第十六話:ギルド『ヴァルハラの焔』
「伯父さん、そろそろギルドに入らない?」
そう言ったのは、俊也だった。
『Eternal Fantasia Online』を始めてしばらく経ち、レイヴンは既に「脱初心者」と言えるほどの腕前を身につけていた。これまでソロプレイを貫いていたが、俊也が何度もギルドへの勧誘をしてきていた。
「ギルドか……正直、そこまで興味はないんだが」
「まあまあ、そう言わずに。レイヴン伯父さんなら、ギルド戦でもかなり活躍できると思うんだよね」
彼が所属しているのは、『ヴァルハラの焔』という中堅ギルドだった。戦闘力の高いプレイヤーが多く、ギルド戦でも上位を狙える実力を持っている。
「別にギルド戦に興味があるわけじゃないが……」
「今度、大規模なギルド戦があるんだよ。参加者も多くて、報酬もいい。今なら参加枠もまだ空いてるから、一度試しに入ってみない?」
「ふむ……」
俊也がそこまで勧めてくるのなら、試しに入ってみるのも悪くないかもしれない。
個人戦ではなく、集団戦での戦い方を学ぶ機会にもなる。
考えた末、レイヴンはギルド加入を決めた。
「分かった。試しに入ってみよう」
「よっしゃ! じゃあ、さっそくギルマスに紹介するね!」
キャバルは嬉しそうにギルドメニューを開き、招待リクエストを送った。
数秒後、画面に新しい通知が表示される。
──ギルド『ヴァルハラの焔』に加入しました。
こうして、レイヴンのギルド活動が始まることになった。




