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第4話:皇太子の自爆恋愛作戦 ―嫉妬させたい男と、譲るつもりの女―

欲しいほど、遠ざけてしまう。

ラウレンツは焦っていた。

それを誰より見抜いていたのは、皮肉にもヨアヒムだ。


「殿下はお優しすぎます。姫は誇りが高い。反応がないのは“負けたくない”からです」


……違う。

私は反応できないだけだ。反応すれば崩れる。


でも、ラウレンツはヨアヒムの言葉に縋った。

彼の“自爆恋愛作戦”は、そこで完成する。


昼。ミレイユへ贈り物。

放課後。二人きりの図書室。

夕刻。誰が見ても“恋人の距離”。


そして毎回、彼は私を見る。

まるで「見ているか?」と問いかけるように。


私は見ている。

見て、苦しくて、でも微笑む。


ある日、ラウレンツはついに私の前で言った。


「……アデライード。君は、何も思わないのか」


私は返すべき言葉を探す。

「あなたが好き」なんて、言えない。

好きなのかどうか、私自身が知らない。


だから、最小の防具を選ぶ。


「私は政略の婚約者ですもの。情に流れるのは――悪辣」


その瞬間、ラウレンツの顔が、ほんの少し崩れた。

怒りではない。失望でもない。


“怖い”という顔だった。


……彼は、私が本当に無関心だと思ったのだ。

それが彼の胸を一番刺すと、彼自身が気づいていない。


ヨアヒムは気づく。

そして、遅れて青ざめる。


「殿下……姫は嫉妬ではなく、退路を作っています。婚約破棄の……」


ラウレンツは言葉を失った。

作戦は成功していない。

むしろ、私の覚悟を固めただけだった。

次話:筆頭公爵家が動きます。婚約破棄、正式ルートへ。

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