第68話 まさかね
このページまで来ていただき誠にありがとうございます。相変わらず更新は遅いですが、確実に書いていきますので宜しくお願いいたします。
「・・・・」
フレシアはいまだに不機嫌だ。
ベッドが10台並ぶ部屋で、一人暗黒オーラを放っている。
こうなったら、しばらくは何をやっても無理。
そっとしているおくしかない。
これが幼なじみの知恵だ。
リューガルドなんか、フレシアの事なんて気にもせず、ギターの手入れをしているし。
クリスとアビちゃんは、完全にフレシアの暗黒オーラに飲み込まれ怯えている。
二人共安心しろ、もっと上がある。
それは自分がフレシアを怒らした場合だ。
あれはヤバい。
いまだに俺も無理。
リューガルドも耐えられないだろうな。
この部屋には、俺達のポーションである程度復活できた俺達のみ。
先生とやらはボスの所へ行き、看護師さんはフレシアが復活したのを確認すると、とっとと帰ってしまった。
ここはどこだろう?
窓がないから景色が見えない。
部屋は、綺麗な円盤状に成形された魔石が、蛍光灯の様に光っており、前世を知る俺は思わず『明るっ。ドラッグストアかよっ』ってつっこみたくなる。
ギターの音色が流れてくる。
懐かしいメロディーだな。
ってこれ、某有名ドラッグストアのCMソングじゃねえか。
♪いつも~~あなたのそばに~~~ドラッグ♪
そりゃ歌うっしょ。
リューの奴、前世で来日した時ホテルに帰る前に、必ずあそこに行ってたもんな。
帰る時は、コンドーさん爆買い。
品質が良いんだってさ。
気がつけば、いつの間にかギターアレンジが入っており、リピートする度に華やかになってきている。
クリスを見ると、カホンを取り出しリズムを探っている。
となれば俺もギターで参戦させていただきます。
この曲を色々アレンジして楽しんじゃおう。
こうなったら、ファンキーなジャズファンクバージョンまで持っていきたい。
アビちゃんはフレシアの様子をチラチラ見ながら、覚えたての歌を楽しそうに歌っている。
っていうか、みんながフレシアの様子を気にしている。
おや、表情が変わってきたぞ。
ほーら、歌いたいんじゃないの?
♪~ドラッグ♪って歌いたいんじゃないの?
「「フレシア。」」
「「姉さん。」」
ブー垂れていたフレシアが、一気に笑顔に変わった。
♬~~ドラッグ♬
決まった。
一体感が心地良い。
あー、早く帰ってライブしたい。
っていうか絶対する。
あいつらも待ってくれてるだろうし。
それから、前世のCMソングのセッションをした。
これがかなり楽しかった。
いろいろなCMに独自のナレーションを入れてみよう選手権は、意外にもアビちゃんが優勝。
彼女の独特なワードセンスが光っていた。
アビちゃんって戦闘狂なイメージがあるけど、ビジネスもかなり頑張っているしな。
ある時、『あの子センス良いわ。私も負けてられない』ってフレシアが呟いているのを耳にした事がある。
またCM選手権やったら、フレシアが目の色を変えてやるんだろうな。
フレシアの姿が目に浮かぶ。
そしていつの間にか、オリジナルCM制作プロジェクトが立ち上がり、アビちゃんが責任者になった。
「オデリアで5件以上取ってきます。」
アビちゃんの目は、やる気に満ち溢れていた。
それを暖かい眼差しで見つめるフレシア。
二人共、よろしく頼みます。
曲は任せろ。
最強のメンバーが揃ってますから。
そういえば、オーブリー元気にしているかな?
