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一 書写の件

そう、僕はこんな世界に憧れていたんじゃない。

そんな事を考えていた。ライトノベルを読みながら。とある学校の教室の隅で。

周りには何人ものリア充がいて、何人ものカップルが成立していた。正直、このクラスが怖い。

そんな中、俺は一人で椅子に座って読書だ。

何故か、このクラスには本が一冊も置いてない。

なので、俺はロッカーを本棚として使っている。

何か痛い目線がたまにくるが気のせいだろう。

俺はとにかく読書に夢中になる。そして、周りの騒がしい連中はうるさくなる。

それがこのクラス、3-Aだ。


しかし、このクラスが死ぬ程嫌でも、先生が勝手に決めたものだから仕方がない・・・・。

俺は扇 勇 (あおぎいさむ)。

ただのオタクであ・・・・・・ただのオタクではない。

実は俺はパソコンのソフトやブラウザ、OS、周辺機器、ほんのたまに興味本位でウイルスも作ってしまう、ただの・・・・じゃなかった。天才(?)オタクである。

しかし、そんな俺もいまだに作れないものがある。それは・・・・つまり・・・・・。

「愛」というものである。

無理な話だ。

アイドルオタクなどならまだしも。

2次元オタクであればどうだろう。

ギャルゲーやエロゲーでそれなりの事ができても、それは仮想空間での事であり、現実にはキーボードかマウス、ゲームパッド、コントローラーのどれかを操作してるだけだ。

そんな事を考えているうちに、5時間目のチャイムがなる。

今日はやけにうるさく聞こえた。

「次は書写だったかな」

聞こえるか、聞こえないぐらいの声の大きさで独り言を言う。

そして、書写の準備をする為に書写の持ち物入りバッグを自分の机の上に展開していった。

  

今回の書写の授業は好きな漢字一文字を墨汁をつけた筆で書くものだった。

俺はその時なぜか真剣だった。

何故だろう。いつもなら、パソコンでメモを取ったり、メールをしているはずなのに。

周りには、墨汁のかけあいや、または墨汁のいっき飲み競争が行われていた。

なかには、勝利、万歳!!とか言いながら、派手に墨汁を飲んだり、かけあっている。

ビールのつもりなのか? ていうかその服。今日は6時間目まであるんだけど・・・。

俺の独り言は言うまでもなく、その宗教的な事をしている人に届かなかった。

俺はそれにもかかわらず真剣に一文字書いた。その字とは・・・・・。

「萌」だった。

ていうかこれしかない。思いつかない。

一般人から見たら変に思われているが、俺には普通の事であった。

字こそは綺麗だが、文字が不適切ということでやり直しになった。

その後も、死、殺、血、汚、刺・・・・・・などが続き、結局「無」で終わったのだった。




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