第37話 作戦会議1
「急遽、皆に集まって貰い感謝する」
俺は集まってくれた各国元首達を見渡しながら話し始めた。
「皆の取得した情報はあるだろが、まず初めに俺のスキルの説明をする必要がある。聞いてくれ」
その言葉で皆は同意示してくれた。
「俺のスキルは名前の最初の文字であるリョウの『り』から始まる単語は全て物体を出現させたり現象を起こす事ができる。例えば……」
そう言いながらテーブルを指さして
「『りんご』『りんごパイ』」
テーブルには俺が言った単語の物が現れる。りんごパイは焼きたてホカホカでテーブルに現れている。
それを知らない元首達は目を丸くし、口はアングリと開いている。
そして魔神国のベネジット王を指さして
「『理髪』」と唱える。
先程まで髪が伸びてボサボサのベネジット王の髪は綺麗に整えられ、長さもまちまちだったヒゲも揃えられた。ベネジット王の前に鏡を持ってきて理髪の後の姿を見せた。ベネジット王は自分の髪やヒゲを触りながらも相当驚いたようで声も出せない状態になっている
。
「今のは単語の一部分だ。これで俺のスキルを理解して貰えた事だろう。俺はこれを使って『誰が』『どこから』脅迫文を送りつけて来たのかを調べるつもりだ。だが失敗するかもしれない。しかしやってみる価値はあると思う」
ここでもう一度周りを見渡す。
「ではやってみるぞ。魔法紙の『履歴を開示せよ』」
魔法紙に手をあてて唱えた。
すると魔法紙の上部に青い画面で白い文字が浮き出てきた。
「皆も見えていると思うが、俺が読み上げるぞ」
再度、皆に確認する。出てきた文字は……
紺の月六日 ティラスティラ領の『天罰の地』の側でゾンドが送る
青の月十五日 アルがゾンドにティラスティラ帝国のミラーの街で渡す
緑の月三十日 ケイトがアルにバータンレ共和国のバンの村で渡す
緑の月二十日 ハッセがケイトにウルゲルン獣人国のラムゼの街で渡す
赤の月五日 ゾルト・ゴドフロワがノア王国のラマンス島でハッセに渡す
赤の月一日 ゾルト・ゴドフロワがノア王国のラマンス島で魔法紙を使う
…………履歴は以上だな。ただ、赤とか青とかってなんだろう?
「先に聞きたいんだけど、この『赤とか青の月』ってなんだい?」
いまさらだけど、この世界のこよみを 教えて貰った。
一年は三百日であり、一ケ月は三十日の十ケ月だと聞く。聞いた結果を地球の暦に合わせて考えてみた。
白の月 … 一月
灰の月 … 二月
桃の月 … 三月
赤の月 … 四月
緑の月 … 五月
紫の月 … 六月
青の月 … 七月
紺の月 … 八月
黄の月 … 九月
茶の月 … 十月
「さて、みんなも確認できただろう。俺のスキル云々や魔法紙の受け渡しに自国領が使われて腹立たしいのはわかっている。だが、今は一刻も犯人確保を行うべきだろう。さて、皆の報告と擦り合わせながら情報の絞り込みをやろうぜ」
エルフ国のララノア・エレンミア女王から話始めた。
「我が世界樹より集めし世の草木の情報は太った汚らしい男がノア王国の長くて高い塀の前で揉めていたそうです。その後、倒された所までは聞けましたが、それ以上はわかりません」
次にバータンレ共和国のボレス・アヴ・バータンレ王が次のように話した。
「バンの村は小さな村です。すぐに管轄の領主へ連絡を行い、該当する者の確保に向かわせましょう!」
ウルゲルン獣人国のダンテ・ウルゲルン王もバータンレ王と同じように該当者の洗い出しを行うと話した。
ノア王国のユーグ・フォン・ノア王は
「エルフ女王の情報の長くて高い塀があるのは、我が国の国境が該当します。我が国は東西に長い国ですから。私は今すぐに国境警備隊の責任者へと問い合わせましょう」
