第65話 ゴーレム
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壊れた壁の向こうには、ごつごつした石の体を持つ、かろうじて人の形をした人形?が立っていた。
クリスが造った壁よりは少し小さいが、優に4メートルはある。
やっぱこいつはゴーレムでしょ。
「ゴーレム・・・・」
リューガルドが呟く。
「「だよな。」」
前世のゲームやアニメでいろんなゴーレムを見たが、大好きだった狩りゲーのゴーレムとイメージが重なる。
通信でリューとも一緒にやったっけ。
ただ違うのは、ゴツさ。
狩りゲーのは成形された石でできているのに対し、こっちのは大小様々な原石が集まってできている。
また、狩りゲーではコア(核)が光っており、そこを攻撃したら倒せたが、それは見当たらない。
原石が集まってできているので、隙間がかなりあるがまだ確認できていない。
「コアらしきものは有るか?リュー。」
「まだわからん。来るぞ。」
真っ赤な二つの目が俺達を確認すると、すぐさま動き出す。
ドッドッドッ
地響きを立てながら、俺達へ迫って来る。
かなりのスピードだ。
「クリス、薄くてもいいから、ストーンウォールでこいつを囲えるか?」
「やってみるッス。」
石の壁がゴーレムを囲むように出現する。
「ナイスだ、クリス。」
「ウッス。」
他のメンバーはまだ指示していないのにも関わらず、それぞれが石の囲いを距離を開けて包囲する態勢になる。
「みんなナイス。できるだけ一人ずつ攻撃して、誰の魔法と相性が良いか試してみよう。長期戦も考えてな。狙いは足と胸の隙間。」
「「「「ウッス」」」」
ドーン
フレシア側の壁が壊れ、ゴーレムが出てくる。
フレシアのステッキから出たファイアーボールが、ゴーレムの胸に当たる。
ゴーレムは衝撃で少しよろけたが、体の損傷は見当たらない。
俺のウインドカッターもダメージは見受けられない。
リューガルドとクリスはダメージを与えたが、少しだけだった。
次はアビゲイルの水はどうだ・・・・・・って・・・・・何か違うかも。
何かできそうなんだけどな。
考えろ俺。
アビゲイルの警棒から繰り出されたウォーターナイフも不発だった。
「もう一発いくッス。」
クリスがストーンバレットと斬撃を繰り出す。
クリスは土だよな・・・・・土・・・アビゲイルは水・・・土・・・水・・・土・・・み、そうか!
「クリスとアビゲイルは離脱して適当な場所を見つけて、魔法で泥濘を作ってくれ。水と斬撃があったらできるはずだ。それまでは俺達でどうに持ちこたえる。泥濘ができたらこいつをそこへ誘導するぞ。いいか?」
「「「「「了解」」」」
「だったらトー、熱すると強度が弱くなる石もあるんだ。フレシアの魔法で熱して、俺達の魔法で砕くなんてどうだ?」
「それ良いな。それでいこう。」
クリスとアビゲイルが離脱。
俺とリューとフレシアで三方向に別れてゴーレムを撹乱する。
奴の素早い動きに注意しつつ、木を避けながら魔法を放って一定距離を保つのはかなり大変だ。
「キャッ」
フレシアが転んでしまった。
それを見たゴーレムがフレシアに向けて手のひらを向けている。
もしかして魔法?
石だ。
「「フレシア、避けろーっ。」」
とっさにフレシアが右へ大きく避けた。
ズズズン
フレシアがいたところに銃弾のような勢いの小石がいくつも地面や木に突き刺さる。
まるで散弾銃だ。
けど、打ち終えた瞬間は隙だらけ。
森にきれいな和音と俺のシャウトが響く。
ザッダーン
ゴーレムの足に大きなサンダーボルトがとウインドカッターが同時にヒットした。
偶然できた風と雷の合体魔法。
威力も単体より数倍は上のはず。
魔法は人間でいう膝の所に当たり、かなりの石が砕ける。
たまらずゴーレムは倒れた。
しかし、足の破壊を期待したが、多少削れただけで、まだまだ動けそうだ。
すぐにゴーレムは片ひざをつき、立ち上がろうとしている。
「今のうちだ、立てフレシア。」
「ありがとう。リューちゃん。」
3人で距離と方角を意識しつつ、ボクサーみたくヒットアンドアウェイを繰り返していく。
絶対に無理なのはわかりつつも、そろそろポーションいきたいと思った時だった。
「オッケーっす。」
森の中からクリスとアビゲイルが顔を出した。
待ってました。
できたんだな。
「援護よろしく。」
「ああ、行ってこい。」
ゴーレムに向けてアビゲイルが走り出す。
「まずは挨拶からね。」
笑顔のアビゲイルは警棒の先をゴーレムの顔に向け、ウォーターボールを放つ。
見事、顔にヒット。
すると、ゴーレムがアビゲイルに向けて手のひらをかざす。
「石だ。範囲広いぞ。」
「りょーかい。」
ズズズン
華麗な横飛びでアビゲイルが回避する。
「ほーら、当ててみなさいよ。」
ふたたびゴーレムの顔にウォーターボールがヒット。
ゴーレム反撃のストーンバレットも当たらない。
ウォーターボールがまたゴーレムの顔にアビゲイルに向けてヒットした次の瞬間には、ゴーレムはアビゲイルに向けて走り出していた。
「そう来なくっちゃ。こっちよ。」
アビゲイル笑顔で挑発する。
カッ
心地よいカホンの響きと共にストーンバレットがゴーレムの顔にヒットした。
「やるじゃん、クリス。」
「おーいこっちだ、こっち。」
もはやゴーレムにはアビゲイルとクリスしか見えていないようだ。
俺達3人は急いでゴーレムを追いかける。
アビゲイルとクリスが立ち止まっている。
あの先が泥濘だろう。
「二人とも気を付けろ。」
「ウッス。」
「りょーかいです。」
ゴーレムが走りながら二人めがけて拳を振りかぶる。
「モーションが大きいと避けやすいわよ。」
クリスとアビゲイルは容易くゴーレムの拳を回避すると、素早く背後にまわる。
「みんな、放てーっ。」
俺の合図で5人から魔法が放たれる。
たまらず、ゴーレムは泥濘に頭から落ちていく。
二人が造った泥濘は思ったより深かった。
今見えているのはゴーレムの腰から下だ。
そこからは地道な作業だった。
泥濘を維持しつつ、ゴーレムをフレシアが熱して、他のメンバーが魔法で石を壊していく。
そして夜が明ける頃、ちょうどゴーレムの胸の辺りに差し掛かる頃だった。
ゴーレムはまだもがいていたが、赤く光っている石があった。
「恐らくあれを壊せば、こいつも終わりだ。クリスいけるか?」
「じゃあ行くっす。」
クリスがカホンを構えた時だ。
「それは私が貰い受ける。」
聞いた事がない声が響くと、ゴーレムの赤い核は森の中に消えていった。
Respect チェイス&ステイタス&Bou/Baddadan
ドラムンベースといって、テンポがめっちゃ早い音楽があるのですが、アマゾンミュージックで見つけちゃいました。やっぱ、めっちゃ早いテンポとレゲエDJの相性は抜群ですね。このジャンルの音楽がまだジャングルと言われていた頃を思い出しちゃいました。シンセサイザーの音色がたまらんです。




