2学期
学園ダンジョンにて、コボルトの群れが消し飛ぶ。
上空からの襲撃に伴う衝撃波によるものだ。
その光景はまるで爆撃機から発射されたミサイル、
あるいは小さな隕石が衝突したようであった。
地面に出来たクレーターがそう思わせるのだろう。
だが、それはミサイルや隕石によるものではなく、
ましてや誰かが攻撃魔法を使った結果でもない。
安土流剣術奥義・流れ星。
高所から落下しながら突撃を行う対地攻撃である。
標的に威力絶大の刺突ダメージを与えるだけでなく
衝撃波の部分にもダメージ判定が発生するので、
複数の敵をまとめて処理することができる。
特定の地形でないと発動できない制約こそあれど、
使える場面では積極的に狙っていきたい。
又、数ある奥義の中でも見応えのある部類であり、
イケメンが斜めに流れてゆく様は、まさにイケメン。
しかし、そんな美麗な光景を目撃したというのに
同行中の女子生徒がなびく様子は全く見られない。
「何よあんた、木刀でも全然戦えるじゃないのよ
ええとなんだっけ……首切姫?
あんなよくわかんないのは捨てちゃえば?
寿命削ってまで使うほどの物じゃないでしょ」
「使うほどの物だ
技の精度がまるで違う……天と地の差だ
それに、捨てられるわけがないだろう
あれは借り物だと説明したはずだが」
安土は首切姫の代わりとして持ち込んだ木刀
“ごんぶと”が実戦に耐え得るかの検証をしつつ、
新メンバーの神楽を仲間に紹介する前に
お互いの実力を把握しておくため、
こうして2人でダンジョンに潜ったのだ。
デートではない。大人が同行している。
調査隊の進道氏、黒岩氏、並木氏の3名だ。
「にしてもよお、安土
お前も大概人間辞めてるよな
ピュンピュン斬撃飛ばしたりよお、
地面に刀突き立てるだけで敵を拘束できたりよお、
お前の物理法則はどうなってんだって話だよ
普通、人間は斜めに流れたりしねえよ」
「いや、流れますよ
進道さんもさっきの戦いを見てたでしょう
人間には可能な動きです」
「ああ、空中を斜めに移動するのは可能だな……
それはいいや、忘れろ
じゃあ他の技についてはどうよ?
お前以外に斬撃飛ばせる奴を見たことあんのか?
もちろん魔法剣以外の方法で、だ」
「ええ、見たことならありますよ
あなたに預けてる首切姫の記憶でね
まあ少なくとも500年前には存在した技ですし、
その後の使い手たちも再現してきたので……
やはり人間には可能な動きだと言えるでしょう」
「首切姫の記憶か……
おれらにも観させろってんだ
若けえの2人で楽しみやがって」
進道氏がチラリと神楽を見やる。
それが無理な願いだとは承知しているが、
どうにかして上映会に参加したいという気持ちを
簡単に捨てることはできない。
サイコメトリーの能力そのものに興味があるし、
例の映像を観ることができれば、現在直面している
問題を解決するヒントを得られるかもしれない。
それに、『俺たちは同じ時間を繰り返している』
という仮説を今よりも信じることができるだろう。
「あ、じゃあ二段ジャンプはどうだ?
それは人間には可能な動きだと思うか?」
「いや、何言ってるんですか
そんなの無理に決まってるでしょう
考えるまでもなく、絶対にあり得ませんよ」
「だよなあ」
進道氏はポリポリと頭を掻き、
その話題を切り上げた。
「ところで進道さん
調査の方は順調ですか?」
「順調に見えるか?
悪りいが依然として名倉は行方知れずだ
まるで、この世界から突然消えちまったように
魔力の痕跡がプツンと途切れちまってるんだ
『蒸発』なんて言い回しがあるよな?
名倉の身に起きたのはまさにそれだぜ」
「あ、いえ
その件ではなく、ダンジョンの調査についてです」
「ドライだな!!