ティラスティラ帝国のカール・ドゥ・ティラスティラ皇帝陛下は自分の配下であった侯爵が脅迫文を書いていたことに怒り、額に青筋を立て、怒りのためだろう声を震わせながら次の様に話した。
「そ、そ、そのゾルト・ゴドフロワであればリョウ様も覚えておいででしょう?ヤクブの父親です。ゴドフロアと言う名は代々帝国の重鎮の名前です。間違えようがございません。わが国の重鎮がこのような愚かな行為をいたしました事、お詫び申し上げます」
そこまで言ってから土下座をして俺に謝ってくる。
「顔を上げてくれないかな?陛下。謝罪は後でもいいだろ?それにどんな人間、獣人であっても聖人君子なんかいねえよ。なっ、まずは俺達で出来ることから始めようぜ」
ふと見ると怒り、悲しみ、驚きと申し訳なさがない混ぜたように涙を流していた。
「ほ、ほ、本当に申し訳なく…………」
「もういいって。さあ顔上げてくれよな。陛下が悪いんじゃないよ。その侯爵?元侯爵かな?そいつが悪いんだからさ」
俺は陛下に手を差し伸べてから椅子に座らせる。
「皆、いいか。ティラスティラ帝国の元侯爵が犯人と断定してもだ!絶対に帝国への誹謗中傷を行う事を俺は許さない!」
…………数分後
国境警備隊の責任者へと魔法紙を使って連絡していた返事が返って来た。
「今、エルフ国女王の情報にありました太った汚らしい男の事ですが…………」
ここまで話したノア王国の国王はチラリとティラスティラ帝国皇帝を見てから話を続ける。
「…………、その揉めていた男の名前は、侯爵のゴドフロワであると名乗っていたそうです。ただ奇妙な事に牢に手枷と足枷をして収監したと報告されてますが、朝に牢番が朝食を持って行った際には手枷、足枷を残したままゴドフロワが消えていたそうです」
一同、驚きを隠せなかった。
「その消えた事は後回しでいい。最終的にノア王国のラマンス島にいるのは確実だろ?捕まえてから聞けばいい」
ティラスティラ帝国の皇帝は先ほどの話がまだあるとして話始めた。
「わが帝国からの情報がまだでございましたな。我が諜報機関からの報告ではゴドフロワは追放されてから馬車を見かけるたびに乗せるように命令したそうです。ただ、馬車の者達は誰一人として馬車に乗せなかったそうです。そして行先は『ノア王国まで乗せろ』との事でした」
皆の報告を受けた俺は
「皆、報告をありがとう。一応、今の段階ではゴヅフロワが有力だと考える。さて、ノア王に聞きたい。ラマンス島とはどこだ?船で行けるんだろ?そのあたりを詳しく聞かせてくれないか」
俺の質問を受けたノア王は
「はい、ラマンス島は我が国の港から船でしばらく行ったところなのですが、あの島の周囲の海流は激しく、またその流れも変わりやすく、船の操舵に優れている軍船の船長でも島を迂回するぐらいです。その為に島内部は手つかずの状態です。行けるとしたら転移魔法しかないでしょう。しかし、転移魔法は以前に行った事のある場所しか行けない筈。どのように人が入り込めたのか分かりません」
「単純に空を飛んで行ったとかは?」
俺がノア王に聞いたのだが、飛行魔術は存在しないようだ。
「そう言えば………………。新月の日の数分間は海流が止まります。もしやその時に上陸したのかも……」
そうノア王が俺に言った。
「わかった。そのタイミングで上陸したんだろうな。それでラマンス島には新月以外には行けないのかな?」
もう一度、確認の為にノア王に聞く。
「いえ、かなりの馬力のある船であれば島に行けるとおもわれますが、我が国の軍船でも厳しいので……」
「そうか。わかった。その船については俺に任せてもらう。方法ならある」
俺には馬力のある船のアテがあるからな。
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