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第七十九話:天と地の決戦

 冥府の門が開かれ、数万を超える死者の軍勢が天界へと押し寄せる。

 その先頭に立つのは、冥府の支配者レイヴン——黒き王の名を冠する者。


「天を覆え、《冥府の影》!」


 レイヴンの詠唱と共に、黒い靄が天界の輝きを押し潰すように広がる。

 神々の聖域に、死の気配が充満していく。


「この領域でなら、神々と対等に戦える……いや、それ以上か?」


 レイヴンは笑う。

 だが、神々もまた、簡単に屈する存在ではない。


「《創世の閃光》!」


 オルディウスの一閃が、天を切り裂き、冥府の軍勢を貫いた。

 前線にいたアンデッドたちが光に焼かれ、消滅していく。


「ちっ……やはり、真正面からのぶつかり合いじゃ分が悪いか」


 レイヴンは即座に戦略を切り替える。


「レクシア、《霊魂転移》を使え!」

「ええ、《冥府の風》と併用するわ」


 レクシアが魔杖を掲げると、黒き風が戦場を駆け巡る。

 すると、一度倒されたアンデッドの魂が天界の地に染み込み、新たな形で復活した。


「……そういうことか」


 オルディウスが眉をひそめる。


「神の領域に死を染み込ませ、天界そのものを冥府へと作り変えるつもりか?」

「気づくのが遅いな」


 レイヴンが不敵に笑う。


「これはただの戦争じゃない。『侵食』だ」


 天界の空が、徐々に黒く染まり始める。

 レクシアの魔術が発動し、冥府の法則が天界へと流れ込む。


 ——死すべきものは、冥府へ還る。


 天界に生まれた矛盾。

 それは、この地に死をもたらす理そのもの。


「さあ、神々よ——お前たちの『永遠』も、今日で終わる」


 レイヴンは剣を構え、神々の元へと突進した。

 天界の大地が軋み、冥府の黒が染み渡っていく。

 神々の領域が徐々に穢され、永遠不変だった秩序が揺らぎ始める。


「許さぬ、冥府の支配者よ!」


 神界最古の戦神オルディウスが、輝く戦槍を構え、レイヴンへと飛び掛かる。


「《創世の槍撃》!」


 神々の法則が込められた一撃が放たれる。

 その威力は大地を貫き、空間をも焼き尽くさんばかりだった。

 だが、レイヴンは冷静にそれを見据える。


「そんなものが通じると思うか?」


 彼は指を鳴らした。


「《冥府の守護》——影の王」


 すると、レイヴンの影から黒き巨人が出現し、槍撃を受け止める。

 オルディウスの一撃は影の中へと吸収され、何もなかったかのように霧散した。


「なに……!?」


 オルディウスが驚愕する。


「神々の力に干渉し、打ち消すだと……?」


 レイヴンは薄く笑う。


「冥府とは本来、全ての魂が行き着く場所——すなわち、お前たち神々すら例外じゃない」


 レクシアが隣で囁く。


「あなたの作り出した冥府は、神すら還るべき場所へと変貌しているのよ」


 オルディウスの表情が険しくなる。

 それは、神としての驕りが揺らぐ瞬間だった。


「黙れ……神の摂理は、人間がどうこうできるものではない!」


 だが、その言葉にレイヴンは嘲笑で返す。


「お前たちが長年閉じ込めていた者たちを忘れたとは言わせないぞ?」


 その瞬間、冥府の地面が震えた。


 ——バリバリバリッ……!!


 神界の大地が割れ、そこから黒き魂たちが溢れ出す。

 それは、かつて神々に封じられた古の存在——滅ぼされた神、異端の魂たちだった。


「やっと出られたか……」


 その中で、一人の男が立ち上がる。

 黄金の鎧を纏いながらも、血塗られた剣を持つ彼は、かつて神々を裏切った英雄だった。


「貴様……まさか、アルヴェリオン!?」


 オルディウスの声が震える。


「……久しぶりだな、戦神よ」


 アルヴェリオンは忌々しげに笑う。


「この時を、どれほど待ち望んだことか」


 レイヴンは静かに言った。


「冥府の王として、お前たちを迎え入れよう——神々に復讐する機会を与えてやる」


 すると、封じられていた者たちは一斉に雄叫びを上げた。

 彼らはもはや神に仕える者ではなく、冥府の軍勢となったのだ。


「さあ、神殺しの幕を開けようか」


 レイヴンが剣を構え、神界への総攻撃を開始する。


 ついに、冥府と神界の決戦が本格化する——!

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