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進め!魔法学園2  作者: 木こる
屍山血河
46/60

2年目

4月。

神楽と安土はミーティングルームでコソコソと会い、

硬くて長い物を握り締めながら床に横たわっていた。


イチャついているのではない。

死の運命を改変するために首切姫の記憶を鑑賞し、

前周の自分たちが取った行動を確認しているのだ。


「……やはりついてくるか、あの馬鹿女共は」


「はっきりとクビを言い渡してもだめみたいね

 なかなか強情な子たちだわ……

 それなら、こーゆーのはどうかしら?

 名付けて“下々の者に対して媚びを売る”作戦」


「名前が全てを表しているな

 まあ、内容を聞いてみよう」


「ほら、あんたって学園のKINGじゃない?

 常に堂々としてて、下々の者からしたら

 手の届かない所にいる絶対的な存在なわけよ

 それが突然、普通の男子っぽいことをしたら……

 硬派なイメージが崩れてガッカリすると思うの」


「俺のブランドイメージに傷が付く

 ……と言いたいところだが、悪くないな

 犬飼に対しては有効かもしれん

 あいつは俺に幻想を抱きすぎなんだ

 最近は俺をじっと見つめることが多くなり、

 妙な妄想でもしてるのかニヤついてばかりだ

 まったく気持ち悪いったらありゃしない」


「さすがのあたしもあれにはドン引きだわ

 もう無理、あの子は絶対に無理

 でもパーティーから追い出すためにも、

 ある程度のセクハラは続けさせてもらうけど」


「それで、具体的には何をするべきだろうな

 他人を失望させる方法なら色々と思いつくが、

 あまり低俗な振る舞いをしてしまうと

 犬飼以外の女からの心象も悪くなるだろう

 あいつ個人をコントロールするには……」


「う〜ん、そうねえ……

 …………

 ……あ、これは?

 あの子が何か失敗したら爆笑してやるとかどう?

