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第8話 路上ライブ後に

このページに来てくださりありがとうございます。私の実力不足で投稿が遅れました。次話もがんばります。宜しくお願いします。

1時間の公開練習を経て、ライブを初めてから20分が経った。

まず最初は客の足を止める為に、この世界のスローテンポの有名曲から始めた。

そして、これからロックナンバーを交えて、少しずつテンポを上げていき、ガーナードのバラード『Road to Exit 』で締める予定だ。


そして今、椅子に座っている俺達の周りには50人くらいの人が集まっている。


いよいよ次の曲が、この世界で初めてのロックナンバーだ。


やる曲は『Corkscrew』の『足音』だ。

ミドルテンポのこの曲は、シングルカットこそしていないがファンから根強い人気があり、Corkscrewのカラオケランキングでも上位になった事がある曲だ。


ライブで、これから最高潮に持っていくぞって時のきっかけによくしていたっけ。


この曲を聞いて、観客がどういう反応をするか楽しみだ。


その前に、ロックのリズム感を身体で楽しんでもらいたい、と考えた俺は、手拍子を観客にしてもらう事にした。

観客の顔を見ながら、手を大きく上に挙げて手拍子を促す。


「皆さんも演奏に参加しませんか?手を叩くだけでいいんです。このリズムで手を叩いて下さい。」


パチ・パチ・パチ・パチ・・・・・・


こういうのが初めてのせいか、それとも恥ずかしいのか、手拍子は思った程大きくない。


俺は観客を見渡し、なるべく多くの人々と目をあわせてさらに大きい手拍子を促す。

すると、少しずつ大きくなってきた。


リューガルドからもコン、コンとリュートのボディーを叩く小気味好い音がする。


「もっと!もっと!もーっと!」


こういう時に子供の反応は有難い。

実に楽しそうに、全身を使い手拍子をしている。


リューガルドがリュートで、観客の手拍子に乗り、明るく朗らかな音色で、奏で始めた。


明るい曲調の『足音』のイントロを、切りが良い所でループさせている。

まるでもっと手拍子を欲するかのようだ。


観客もそれに応じて、手拍子が大きくなってきた。


リューガルドは笑顔で、頷きながら演奏を続ける。


前世のジョン・タイター時代でも、時折見せるキラースマイルで女性ファンを魅了していたっけな。


きっと今も、リューガルドに魅了された女性がいるに違いない。

だって何人かの女性が、人をかき分けて前に出てきたもんね。

目がハートになってるし。


俺も必死で観客に手拍子を促す。


手拍子の渦は更に観客を呼び、立ち止まって見てくれている人は、先程より倍に膨れあがっている。


手拍子は更に大きくなってきた。


熱い空間が出来上がりつつある。

そういう感触がある。

空気を感じる。

懐かしい、前世でのライブの感触だ。


俺は立ち上がった。

手拍子をしてくれている観客に、最高の笑顔で答える。


「それでは聞いて下さい。俺達のオリジナルソング『足音』」


この曲は、風景の素晴らしさや偉人の人生を歌う、この世界の曲とは違い、身近な生活での事を歌っている。


けど。この雰囲気で歌詞は、なかなか入っていかないだろうと思う。

とにかく、メロディを聞かせよう。


俺はリューガルのリュートに負けない様な、明るく、はっきりとした声で歌いだした。


観客から軽くどよめきが起きた。

恐らく、

先程までの曲で出していた声とのギャップだろう。


これからが俺の本領発揮だ。

リューガルドには負けたくない。


演者と観客、演者と演者、それぞれのエネルギーのぶつかり合いがロックという音楽を作っていく。


しばらくこのスタンスでいこうと思う


俺はリューガルドのギター(今はリュートだけど)に負けたくないし、観客の熱さにも負けたくない。

リューガルドだって同じはず。

出たり引いたりはベテランになってからで十分だ。

 

歌いながら観客の表情を見る。

手拍子をして、楽しそうにしてくれている人々がほとんどだ。

その一方で腕を組んで険しい顔をした人もちらほら見かける。


それは当然だろう。

好きになってくれる人がいれば、肌が合わないと感じる人もいて当然だ。

当然そこの人々も取り込める様に努力するが、今は楽しんでいる人々を更にこっち側に引き込むのが最優先だ。


男の子女の子の兄弟が、俺達と観客の間にできたスペースで、くるくると回りながら、自由に体を動かし出した。

踊ってくれた!