ちょっとは食いつけよ!!
かけがえのない学友なんだろ!?
心配で夜も眠れないんじゃなかったのかよ!!」
「ああ、そんなこと言いましたっけ
あれは方便ですよ
彼と面識はありませんし、夜は眠れてます」
進道氏はその場に居合わせた全員に聞こえるほど
大きく舌打ちし、現在の心境を表明した。
だが安土の反応は……無反応。
やはりこの男は気に食わない。
嫌いだ。
安土が調査の進捗を知りたがる理由はただ1つ。
優先順位の繰り上げだろう。
現状、調査隊にとって最も優先するべき課題は
この学園ダンジョンの全貌を解き明かすことである。
それが進道氏……もとい並木班に与えられた
正式な任務であり、社会人としての責務である。
次点で行方不明になった名倉友紀の捜索。
それらが済んでようやく、安土から丸投げされた
ループ問題の解決に本腰を入れることができる。
安土桃太郎は調査隊を利用している。
それ自体は別段悪いことではない。
人間が社会性動物である以上、自己の利益のために
他者を利用しながら生きるのは当たり前なのだから。
だが、こう、なんというか……
この安土桃太郎という男の場合、少し違う。
こいつは人を操っている。
そう思わせる何かが確かにある。
だから好きになれないのだ。
「ったく……
そんなこったろうとは思ってたけど、
そんなんじゃ一生友達出来ねえぞお前」
「ご忠告痛み入ります
それで、随分長く調査を続けてるそうですが、
ここはそんなにも厄介な場所なんですか?
未開拓ダンジョンの調査にかかる期間は
長くてもせいぜい2〜3ヶ月が相場のはずです
1年半は長すぎる
なぜ調査が難航してるのか教えていただきたい」
「教えらんねえよ
機密事項だ」
と進道氏は一蹴したが、
他の調査隊員2名はサービス精神旺盛であった。
「無限ループ区間が面倒なんだよねぇ」
「なっ……バカヤロウ!!」
「何度か挑戦して正解ルートを探り当てたとしても
次に来た時には答えがまるっきり変わってるから、
それまでの苦労が水の泡になっちゃうのよ」
「隊長が率先して機密事項バラしてんじゃねえ!!」
「あれって間違いなく空間魔法のギミックだよね
やっぱりユキちゃんがいないと無理ゲーだと思う
裏ダンジョン発見したのも開通したのもあの子だし
……今どこで何してんだろ?
元気にしてるといいなあ」
「くそっ、懐かしい名前出しやがって……
おれまで心配になってきただろうが!
あいつ生活力低そうだからなぁ
出会った頃はガリガリだったしよお」
「あ、それなら大丈夫
早苗ちゃん家で毎日ピザ食いながらゲーム三昧……
って、これ言っちゃダメなやつだったわ
失敬失敬、今の発言は忘れてちょうだいな」
「お前の上の口ガバガバじゃねえか!!」
「上の口ですってぇ!?」
神楽が大先輩に向けて放った第一声がそれだった。
基本情報
氏名:道進 千里 (しんどう せんり)
性別:男
年齢:24歳 (11月3日生まれ)
身長:156cm
体重:46kg
血液型:A型
アルカナ:法王
属性:炎
武器:ディパーチャープラン (短剣)
防具:クロスロード (盾)
防具:オーバーロード (衣装)
アクセサリー:アー君キーホルダー
アクセサリー:調査隊員バッジ
能力評価 (7段階)
P:4
S:7
T:8
F:6
C:10
登録魔法
・ファイヤーボール
・ファイヤーストーム
・リベリオン
・アイスボール
・アイスストーム
・アブソリュートゼロ
・サンダーボール
・サンダーストーム
・グランドクロス
・マジックシールド
・マジックアーマー
・ライジングフォース
・アナライズ
・ソウルゲイン
・マナストック




