表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/86

第十一話:王都地下墓地へ

 王都ヴェルニアの南区画。人通りの少ない裏路地を抜けた先に、《王都地下墓地》の入り口があった。


「この奥か……」


 レイヴンは重厚な鉄の門を見上げた。墓地というよりも、まるで要塞の門のような威圧感がある。


「このダンジョン、実は序盤のネクロマンサー向け狩場なんだよね」


 隣で俊也キャバルが説明する。


「アンデッド系の敵が多いけど、ネクロマンサーなら『支配スキル』で敵を味方にできるから、効率よくレベル上げができるんだ」

「なるほどな……」


 レイヴンは頷きつつ、門に手をかける。

 すると、システムメッセージが表示された。


 


——【ダンジョン:王都地下墓地】——

【推奨レベル:10~20】

【ダンジョンタイプ:インスタンス(ソロ/パーティ対応)】

【攻略情報:アンデッド系モンスターが多数出現】


 


「俺たちのレベルなら問題ないね。いこう!」

「ああ」


 二人が門を開くと、湿った空気が流れ込んできた。


          ※


 ダンジョン内部は、薄暗い石造りの通路が続いていた。壁には燭台が並んでいるが、その炎はまるで魂火のように青白く揺れている。


「雰囲気があるな」

「だね。でも、伯父さんにとってはこういう場所のほうが落ち着くんじゃない?」

「どういう意味だ?」

「だって、ネクロマンサーなんだからさ。墓地とか死霊とか、そういうのが似合うでしょ」

「……そういうものか?」


 自分がネクロマンサーらしいかどうかは分からないが、このゲームにおいて「死の気配」はレイヴンにとって不利なものではない。


(むしろ……俺にとっては、都合のいい環境か)


 ネクロマンサーのスキルは、周囲の「死」によって強化されるものが多い。

 この墓地のような場所なら、戦いながらさらに強くなることができるはずだ。


「さて……そろそろ敵が出てくるよ」


 キャバルがそう言った瞬間——


 


 カツン……カツン……


 


 奥の暗闇から、骨が擦れる音が響いた。


「……来たか」


          ※


 闇の中から現れたのは、《スケルトン・ウォーリア》。


 錆びた剣を携えた骸骨の戦士が、二体。


【スケルトン・ウォーリア(Lv12)】

•属性:アンデッド

•HP:400

•特殊能力:斬撃耐性、物理攻撃半減


「序盤の雑魚だね。どうする?」

「試したいスキルがある……やってみる」

「了解!」


 レイヴンは杖を構え、スキルを発動する。


「《死者の従属》」


 手のひらから暗いオーラが放たれ、スケルトンたちを包み込む。


——【スキル判定】——

【成功率:40%】

【対象:スケルトン・ウォーリア(Lv12)】

【……成功!】


「お、成功した!」


 スケルトンの片方が、ゆっくりとレイヴンの足元に跪いた。


【スケルトン・ウォーリア(Lv12)が従属しました】


「ふむ……」


 レイヴンは自分の支配下に入ったスケルトンを観察する。

 このゲームにおけるネクロマンサーの召喚獣は、モンスターを倒して手に入れるのではなく、戦闘中に「支配」することで仲間にする仕様らしい。


(つまり、強いモンスターを手に入れるためには、戦って勝たなければならない……か)


 なかなか厳しい職業だが、その分、戦術の幅が広がりそうだった。


「じゃあ、伯父さん。もう一体のほうは普通に倒そうか」

「そうだな」


 キャバルが短剣を構え、もう一体のスケルトンに飛びかかる。


「《シャドウ・スラッシュ》!」


 素早い一閃が、スケルトンの胴を斬り裂いた。


【クリティカルヒット!】

【スケルトン・ウォーリアに350ダメージ】


「あと一撃!」


 


「……任せろ」


 レイヴンは杖を振り、呪文を詠唱する。


「《ダークボルト》!」


 黒い稲妻がスケルトンを貫き、そのまま粉々に砕け散った。


【スケルトン・ウォーリアを倒しました】

【経験値+120】


「よし、いい感じだ」

「スムーズに戦えたね!」


 キャバルが親指を立てる。


「伯父さん、もう一体は支配したし、どんどん奥に進もうよ」

「そうだな……この調子で進むか」


 ——こうして、レイヴンたちは《王都地下墓地》の攻略を開始した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