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第66話 スケルトン

このページまで来ていただき、誠にありがとうございます。では宜しくお願いいたします。

ゴーレムのコアが消えた方向から、男の声が聞こえた。


木々の隙間から見える空は少し明るくなってきているようだが、森の中はまだまだ視界が悪い。


「こいつとの戦いかたに関しては珍しい戦法で面白かったが、人間の魔法使いで、妖精もいない様な未熟なお前らにこれの価値は解るまい。」


そう言うと共に森の中から現れたのは、右手にゴーレムのコア、左手に大きな杖を持ち、黒いフード付きのマントを頭から深々と被った、いかにも魔法使いといった格好をした人物だった。


手袋をしているのか、手が白っぽく見える。


「これの対価として、私が魔法の使い方を・・・」


アビゲイルが魔法使いに向けて音を立てずに走り出す。


「待て・・」


駄目だ。


ガツ


アビゲイルが振りかざした警棒が魔法使いの杖で阻まれた。


「教えてしんぜよう。フン」


魔法使いが低い唸り声と共に杖をかざす。

杖から水の塊がアビゲイルの胸元に伸びる。


アビゲイルはとっさに両腕をクロスにしてガードし、それを受け止める。


「ぐはっ」


衝撃で動きが一瞬止まるアビゲイル。


「話は最後まで聞くものだぞ、小娘が。フン」


またも低い唸り声かざされる杖

間髪入れず、もう一発打ち込む。


「うっ」


アビゲイルがうめき声をあげ、俺達の足元まで吹き飛ばされた。


「大丈夫か?」


「アビゲイル」


クリスとフレシアが倒れているアビゲイルの元へ駆け寄る。

俺とリューガルドは、それを守るように前に立ち、臨戦態勢をとる。


「リュー、落ち着けよ。冷静にな。」


小声でリューガルドに伝える。

正義感が強いリューガルドが、一番キレるパターンだ。


「オウ。突っ走るだけじゃ勝てない。考えないと。」


「そうだな。時間を稼いで考えよう。」


「それでいこう。」


俺はマイクを握り締め、魔法使いをぐっと睨み付ける。


「魔法を教えてくれんだろ?じゃあまずは名乗るのがマナーってもんじゃねえか?」


「時間稼ぎか。それには乗らんよ。フン」


魔法使いが杖をかざす。

杖から繰り出されたいくつもの風刃が、俺達に向けて飛んでくる。

この数、避け切れない。


俺がとっさにとった行動は、風の盾をイメージして、魔法を出す事だった。


マイクを構え、シャウトする。

横からは、ギターの速弾きが聞こえた。


俺達の前に風と雷、2層の盾が現れる。


うめき声が森に響く。


ナイフで斬られたような痛みが、全身に走る。

痛くて熱い。

この前買いそろえた新しい革の防具があまり役にたっていない。


血が全身から滴り落ちている。


けど、まだ動ける。


「魔法で盾を出すとは良い判断だった。けど魔力の精錬不足だ。そんなんじゃ私の魔法は防げんよ。なら、こいつはどうだ。・ハッ」


俺らの頭上に無数の光の粒が出現する。


「ほら、時間が欲しいのだろ。ちょっとだけあげよう。」


俺達はそれぞれの魔法で光の粒を消そうとするが、なかなか消えない。


「時間だ。ハーッ」


魔法使いが杖を素早く振り下ろすと、低い唸り声が辺りに響いた。


「魔法で・・」


俺が言うまでもなく、瞬時に何層もの壁が俺達を包んだと思った瞬間、容易く壁は霧散し、無数の雷が俺達を襲っていた。


全身が痛くて重い。

けど、立たなきゃ。

ここで死ぬわけにはいかねえ。


「・・大丈夫か・・・トー。」


「こりゃ・・イテテテ・・ダリオと初めてやったとき以来だな。」


どうにか立ち上がる。

目の前には魔法使いが無言で立っている。


くそが。

余裕ぶっこきやがって。


「そうだな。ここからが俺らの喧嘩だよな。」


「その喧嘩に混ぜて貰えますよね。」


横に立ったのはアビゲイルだ。


「奴にまず一発っすよ。」


「・・・・」


クリスの横には、無表情のフレシア。


フレシアさんはそうなりますよね。