この世界で踊らせた観客第一号は子供だったな。

子供の自由な感覚に感謝だ。

このライブでもっと踊らせるぞ。


その可愛らしい光景を見て、更に手拍子が大きくなった。

中には、体を曲に合わせて揺らしている大人も見かけるようになった。

ロックを知らないこの世界の人達が、俺達のロックを楽しみはじめている。

幸先が良いスタートだ。


曲は終盤に差し掛かり、サビをリフレインするパートに差し掛かる。

サビを既に聞いているせいか、口ずさんでくれているようだ。


最後のコーラスを歌いきり、リューガルドがゆっくりと曲を締める。


一瞬、この場が静まりかえった。


手応えは十分にあった。

良い反応をもらえる自信はあったが、この一瞬だけは長く感じた。


次の瞬間、割れんばかりの大歓声。


「おい、今の何て曲だ?」

「いい曲だったよな。」

「歌詞の内容も今までとは違って、身近だったね。」

「歌声まだ耳に残ってる。」

「楽器弾いてる人誰?めっちゃイケメン。」


こんな反応が耳に入ってきた。


ここまで観客を温めたら俺達のもの。

ガーナードのバラード『Road to Exit 』まで5曲、あっという間だった。


特に『Road to Exit』の時、観客のみんなが聞き入ってるのか、演奏中は誰も声を挙げる人もおらず、曲を終えた瞬間の大歓声と拍手が凄かった。

歌い手冥利に尽きる反応だった。


俺達はライブの余韻に浸りながら、片付けをしている時だった。

俺達から少し離れてた所から声がする。


 「おお、これはこれはセルスじゃないか?お忙しいセルス君がこんな所で油を売ってたら行けませんね。おや、今日はいつも一緒のエーテルちゃんはどうしたの?もしかしてフラれた?」


「俺がどうしようとお前らに関係ないだろう。お前らの相手をする時間も無いんだよ。どいてくれ。」


「おーっとこっちはお前に用事があるんだよ。遊ぼうぜセルス。」


次の瞬間、ドスっと鈍い音がして、誰かのうめき声が聞こえた。


「お前が冷たい態度をとるからいけないんだぜ。おい立てよ!俺達と遊ぼうぜ。」


また、鈍い音がした。

きっとまた同じ奴が殴られたに違いない。


せっかくいいライブができたのに、ここで暴力沙汰は勘弁してよ。

俺はリューガルドの反応を見た。


リューガルドは今の今までいた場所にはおらず、もめ事の所に向かっている所だった。


まあ、お早いこと!

リューガルド君、分かってるよね。

気をつけるんだよ。

無理に突っ込んで行くな。

また死ぬ可能性あるんだよ。


「おい、てめえら喧嘩すんじゃねえよ。それとも超ダサい、いじめか?それ以上やりたかったら、俺が相手すんゾこら。」


はあ、リューガルドよ、ぶちギレはいけませんぞ。

俺達があの日に、大変な目にあったのをもう忘れたのかい?

まあ、俺もぶちギレそうなんだけどね。


しかし大人な俺は、怒りの気持ちを鎮めて、冷静に対処するつもりだ。


同じ失敗は繰り返さないもんね。



今回の話を書いていて何故か、BUCK-TICKのICONOCLASが思い浮かびました。けど、今回のライヴでは絶対歌っていないと思います。

ご存知無かったら聞いてみて下さい。自分は殺しの調べバージョンが好きです。結構昔の曲ですが、今聞いても古さを感じない曲だと思います。

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