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第5話:婚約破棄申請 ―最強悪役令嬢、身を引く―

私は悪役でいい。和平が残るなら。

父は静かに言った。


「アデライード。婚約破棄は、簡単ではない。帝国との条約が絡む」


「承知しています。でも……私が“障害”なら、取り除くのが最適です」


父は私の目を見た。

その視線は優しい。優しいからこそ、私は泣きたくなる。


「……お前は、恋をしたことがない」


「はい」


「だが、恋を知らぬ者が“譲る”ことを先に選ぶのは……危うい」


危うい。

私は笑った。危ういのは、ずっと前からだ。


そして正式な手続きが動き始める。

王宮の間。帝国の使者。書状の往復。


ラウレンツは、そこでようやく現実を見た。

彼の婚約は、彼が切望して勝ち取ったものだった。

政治の盤上で“欲しい”と言い続けた結果だ。


なのに今、私はそれを投げ捨てようとしている。


「アデライード!」


呼ばれて振り返ると、ラウレンツが立っていた。

息が切れている。皇太子が走ってきたのだろう。


「君は……本当に、これでいいのか」


私は微笑む。

いいかどうかではない。必要かどうかだ。


「お二人はお似合いです。物語がそう言っていますもの」


「物語など知らない!」


彼が叫ぶ。

初めて聞く、感情の割れた声。


「私は……君が欲しい。ずっと昔から」


胸が震えた。

でも私は、ここで揺らいではいけない。


揺らげば、また“悪役”になる。

譲ると決めた以上、最後まで悪役でいる。


「……悪辣」


その一言で、私は自分の心に鍵をかけた。

次話:平民ミレイユの“本性”が、ついに露見します。

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