できるだけ早く帰って来ないかな。フルメンバーで早くライブがしたい。
オーブリーも同じ気持ちで頑張っているだろうから、俺も今やるべき事を頑張ろう。
それは、みんなで、とある求人案内のCMソングを歌っている時だった。
「おーい、入るぞ。」
大きな声と共に、先生が入ってきた。
「ボス、どうぞ。」
「それって♪求~人~案内♪だろそれ。懐かしいな。お前らもあっちにいたのか?お前ら日本人?みんな?」
ハスキーで低い男性の声がした。
しかし、どこから声がしたかわからなかった。
ドワーフを探したけど、いるのは先生だけ。
すぐにわかった。
手のひら位の大きさで、羽がある。
マルゴーやムートンと同じ・・・・そう『妖精』だ。
ムートンと同じ男性の妖精。
髪の毛をアップしていてリーゼントっぽい。
しかも肌には何かしらの絵が入っているのが見える。
・・・・まさかね。
その筋の人じゃないよね。
男性の妖精って珍しいんじゃなかったっけ?
っていうか何で『妖精』がドワーフのボスなの?
『お前らも』って転生者確定じゃん。
しかも日本人?
絵ってもしかして刺青?
情報が一気に押し寄せてきて、脳みその情報処理が追い付かない。
「俺がここを仕切っている『ショウ』だよろしく。ちなみに漢字は『翔』な。気軽にショウって呼んでくれ。おうお前ら、マルゴーとムートンがお世話になったな。いろいろとハニーちゃんから聞いてるぞ。コリュウ?虎龍?バンドやってんだって?ロックンロールだろやっぱ。」
「・・・・」
俺らは黙って頷く事しかできない。
漢字!
ハニーちゃん?
誰それ?
ここはどこ?
ドワーフがいるから妖精の世界じゃないでしょ?
もう頭の中は?だらけだ。
情報処理が追い付かない。
「そうだ見てくれよ。」
翔さんがパッと光ったと思ったら、衣装か変わっていた。
白い特攻服!。
背中には桜と共に大きく「天下無双」と刺繍されている。
天下無双の下にも小さな点々が見えるのは、何かしらの文言が書いてあるのだろう。
左腕には『夜露死苦』と書いてある腕章。
「どうだ、格好いいだろ。単車あんだぞ、造ったんだ、後で見てくれよ。」
「・・・・」
また黙って頷くだけの俺ら。
いまだに情報処理が追い付かない。
っていうか、元?現役?の不良さんですね。
確定です。
昭和かな?
平成かな?
昭和の不良さんの方が、何でもありで怖いイメージがある。
できれば平成の不良さんだったらいいな。
「どうしたお前ら?ずーっと黙って。大丈夫か?・・・・ああそうか、ハニーちゃんって言ってもわからないよな。ハニーちゃんって言うのは俺の妻のローツシルツちゃんだ。マブかったろ?」
はい、昭和確定。
『マブい』って俺にしかわからないだろうな。
美人って意味だ。
はっ、まだ俺達一言も喋ってないぞ。
「自分が虎龍のリーダーをやってるトーランドと申します。こちらが~~~~アビゲイルです。よろしくお願いいたします。ローツシルツ様には大変お世話になりました。」
「ようやく喋ったな。で、マブかったろ?」
「はい、お綺麗な方でした。見とれてしまいました。」
「だろー。ローツシルツって本っ当にマブいよな。性格はちょっときついかもだけど、それ以外は全て完璧なんだよ。俺にとって最高の女だよ。」
翔さんはかなり嬉しそうだ。
俺は心の中で『ちょっとじゃねえよ!』と叫んでいた。
Respect TOTAL / No one else
ヒップホップの名曲を大胆にサンプリングした、90年代R&Bの名曲です。格好いい女性ボーカルグループといったら、このグループでしょう。スッカスカのトラックにクールなボーカル。そしてサビの美しいコーラス。まさしくヒップホップソウルの名曲の一つです。90年代って、ラップだけじゃなく、歌物ももっと世に出て欲しい名曲が揃っています。メロディーラインがキレイな曲が多いので、聞き流す曲に困ったら聞いて見て下さい。YouTubeやサブスクで「90年代R&B」でプレイリスト検索したらでてくると思います。




