第7話 到着
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俺達は森の町ステルに到着した。
王都オーフェリエと砂漠の町オデリアを結ぶ、大きな街道のちょうど中間にあたる町だ。
この町は街道の中継地として、冒険者や商人など多くの人で賑わっており、宿屋もハイグレードから、格安まで選択可能だ。
金が無い俺らは、町の人から聞いた、格安の宿屋を目指している。
「フン、できる女は違うでしょ!私、二人の事を考えて、アイテムボックスの容量大きいのを、頑張って買ったんだから!ハイ、『有難うございます』は?」
いつも通りのフレシアの得意げな言動がウザい。
「クッ·····有難う。」
「··············」
「リューちゃん、いいの?使わせてあげないよ。」
「····ありがと。」
「リューちゃんも最初から素直になれば良いのに。いいわ、使わせてあげる。やっぱり、この旅に私は必要だったわね。」
珍しく『いよっ、さすがフレシア様!いつも有難うございます。』とでも言ってやれば良かったかな?
しかし、こういう先を見越した行動ができるのが彼女の強みだ。
普段はウザがっているが、彼女と行動を共にすると、結果や時間がかなり違うのが、昔からの実感だ。
少し先に宿屋の看板が見えた。
「あー、町の人が教えてくれた宿って、あれじゃない?はい、リューちゃん、私の荷物持っておいて。私は先に宿に行って、部屋が開いてるか聞いてくる。」
そういうとフレシアは軽い足取りで宿屋に向かった。
俺は、路上ライブ兼練習場所を探しながら歩く。
太陽はまだ高い位置にあり、これだったら、すぐにでも見つけられそうだ。
この町を歩いていると、一般的な店の中でも『木』に関する店をよく目にする。
(やはり親父言っていた通り、木に関する店も多いな。
ギターの材料探しもしないとな。)
そう、この町は旅人むけの顔とは別に、もう一つの顔を持っているのだ。
それは、周りの環境を活かした林業だ。
この国最大の木材生産地で、木材のラインアップも豊富、硬い材質から柔らかい材質まで揃っており、加工する職人も多くの人が集まっている。
俺達はこの町で、楽器の材料を仕入れる予定だ。
その前に、俺達には資金がないので、まずは資金稼ぎだ。
クエスト、アルバイト頑張るぞ。
歌で稼げたら一番だけどね。
歌う楽曲に関してはリューガルドと話し合ってある。
リュートは良くも悪くも軽い音しか出ないので、ゴリゴリのハードロックはまず無理。
なので、前世でお互いの、ミドル〜スローテンポの曲のカバーをメインに、この世界の曲を混ぜてやっていくつもりだ。
歌詞も言語が違うので、そのまま訳して使える様にアレンジするか、新しい歌詞をつけるかだが、韻の事を考えると、新しい歌詞をつけた方が良いかもしれない。
新曲や新しい歌詞を書く為にも、この世界の人々の生活をより多く、見て、聞いて、触れないといけない。
その為の第一歩が、今回の旅だ。
それにしても、課題は山積みだ。
ふと、前世で売れて無かった頃を思い出す。
あれはあれで良い経験になった。
楽曲製作とアルバイトだけの日々。
寝る時間も十分にとれない。
凄く大変だった。
しかし、俺もバンドメンバーもみんな笑ってた。
みんな同じ『夢』を見てた。
『夢』に向かい、突っ走っていた。
毎日が楽しかった。
あの経験があったからこそ、俺のヒット曲『OUTSIDER』と『DREAM』が生まれたんだもんな。
そう考えると、良くも悪くも“経験”に無駄は無いのかもしれない。
少し後ろから鼻歌が聞こえてくる。
あれは前世で、リューガルドいた、ガーナードの大ヒットバラード『Road to Exit 』だな。
美しいギターのフレーズから、ボーカルが情景を描く様に優しく歌いだす曲だ。
目を閉じて弾くリューガルドの表情も情熱的で美しく、ライブでの写真が、ギター雑誌の表紙表紙になったよな。
よし、今回のメイン曲は『Road to Exit 』にしよう。
日課の練習で何回もやってるし。
まずは俺達のメロディを、この世界の人々に聞いてもらおう。
