
俺はエリスの言った発言に驚き、飲んでいたカルピスを吹いた。
しかも、エリス方向に。
「ご主人様、何をしているんですか!!」
「お前がとんでもない発言をするからだ!」
エリスは持ってきたタオルで服を拭きながら、
「私はただ、ご主人様とお風呂を入るしか言ってません!」
「それが問題発言だ!!」
俺は思いっきり叫んだ。
「私はただ、ご主人様の手伝いをしたかっただけなのに・・・・・・。」
エリスはとうとう泣き始めてしまった。しかも、その倒れ方どっかで見たことあるからやめろ。
俺は正しい事しか言ってないのになぜ、泣かれるハメになるんだ?
「ご主人様ぁ~。ひっく。ひどいです~。ひっく。」
だから、俺は悪くないんだ!信じてくれ!俺はキ○なんかじゃないんだ!信じてくれよ!
「こっちも手伝って欲しいのは山々なんだけど・・・・・。」
「じゃあ、一緒に入りましょう♪」
エリスはどうやらうそ泣きだったようだ。反省しろよ・・・・。呆れた。
「そういう意味じゃなくて!性別が違うから入れないんだよ!」
俺はとっさに言った。しかし、!!
「なんでですか?」
エリスが問う。まるで何でも聞きたがる純粋な子供のように。
「お前は異性に裸見られていいのか?」
俺は少し尖った言い方をした。
「いやですよ。そんなの。」
あっさり否定。
「そしたら何故?」
「だってメイドはいつでも、ご主人様のそばにいるものですから!」
俺は驚いた。こいつがそんなまともな意見を言えるなんて!
しかも、その時の笑みはまるで天使の微笑みのようだった。
俺は心を動かされた。
「分かったよ。一緒に入るよ。そのかわりバスタオルは絶対着けろよ。あと変な行為すんなよ。」
「ラジャー!!」
というわけで俺は今バスタブの中にいる。
俺も変な所でよく心が動くもんだよとか考えていると・・・・。
「ガラガラ!」
「ご主人様入りますよ~~~。」
エリスは俺がこんなに近くにいるのにも関わらず、手を振っている。
その時、俺は見たものを疑った。
よく考えたら、コイツ、ロリ、巨乳、猫耳の三大萌え要素をもっているじゃないか!!
なんで俺は気づかなかったのだ!!
俺は気づかなかったショックのあまり、バスタブに沈みかけた。
それを発見したエリスは、
「ご主人様、大丈夫ですか?」
エリスは今にも溺れそうな俺を助けようと抱き抱えた。
実際、俺の体重は結構軽いので女でも持ち上げられることぐらいは分かっていた。
「あ」
俺の頭に思いっきり柔らかいものが当たっっていた。
その瞬間、俺は己を思い出した。
「エリス・・・・・。嬉しいけどやめて・・・・・。」
エリスは降ろそうとした。その時、
「むにゅっ」
なんとエリスが俺の頭を自分の胸に押し込んだっ!!
「ご主人様?気持ちいいですか?」
分かる事を聞きやがって・・・・・。
「お願いだ・・・・か・・・・ら・・・・や・・・うぇ・・・・・て・・・」
胸に押し付けられてた間は息が出来なくて苦しかった。
「ゲホッ・・・・・ゲホ・・・。一瞬死にかけたぞ。」
すると、
「ごめんなさい、ご主人様・・・・・。ただ私はそれがお望みかと思いまして・・・・・。本当にすいません・・・・。」
今までで一番まともな謝りかただなと思った。
「わかったよ。許すよ。」
「うっ、ありがとうございます!!」
また、正面から思いっきり抱きついてきた。
実はエリスの巻いたバスタオルは俺を抱いたりと、胸に押し込んだりして巻きが緩くなっていたのだ。そして、!!
エリスが抱きついてた両手を離したとき!!
「ヒラッ」
という効果音をたてるようにバスタオルがエリスの体から落ちた。
俺の視線はエリスの赤くなった顔からどんどん下に行った。
「・・・・・・・・。・・・・・・・・・。・・・・・・・・・。・・・・・・!!!!!」
「ご主人様、駄目ですよ。そんな所見られたら恥ずかしいですよ・・・。」
「・・・・・・・・・・!!!!助けてっーーーー!!!!!!えー○ん!!!」
俺は人間の音域の限界に達する声で発狂し、そのまま倒れた。
そして、悪夢のお風呂会は幕を閉じたのだった。