やっぱヤバイ。

久しぶりに見た、能面モード。


フレシアがこうなったら最後、誰がどうやっても、手がつけられない。

親でさえ無理で、あの時もみんなが総出で必死になって止めたもんな。


「フレシア、落ち着け。」


リューガルドがチャレンジする。


どうみても無理っしょ。


「・・・・」


「おい。」


「・・・てめえは黙っとけリュー。」


呟くような低い声。


「ったく。」


ほらね。

けど、リューガルドナイスチャレンジだったぞ。


両手で自身のほっぺたを叩いて気合いをいれる。


「悪いみんな。俺らの付け焼き刃みたいな戦術なんて、こいつには到底無理だろう。取り敢えずあいつを囲め。後は自由。・・・グルーヴ・・・そう『グルーヴ』を感じるんだ。俺らは冒険者パーティーじゃない。バンドなんだ。ライブを思い出してくれ。あの『グルーヴ』だ。俺らにとってこれは『戦闘』ではなく『喧嘩』だ。負けんじゃねえぞ、てめえら。」


「だな。」

「うっす。」

「ヤる。」

「・・・」


「みんな、いけーっ。」


俺の合図と共に、みんなが魔法使いを囲む。


「準備は良いですか?では授業を・・・」


「てめえ、顔ぐらい見せろや。」


俺は魔法使いに手をかざし、強風を出す。

魔法使いのフードがめくれると、黄ばんだ頭蓋骨だった。

所々が黒く変色している。


スケルトン野郎め。


「この骨野郎が。」


フレシアの目に怒りの火が灯る。


フレシアがステッキをかざす。

小さな青白い粒が魔法使いに飛んでいく。

当たると思った瞬間、リューガルドの放った雷が直撃し、魔法使いの目の前で爆発する。


「グハッ。」


スケルトンがうめき声をあげ、体から水滴が飛び散る。

スケルトンの腹部にはアビゲイルの持つ警棒。


「風呂入れや。汚ねえんだよ。」


ウォーッ


吹雪をイメージしてマイクに魔力を込め、シャウトする。

凍るような強風がスケルトンを包んだ。


ボン


辺りに響くカホンの低音。


無数の握りこぶし大の石が、スケルトンに向かって飛んでいく。


「グハッ」


またもスケルトンのうめき声。

たまらず、スケルトンが片膝をつく。


スケルトンはスッと立ち上がると、ローブに付いた埃を手で払う。


「ほう。なかなかやるじゃないですか。結界と身体強化してなければ危ない所でした。長引かせても仕方がないので、これで終わりにしましょう。・・・・フンッ」


魔法使いの唸り声が再び辺りに響き、杖が振りかざされた。


俺達は皆、胸元辺りまで腕と共に、分厚い氷に覆われてしまった。

どうもがいても動けない。


「詠唱魔法は知っていますか。ごく初歩の詠唱魔法で申し訳ありませんが、あなた方にはそれで十分でしょう。では早速・・・・・」


スケルトンが、小声で杖に向かって何かを呟いている。


杖の上部が光だした。


何かが俺の周りを包み込んでいるように感じる。

恐らく魔力だろう。


魔力であろう物が俺の胸元に集まってくる。

とても濃い魔力の小さな塊が形成されていくのがわかる。


「・・・・・ファイアーボム・・・ハッ」


それはスローモーションのように感じた。。

真っ青な光が俺らを包んでいく。


全身に刺すような熱さと激痛が走る。

だが、それは一瞬の事だった。


こりゃ死んだな。

親父、お袋ごめんなさい。

一人だけでも生き延びてれば良いな。


薄れ行く意識の中で、自身の死を覚悟していた。

Respect ザ・ビートナッツ/ザ・ビートナッツ

90年代のニューヨークのヒップホップを支えたグループのひとつであるザ・ビートナッツのファーストフルアルバムです。アルバムに収録されているプロップス・オーバー・ヒアがこのグループの代表曲です。ウッドベースの音色が最高!絡むラップは上手というよりも堅実といった方が良いかもしれません。是非聞いてみてください。この時期のヒップホップって現代とかなり違って落ち着いて聞ける(歌詞内容は別)と思います。

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