歌詞は、とりあえず現状のままで、反応を見て変えていくってことにしよう。
ビジュアル的にも、リューガルドは長髪のイケメンで女性の目を引くと思う。
やっぱ、知ってもらうには曲も大事だが、ビジュアルも大事っしょ。
なんだったら一卵性双生児で、俺もイケメンだったらもっと良かったんだけどね。
ちくしょー、創造主様にお願いすれば良かったかな。
「なあ、リュー。この町では『Road to Exit 』メインでいこうか。」
「おう。この町歩いてたらこの曲がやりたいと思って。お前に気づいてもらえるように鼻歌を大きめにしておいたんだ。あとロックは、ミドルを2曲入れて、他はこの世界の曲が良いと思う。」
「そうだな、それでいこう。あとは人前で練習して、その反応を見ながら曲は決めよう。」
「了〜解。」
そんな話をしていたら宿屋に到着した。
フレシアが最高の笑顔で迎えてくれた。
「ようやく来たのね。3人部屋一つしか空いてないって言うからそこに決めておいたよ。うふっ、ご店主のご厚意でおまけしてもらっちゃった。二人ともお礼を言って。」
「有難うございます。」
「有難うございます。」
フレシアはふり返って、カウンターの店主に最高の笑顔を向け、頭を下げる。
「ご店主、本当に有難うございます。」
若い娘の笑顔に、店主もまんざらでも無さそうだ。
そう、みんなこの笑顔に殺られるのだ。
いつの間にか、“良い事したかも”と思わせてしまうのだ。
これは絶対に店主の“ご厚意”では無いと思う。
フレシアの得意技『交渉』だ。
きっと最初に二部屋希望して、一部屋なら〜といった流れに違いない。
当然、用意している罠はそれだけではなく、二重、三重にも張り巡らせてあり、ターゲットを袋小路に追い込んでいく。
そして最後に“最高の笑顔”で仕上げ。
俺達には見慣れた手だ。
けど不思議な事に、何度も同じ様な手を繰り返すのに、彼女は嫌われない。
かえって、周りのみんなから愛されている。
そこが、俺達にはできない所だ。
それにしても、フレシアも一緒の部屋で良いのか?
一応、年頃の娘だぞ。
まあ、マナー、エチケットには注意するけど。
その事をフレシアに確認したら『大丈夫よ、リューちゃんとトラちゃんだもん。』だって。
やはり、腹をくくった女性は強い。
確か、混浴風呂で小さくなってるのは女性より、男性の方って言うし。
俺達は部屋に入り、荷物を置く。
俺とリューガルドはフレシアに、路上ライブ兼練習場所を探しに行くと伝えたら、荷物の整理があるから行けないとの事だった。
俺達は、フレシアに晩御飯に一旦戻ってくると伝えて宿屋を出る。
やはり、男二人が身軽だ。
まずはこの町にいる人々の生活をみる為に歩いてみる事にする。
食堂と冒険者ギルドの場所は確認できたので、ギルドの登録だけはしておいた。
両方とも比較的宿屋から近かったので、ラッキーだった。
この町は、旅人や宿屋みたいに旅人にサービスを提供する“動”の部分と木の職人などの“静”の二つの持つエネルギーが大きい。
この二つのエネルギーが、俺達の曲でどのようなエネルギーに変わるのかが楽しみだ。
歩いているうちに、何ヶ所か良い場所があり、本日はその内、宿屋に近い場所にする事にする。
一応、近くの家や店に声をかけて、了承してもらえた。
早速、ゴザを敷いてリュートを取り出し、練習中と書かれた立て板を立てて、練習を始める。
近所の子供達が近寄ってきた。
リュートを珍しそうに見ている。
俺達はまず手始めに、王都で人気だったメロディに乗せて、即興でこの町の事を、詩を朗読するように歌いあげる。
通行人が少し遠くで立ち止まって、俺達の歌を聞いてくれている。
反応としては上々だ。
この練習で色々な曲をやってみて、反応を見てみよう。
前世での経験上、正解はそこの先にあるに違いない。
respect best of you /foo fighters
この曲を聞いた時のイメージは“熱いバラード”でした。この曲もトーランドとリューガルドの路上ライブのセットリストに入っていたら良いですね。
それにしても、デイブ·グロールいい声をしています。
シャウト声フェチの方におすすめです。