 すんごい嫌な奴に思われるだろうけど、

 笑われる本人にも落ち度があるわけで……」


「ふむ、とりあえずそれでいくか

 しかし、爆笑に足る失敗をしてくれるかどうかは

 犬飼の行動次第になってしまうな

 他の案も用意しておこう」


「わんこ個人をガッカリさせる方法ねえ……」


「罵倒を浴びせても喜ばせるだけだろうな……」


「う〜む……」


「……いっそ、恋愛相談にでも乗ってやるか

 あいつの頭の中はそればかりだからな

 俺とは釣り合わないという現実を完膚無きまでに

 叩きつけてやれば、さすがの犬飼でも理解して

 身を引いてくれるんじゃないか?」


「そう上手くいくかしらねえ

 でもまあ、試してみる価値はありそうだわ

 他にいい作戦も思い浮かばないし、

 とりあえずやってみて、結果を待ちましょう」



そして、その日のうちに作戦は決行された。

安土は契約更新の話題を途中で切り上げ、

自然な流れで犬飼杏子の恋愛相談に乗ったのだ。

しかも嬉しいことに犬飼杏子は爆笑に足る失敗……と

言っていいのか微妙だが、大根演技を披露したことで

安土が人前で爆笑する機会を与えてくれたのである。


「フッ……クク…………ハハハ、

 アハハハハハハ!!」


これでいい。完璧だ。

犬飼杏子の心に深い傷を負わせることができた。

大根演技を笑われ、さぞかし恥ずかしいことだろう。

彼女はまだ冒険活動を共にする気でいるが、

このまま今のパーティーに居座り続ければ、

幾度も今日の出来事を思い出してしまうだろう。

そのうち気まずくなって抜けるのは必至である。


その時がいつになるかは不明だが、

とりあえず前周のミーティングとは全く違う流れだ。

悲惨な結末に辿り着くまでの過程──小さな運命を、

これで改変することができたのは確かだ。






5月。

本日は第5層での狩りを予定しており、

首切姫の監視役として、安土製菓本社の社員である

高遠(たかとお)氏が同行することになった。


氏は営業部2課の課長であり、51歳の男性だ。

10代の頃は冒険者として精力的に活動していたが、

魔物との戦闘で瀕死の重傷を負ったことで引退し、

以来、安土製菓に人生を捧げてきた男である。

2人の息子がおり、長男は支社勤務の平社員である。

そして先月、次男も安土製菓の一員となったのだ。


この30年間真面目に働いてきた男に敬意を表し、

又、次男の就職祝いも兼ねて、神楽と安土は

ささやかなプレゼントを送ってあげようと考えた。

それは氏を冒険者引退へと追い込んだ因縁の魔物──

バルログの討伐である。


とはいえガッツリ戦わせようという話ではなく、

氏がトドメを刺す瞬間を記念撮影する計画だ。

年齢やブランクを考慮すると無茶はさせられない。

安全に計画を遂行するにはどうすればいいか、

とりあえず神楽と安土は首切姫の記憶を覗いてみた。



……が、計画は中止するべきだという結論に至る。


高遠氏はこの嬉しいサプライズに感極まり、

張り切りすぎてアキレス腱を断裂してしまうのだ。

子供の運動会に参加した父親にありがちな怪我だ。

そんなアクシデントが発生するくらいなら、

粋な計らいなどしない方がよい。






6月。

猪瀬が装備品についての相談を持ちかけてきた。

安土から引き継いだ最強の鎧、ブラックダイヤモンド

──彼女はそれを気に入っていなかった。

安土にとって、その情報は寝耳に水であった。

てっきり猪瀬は喜んでいるものと思っていたのだ。

ファッションセンスが壊滅的な安土には、

“髑髏モチーフの鎧なんて可愛くない”という

ごく一般的な感性が理解できなかったのである。


「あんたのファッションセンスは壊滅的だからねえ」


「俺のセンスはおかしくない

 そんなことより、これは暁光だぞ

 例の映像では、猪瀬は黒い鎧を着ていた

 だが今、あいつはそれを明るい色にしたがっている

 ホワイトダイヤモンド、イエローダイヤモンド……

 とにかく、映像とは違う未来になるかもしれない」


「色が変わるだけじゃない」


「だとしても一歩前進だ

 小さな変化に思えるだろうが、

 いや、実際そうなんだが、変化には違いない

 しかも目に見える変化が起ころうとしているんだ

 俺たちは毎日のように首切姫の記憶を確認し、

 前周とは違う行動を取って運命を書き換えてきた

 その地道な積み重ねの結果がもうすぐ表れる……

 エンディングを変更するほどの変化ではないにしろ

 少しは苦労が報われた気分に浸れるだろう」


「そう聞くとまあ、たしかに良い兆しなのかも

 ……いっそ亀山さんの衣装もリニューアルしたら?

 そっちの方が簡単そうに思えるんだけどね」


「これから夏本番だぞ

 あの水着のような衣装は季節に合っている

 亀山の衣替えは後回しでもいいだろう」


「変なとこでファッションにこだわるのね……」


「ところで、いつまで『さん』付けなんだ?

 亀山を尊敬でもしているのか?

 未だに理由がよくわからんのだが……」


「あ〜……うん、まあ……

 ある意味尊敬してるとゆうか……

 正直あんまり刺激したくないのよね」


「そんなに気を回すような相手か?

 これじゃあ、どっちが先輩かわからんな」



その後、待てど暮らせど猪瀬の鎧はそのままだった。

ブラックダイヤモンドの価値を知ってしまった彼女は

『下手にいじくり回さない方がいい』と思い込み、

カスタムせずに使い続ける道を選択したのである。






7月。


神楽はクソガキをぶっ飛ばして停学になった。

基本情報

氏名:鬼島 神楽 (きじま かぐら)

性別:女

サイズ:AAA

年齢:17歳 (3月30日生まれ)

身長:151cm

体重:44kg

血液型:O型

アルカナ:運命の輪

属性:無

武器:ニルヴァーナ (杖)

防具:ブラックサバス (衣装)

アクセサリー:黒タイツ


能力評価 (7段階)

P:4

S:3

T:3

F:15

C:5


登録魔法

・スーパーノヴァ

・アブソリュートゼロ

・グランドクロス

・サンクチュアリ

・マナストック

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