僕にだって出来ること
いつまでそうしているんだ?
そう問われても僕は答えない。
だって、いつまでもするつもりだから。
皆、待っているぞ。
そう言われたって僕はやめない。
そもそも待っている人なんていないだろ。
意地を張るのはやめろよ。
何を言われたって無駄だ。
僕はここにいることを誇りに思っているんだ。
だって。
生前は何一つ成すことが出来なかったこの僕が……今、こうして確かに人の命を救っているんだから。
***
「知ってる? あの心霊スポット、本当に幽霊が出るんだって」
「知ってる知ってる! 恨めしそうに自殺をしに来た人を見つめてるんでしょ?」
「そうそう! とっくに死んでいるはずなのに残る痛々しい自傷の跡に群がる虫……あんなもの見たら誰だって自殺を躊躇うよね」
「私の友達のお姉ちゃんもさ。『死にたい』って言ってあの場所に行ったらしいんだけど、あまりにも悲惨な姿に自殺を考え直したんだってさ」
***
こうして今日もまた生前に何も成せなかった幽霊がまた一人、未練ある人間を救っているのだった。




